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沢口靖子、若き日の葛藤明かす「仕事の意欲がわいたのは30代半ばから」

 1984年、第1回の『東宝シンデレラ』でグランプリに輝き、映画『刑事物語3 潮騒の詩』でデビューしてから32年間、第一線で活躍してきた沢口靖子。9月17日には約9年ぶりの主演映画『校庭に東風吹いて』が公開されるほか、10月からはドラマ『科捜研の女』の第16シリーズが放送予定など、精力的な活動を続けている。いくつになっても変わらぬ美貌と清潔感で人気を集める一方で、先般、「最後のリッツパーティ」が話題となるなど、清純派からコミカルなものまでこなし、常に女優として“プロフェッショナル”であるという印象が強い。しかし、仕事への本格的な意欲がわいたのは、意外にも30代半ばからだったと明かす。

ORICON STYLEのインタビューに応じた沢口靖子(写真・西田周平)

ORICON STYLEのインタビューに応じた沢口靖子(写真・西田周平)

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■土門刑事はあくまでもパートナー 恋愛関係にはならない

──10月よりドラマ『科捜研の女』第16シリーズが放送されることも発表されましたが、1999年にスタートして17年目、現行の連続ドラマでは最長シリーズとなるそうですね。
【沢口靖子】 ありがたいことですね。私を俳優として育ててくれた作品であり、30代半ばで出会った(演じる)マリコは、ともに成長してきた存在ですので、再会できるのがとても楽しみです。科学の進歩とともに、ドラマも毎年進化しています。マリコもシリーズが始まった当初は科学一辺倒でしたが、人を優しく見つめるように成長しましたね。また、科学を盲目的に信じるのではなく、あくまで扱うのは、間違いも犯す人間であるということも理解するようになりました。そして、ずっと変わらないのは、真実を解明したいという強い思いです。

──たしかに初期は科学一辺倒なところがありましたね。でも、印象的だったのが、今年の春スペシャルのラストで、『結婚相手はすぐそばにいる』という占い結果が出るシーンでした。その隣に土門刑事(内藤剛志)がいたのも意味深でしたが…沢口さんご自身、マリコとずっと向き合ってきて、どうなってほしいと思っていますか?
【沢口靖子】 そうですねぇ。シリーズを重ねるごとに土門さんとの絆はどんどん強くなっていますが、恋愛関係になるとは思わないですね。ちょっとにおわす感じで、すごく距離は近いんですけど、男女の関係にはならないと思います。土門さんに対する信頼と尊敬の気持ちは年々強くなっていますけど、いいパートナーと言いますか。そのほうがドラマも長続きすると思いますし(笑)。

――沢口さんご自身も、やっぱりこのお仕事が好きという一筋なところがあって、マリコと通じる部分も大きいのでは?
【沢口靖子】 いいえ。私は、恥ずかしながら若い時は、ひたすら無我夢中にスケジュールだけをこなしていたんです。でも30代半ばぐらいから、作品に対して、もっと能動的に取り組むようになってきました。「役を通して、その作品に込められたメッセージを届けたい」。今はそんな思いを持ってカメラの前に立っています。

■コミカルな役は“イメージが壊れる”不安もあった

──そんな沢口さんは『第一回東宝シンデレラ』に選ばれてデビューしたわけですが、コミカルなCMなどもすごく話題になりましたよね。世間が求める「沢口靖子」のイメージを壊すのでは、という不安はなかったですか?
【沢口靖子】 その不安はありました。でも、どちらかというと事務所の方が勧めてくださったんです。事務所の方に『本当に大丈夫ですか? 保証してくれますね?』って確認しましたから。『大丈夫!』ということだったので、私も思い切ってチャレンジして、始まってみましたら、毎回、楽しんでいましたね。

──やはり関西出身なだけに、沢口さんにも笑いのDNAが流れているのでしょうか?
【沢口靖子】 ええ、もちろん。関西では新喜劇は生活の一部にありましたから。ですので、本来の自分を180度転換して、新たな自分を表現したわけではなく、元々持っていた部分を少し誇張して表現しただけなんです。

――沢口さんの場合、美しい方がコミカルなことを…というギャップがあるから、というのもあると思うんです。例えば、デビュー当時、清楚なお嬢様イメージを窮屈だと感じたことはありませんでしたか?
【沢口靖子】 そのイメージを窮屈に感じることはなかったのですが、デビューしてから、自分の名前やイメージが1人歩きして、本来の自分よりどんどん大きくなって、私自分もその虚像を必死で追いかけている感覚がありました。

──吹っ切れたのはどんなときだったんですか。
【沢口靖子】 ある日、スーパーで乳製品を手に取ろうとした時に、ふと「これを手にしている自分を見て、周りの人はどう思うのだろう」などと、気にしている自分に気付いたんです。自分の意思より、常に第三者の目を意識して毎日過ごしていたんです。私にとっては大発見でした。それからは、自分の意思を大切に過ごすようになって、ずいぶん楽になりました。

──最近の女優さんだったら、そんなことはないかもしれませんね。SNSで自分のプライベートをどんどん発信する人が多いですし。
【沢口靖子】 そうですね。自由にのびのびと自分を表現できてうらやましいなと思います。私は自分から進んでオープンにするタイプではないかもしれませんね。

(文/児玉澄子)

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