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aiko、ヒット映画『聲の形』主題歌、最初は別の曲だった

 ヒット中の映画『聲の形』の主題歌を手がけたaiko。彼女自身、原作の大ファンだったというだけに、この「恋をしたのは」が主題歌に決定するまでにはいろいろと悩みもあった様子。意外な経緯、そしてaiko自身が映画とリンクした部分とは?

9月21日にシングル「恋をしたのは」を発売したaiko

9月21日にシングル「恋をしたのは」を発売したaiko

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◆「“この映画には、この曲がいい”と思って、直前で変えていただいたんです」

――先日終了したツアーの最終日でも初披露した新曲「恋をしたのは」は、ヒット中の映画『聲の形』の主題歌ですよね。映画も拝見しました。物語が終わって暗転した瞬間、aikoさんのブレスから歌が始まる感じにグッときて。メロディや詞もあの世界にはまっていました。
【aiko】 嬉しいです! 実は、映画の予告CMを作る段階では違う曲に決まっていたんです。でもやっぱり、“この映画には、この曲がいい”と思って、直前で変えていただいたんですよ。映画のスタッフの皆さんにはご迷惑をおかけしてしまって。

――もとから書いていた曲ですか? 
【aiko】 はい。映画の話をいただく前、たしか、昨年あたりに書きました。

――映画に出てくる、将也と硝子の恋愛に重なる世界観だったから、あて書きしたのかと思いました。
【aiko】 いつも2コーラス目は、1コーラス目を書いた後に時間が経ってから歌詞を書くんですけど、その時は頭の片隅に『聲の形』があったから、無意識にリンクしてたところはあると思う。だから、映画で使っていただいているのは2コーラス目なんですよ。

――もともと原作漫画が好きだったんですよね。
【aiko】 はい! 1巻を読んで衝撃を受けて、ライブのMCで内容を全部しゃべっちゃったくらい好き(笑)。だから、このお話をいただいた時、最初は“ウソや!”と思って。プレッシャーになるくらい好きだったので、“聞かなかったことにしよう”と思ってたら、「本当に決まったよ」と言われて……すごく嬉しかったです。

――原作のどういうところに惹かれたんですか?
【aiko】 ……全部です。いじめ問題を描く視点も新鮮やったし、いろんなことがリアルだなと。主人公の将也が、子供の頃は悪気なく楽しさを味わうためにやっていたことが、実はいけないことだったと気づくところとか。障害を持つ硝子が偽の笑顔を作ってしまうようになったこととか……。登場人物で、自分にリンクしている1人もいないのに、カケラはいっぱいあって。“この人の気持ちのココがわかる!”っていうのが、全員にあったんですよね。

◆「心の底にある絶対変わらない愛の歌を書きたかった」

――「恋をしたのは」は、最初は、どんなきっかけから生まれたんですか?
【aiko】 いつも通り、Aメロの詞がブワッと浮かんで、ピアノを弾きながら書いたんですけど……。自分の中で、一瞬を切り取った恋愛よりも、心の底にある絶対変わらない愛の歌を書きたかったんです。なんの私利私欲もない、離れても一緒にいてもいつも同じように思っていられるほど、純粋で大きな気持ちで相手と繋がっていられたらいいなと。それを書きたかったのは覚えてます。

――“変わらぬ愛”を歌いながらも、「恋をしたのは」というタイトルが切り口になるのが興味深いです。
【aiko】 私の中で、そこは繋がっているんですよ。最初から最後まで“恋をした”っていう気持ちがあるからこそ、思い続けることができるんです。恋をした時の“あっ!”っていう気持ちを抱き続けているから、愛も育ち続けるというか……。

――なるほど。
【aiko】 夫婦とか家族になったら、全然違う言葉になるのかもしれないけど、私はまだ結婚したことがないので。どこかで男子に抱き続けてる夢みたいなものがある気がします(笑)。尊敬とか憧れとか、“この人、男やな”って思う瞬間があると恋をしているって思うし、その気持ちが大切。あの瞬間を心に持ち続けながら、一緒にいたい。年月を重ねて、その人のいろんなことをわかっても、初めて会ったときの感情もずっと持っていたいんですよね。

――たしかに、尊敬とか憧れみたいな恋の感情がなくなると、何かが変わってしまうのかもしれませんね。ただ、恋人関係でも恋をしていない人はいるし、夫婦でも恋をしている人はいるのかなと思います。
【aiko】 そうかもしれないですね。

――“恋をした”って自覚するって大事なんでしょうね。それこそ、恋する気持ちがわからないっていう人も増えているから。
【aiko】 そうなんや! 私はどっちかというと、“恋した”って早い段階で自覚するほうですけどね。

――さすが!
【aiko】 でも、今は惚れっぽいわけじゃない。ライブもそうだけど、年々、これまでの経験を超えないと(気持ちが)振れないっていうのはあります。“尊敬! カッコイイ!”とかも、これまでを超えないと恋心に至らない。もう、すっごく変な人じゃないと超えないかもしれないなぁ(笑)。
(文/芳麗)

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