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水道橋博士、炎上上等の真意 根底に流れるのは竹中労の反骨心と闘争心

水道橋博士インタビュー(下)
 
お笑い芸人・水道橋博士(54)が、待望の新刊『はかせのはなし』を17日に発売した。作家としても高く評価されてきた博士だが、最近はテレビやネットでの過激な発言が話題になることも多い。その攻撃的姿勢の胸の内や、ペンの力を信じるルーツについて迫ってみた。

新刊『はかせのはなし』を上梓した水道橋博士 (C)ORICON NewS inc.

新刊『はかせのはなし』を上梓した水道橋博士 (C)ORICON NewS inc.

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■ネット上の攻撃にも「群れずに個人で戦う。最近落ち着いてきて、寒くてしょうがないよ(笑)」

 博士といえば、最近はコメンテーターとして出演するフジテレビ系『バイキング』で過激な発言をするたび、ネットニュースで取り上げられ炎上騒動を起こしている。この発火活動の真意には、番組MCの坂上忍への信頼と漫才師としての覚悟があった。

 「『バイキング』は坂上忍さんが腹をくくって取り組んでいる番組で、番組で取り上げるネタも坂上さん自ら提案していると思うし、もはや、確信犯で物議を醸している東国原さんや、僕を擁護してくれているんだと思います。僕も坂上さんに番組の座長として敬意を持っているし、お互いの信頼感が呼応して成り立っている。それに、僕は漫才であれぐらいのネタはやってきた。今までは密室の劇場だったけど、オープンなテレビの生放送という舞台に移っただけ。あとは、番組プロデューサーが何事もなく番組を進行させようとするのか、過激なことを仕掛けようとする坂上忍さんにすべてを任せて心中するのか。現実は健全な方法を経て後者になってきているけどね」

 安倍政権を批判したネットのインタビュー記事が公開された際も、ツイッターに数多くの攻撃的なコメントが寄せられた。家族が心配し、妻も娘も「こわいからやめて!」と訴えたというが、「一つひとつ晒してあげて、諭してあげるのを48時間くらいずっとやってたら、個人攻撃がほとんどなくなった。今はむしろ寂しいくらい」と涼しい顔を見せる。

 個人で巨大な力に立ち向かう姿勢の根底には、昭和を代表する偉大な人物の精神がある。反骨心と好奇心を武器に、昭和の芸能・風俗の背景に単身で切り込んでは隠されていた事実を次々と解き放ち、イデオロギーを超えて右とも左とも闘ってきた、ルポライターでアナーキスト・竹中労。ビートたけしに憧れ芸人を志す以前、10代の博士が最も影響を受けた人物だ。

 「群れるから無力になる。群れずに個人で戦えばいい。それが竹中労イズムですよ。それに、そもそも翼賛体制になって言いたいことも言えなくなるくらいなら、ツイッターでも2ちゃんでも何でも言える世の中がイイと思ってる。それで、議論を盛り上げるため炎上上等になって、今は自分で火をくべているようなもんだから。すっかり炎上体質になって体温が上がっちゃったから、最近落ち着いてくると、寒くてしょうがないよ(笑)。ほとんど自分で火をくべる“焚き火”感覚になっています(笑)」

■最後の質問は「なぜ、金髪にしたのですか?」

 予定時間を超える1時間15分にわたるインタビューをノンストップで熱く語ってくれた博士。最後の質問には、大いに盛り上がった取材を締めくくるには微妙だが、多くの人が気になっているネタをぶつけてみた。「なぜ、金髪にしたのですか?」

 「一番の理由は、読書時間の確保。僕がネットに一万字解説を寄せた『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』の著者の春日太一さんの新作『五社英雄の生涯』という本を読みたかったんだけど、ちょうど夏休みの時期で子供が家にいるから、じっくり読めなかった。早く読みたいという焦りがあったんだけど、ちょうどカミさんが美容院で髪を染めてもらうのに時間がかかり、その間に本を読んでいると聞いて。俺もやろうと思って、一番時間がかかる髪染めを聞いたら金髪だったので、『じゃあお願いします』と。染めてる途中にマネージャーに電話して『俺いま金髪にしてるんだけど、大丈夫?』って確認したら、『…大丈夫じゃないです』って(笑)」

 同じタイミングで、別の出来事も重なった。法政大学でオネエタレントのぺえと一緒にネット配信をやることになり、終了後に2人ともツイッターに2ショット写真をアップしたところ、ぺえのツイートは1000件以上リツイートされたが、博士のリツイート数は、わずか4件。自分の表現は若い層に届かないことが顕在化された結果、「俺がもっとポップになって(笑)いや、もっと意味不明でかわいい(笑)存在になって、そういった人たちに認めてもらわなければ」と考え、金髪にしたことも相まって、弾けたキャラに変身したのだ。

 「金髪にして化粧して話すと、普通に話すよりも注目度が高まったし、マネージャーも最近はやっと『アリですね』って言ってくれるようになって(笑)。それが進んで化粧や女装もするようになったんだけど、自分じゃない性がちょっとはわかりかけてくるし、仮面をかぶることで自分をもう一回生きられるのが面白い。キャラがあるからぶっちゃけて話しやすくなったし、そうこうするうちに正直言って何故か素顔でいると恥ずかしくなって(笑)、自分でお化粧しだしてるんだけど(笑)、とにかく子供が思春期だからヤバイね。長男は反抗期で『父親がオネェだったらグレるのは当たり前だろ!』と言われるし、娘から『パパ、オネエにだけはならないで!』って言われて、『なに言ってんのョ、この娘、オネエになんてならないわよ〜!失礼ねっ!』って答えたら泣き出してね、横で見ていたカミさんが声を荒げて『そんなことして何が楽しいの!いい加減にしなさいよ!』って朝からブチ切れされたよ(笑)。でもねー。それでいいんですよ。『はかせのはなし』は家族団らんの話を書いていて、娘に捧げている本なのに、現実は一番モテたい娘に毛嫌いされている。そこがいいんですよ」

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