漫画家の秋本治氏（63）が2日、日本文学振興会主催『第64回 菊池寛賞』を受賞し、都内ホテルで行われた贈呈式に出席した。40年という長期連載となった人気漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の功績を讃え、受賞の運びとなった。秋本氏は「一番驚いているのは本人。今回の受賞は本当に喜ばしいと感じている」とスピーチした。

【写真】その他の写真を見る

　『こち亀』は2016年9月17日発売の『週刊少年ジャンプ』（集英社）で連載を終了。コミックスも200巻で完結し、節目の大団円となった。連載終了時を「僕が両さんに『なんとか休んでくれ』と頼んで、納得して終わった」と表現した秋本氏。さらに両津勘吉は「僕にとって友達というか、一番苦労を分かち合えたキャラクターだ」とした。

　物語は終わったものの、両さんからは「いろんなプレゼントを残してくれた」といい、「あちこちで『あの作品はこうだった』と言ってもらえて、今回のこのような賞にも選んでもらえた。いま思うと本当にいい作品でした。最近じわじわと思うようになった。作品というのは、終わってから見てくれるんだなと感じています」としみじみだった。

　文学、映画・演劇、新聞、放送、スポーツなど、さまざまな文化活動で創造的業績をあげた個人・団体に贈られる同賞。今年は小説家の北方謙三氏、熊本日日新聞、池上彰氏とテレビ東京選挙特番チーム、原爆投下後の広島の調査・研究を続けている森重昭氏、リオデジャネイロ五輪バドミントン女子ダブルス金メダルの“タカマツペア”こと高橋礼華選手、松友美佐紀選手も受賞した。なお、高橋選手と松友選手は全日本総合選手権出場のため贈呈式は欠席したが、会場にビデオメッセージを寄せた。