公開中の映画『ジャングル・ブック』。「動物たちの実写と見間違うほどの映像美に圧倒される!」「自分もジャングルの一員になった感覚ですっかり入り込んで観てしまった!」などと、ジャングルの動物に育てられた人間の少年モーグリ以外全てCGで表現した最先端の映像技術に感嘆の声が上がっている。
この映画の大部分の制作を手がけたVFXスタジオ「MPC(Moving Pictures Company)」のスタッフが、「ここだけは見逃さないでほしいシーン」に挙げるのは、クマのバルーとモーグリの川くだりのシーン。
スタッフの間で「Lazy River Scene(のんびりした川のシーン)」と呼ばれていたこのシーンに携わったアニメーションスーパーバイザーのペタ・ベイリーさんは「少年の撮影はプールの中で行われました。『ライド・リグ』と名付けられた装置をプールの中で動かして、バルーのお腹に乗った少年の動きをシミュレーションさせて撮影し、この映像に対して、CGで作ったクマを付け加えていったのですが、CGと実写が接触するシーンを違和感なく仕上げるのはとても難しいことなのです」。
バルーの動きを監修する立場にあったベン・ジョーンズさん(キャラクタースーパーバイザー)も「私が思うに、そのシーンが最も複雑だった。なぜなら、そこには水、CGで作ったキャラクターの動き、実写で撮影されたモーグリなど、たくさんの要素がひとつのシーンに詰め込まれているからです」と話す。
モーグリをお腹の上に乗せたバルーの動き、モーグリとバルーが接している部分の動き、水の動きに影響を受けるバルーの毛の動きなど、すべての要素を違和感が生じないように、一つのシーンとして作り上げていくのは至難の業だった。
ジョーンズさんは「たくさんの自然界の映像を見ました。例えば、シロクマが泳いでいる映像。彼らはよく背泳ぎで泳ぐんです。あのシーンでバルーが泳ぐようにね。その時に、水とクマの毛がどうやって影響し合っているか、背泳ぎで泳ぐときクマはどれくらい浮いたり沈んだりするのか、本物の動物が実際にどうやって動いているか、などを参考映像から学んでいくことがカギだったと思います」。
川の水まで、CGで再現している点も画期的。2011年より同社で働いているコンポジターの松野洋祐さんは「CGでは水の表現が、いま現在でも難しくて、それが自然でかつ魅力的な画に仕上がっているというのはすごいことなのではないかと思います」と話す。
すべてのCG映像を統括するエリオット・ニューマン氏は「CGで全編制作したことで、アニメーション作品とデジタル効果の分野において、その領域を広げたと思います。ほとんどの場合において、実写のモーグリをシーンに入れ込みましたが、これまでの映画製作ではCGを現実世界に合成させるという全く逆のパターンでした」と語る。
本作はウォルト・ディズニーが亡くなる前に手がけた最後のディズニー・アニメーション『ジャングル・ブック』(1967年)を実写映画化するというモチベーションが根底にある。地球上のどこかにありそうでありえない大自然や、現実世界には存在しえない“人間味”あふれる動物たちを表現するには、CGの技術が必要であり、最先端の映像技術が追いついたいまだからこそ実現した作品ともいえる。
ニューマン氏は「本作品はスタジオ撮影のみで映画製作ができることを示す新たな扉を開いたのではないかと思います。写真のようにリアリティーのある動物に話をさせることが可能だということも証明しました。新しいレンダリング技術に関しては、実際に物理的な光を再現することで、映像に現実味を持たせることができました。ブルーバックのスタジオで撮影を行うため、物理的なロケ場所の制限もありません。その点で、ストーリー・テリングにおいて新たな扉が開かれたと思っています」と、自分たちの仕事を誇らしげに語っていた。
この映画の大部分の制作を手がけたVFXスタジオ「MPC(Moving Pictures Company)」のスタッフが、「ここだけは見逃さないでほしいシーン」に挙げるのは、クマのバルーとモーグリの川くだりのシーン。
スタッフの間で「Lazy River Scene(のんびりした川のシーン)」と呼ばれていたこのシーンに携わったアニメーションスーパーバイザーのペタ・ベイリーさんは「少年の撮影はプールの中で行われました。『ライド・リグ』と名付けられた装置をプールの中で動かして、バルーのお腹に乗った少年の動きをシミュレーションさせて撮影し、この映像に対して、CGで作ったクマを付け加えていったのですが、CGと実写が接触するシーンを違和感なく仕上げるのはとても難しいことなのです」。
バルーの動きを監修する立場にあったベン・ジョーンズさん(キャラクタースーパーバイザー)も「私が思うに、そのシーンが最も複雑だった。なぜなら、そこには水、CGで作ったキャラクターの動き、実写で撮影されたモーグリなど、たくさんの要素がひとつのシーンに詰め込まれているからです」と話す。
モーグリをお腹の上に乗せたバルーの動き、モーグリとバルーが接している部分の動き、水の動きに影響を受けるバルーの毛の動きなど、すべての要素を違和感が生じないように、一つのシーンとして作り上げていくのは至難の業だった。
ジョーンズさんは「たくさんの自然界の映像を見ました。例えば、シロクマが泳いでいる映像。彼らはよく背泳ぎで泳ぐんです。あのシーンでバルーが泳ぐようにね。その時に、水とクマの毛がどうやって影響し合っているか、背泳ぎで泳ぐときクマはどれくらい浮いたり沈んだりするのか、本物の動物が実際にどうやって動いているか、などを参考映像から学んでいくことがカギだったと思います」。
川の水まで、CGで再現している点も画期的。2011年より同社で働いているコンポジターの松野洋祐さんは「CGでは水の表現が、いま現在でも難しくて、それが自然でかつ魅力的な画に仕上がっているというのはすごいことなのではないかと思います」と話す。
すべてのCG映像を統括するエリオット・ニューマン氏は「CGで全編制作したことで、アニメーション作品とデジタル効果の分野において、その領域を広げたと思います。ほとんどの場合において、実写のモーグリをシーンに入れ込みましたが、これまでの映画製作ではCGを現実世界に合成させるという全く逆のパターンでした」と語る。
本作はウォルト・ディズニーが亡くなる前に手がけた最後のディズニー・アニメーション『ジャングル・ブック』(1967年)を実写映画化するというモチベーションが根底にある。地球上のどこかにありそうでありえない大自然や、現実世界には存在しえない“人間味”あふれる動物たちを表現するには、CGの技術が必要であり、最先端の映像技術が追いついたいまだからこそ実現した作品ともいえる。
ニューマン氏は「本作品はスタジオ撮影のみで映画製作ができることを示す新たな扉を開いたのではないかと思います。写真のようにリアリティーのある動物に話をさせることが可能だということも証明しました。新しいレンダリング技術に関しては、実際に物理的な光を再現することで、映像に現実味を持たせることができました。ブルーバックのスタジオで撮影を行うため、物理的なロケ場所の制限もありません。その点で、ストーリー・テリングにおいて新たな扉が開かれたと思っています」と、自分たちの仕事を誇らしげに語っていた。
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2016/09/02