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神木隆之介、好きなことだから追求できる「オタク気質でよかった」

 子役から活躍し、いまでは若手実力派として数多くの話題作に出演。エンタテインメントシーンの第一線を走るイケメン俳優でありながら、自身のオタク気質をオープンにするなど、その飾らない姿勢がよりファンの共感と支持を得て、特異なポジションを確立している神木隆之介。大ファンと公言してきたアニメーション作家・新海誠との初タッグとなる『君の名は。』(8月26日公開)について話を聞くと、止めどない愛があふれでてきた。さらに、オタク気質をオープンにしたタイミングとそこからの変化、“漫画好き”の立場から見た実写化についても語ってくれた。

オタク気質は俳優業にも役立っていると語る神木隆之介(写真:鈴木一なり)

オタク気質は俳優業にも役立っていると語る神木隆之介(写真:鈴木一なり)

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◆新海誠作品について語りたいことがたくさんある

――実際に完成した『君の名は。』をご覧になってどうでしたか?
【神木隆之介】 ファンとしては、新海監督が新しいことに挑戦されたんだなと思いました。それからキュンとしました。どう表現すれば良いか分からないような切なさだったり、もどかしさだったり。クスッと笑えるところも多いのですが、自然と涙が出てくる作品だと思います。

――新海作品が好きでしょうがないといった様子ですが。
【神木隆之介】 大好きです! 新海監督を尊敬しているので、本当にうれしいです。この作品に携わることになって初めてお会いしたのですが、初対面のときに「このシーンはどうして?」「このセリフはなぜ?」とか、これまでの作品の質問をたくさんしてしまいました(笑)。すごく細かい質問ばかりだったのですが、「もうあまり覚えてないけど……。こうだったかなあ」と考えながら教えてくださいました。僕が新海監督の大ファンということを聞いたことがあったそうなのですが、「ここまで好きだとは知らなかった」と少し驚かれていたみたいです(笑)。

――本作は全国300館ほどで上映されます。新海作品としてはこれまで以上の公開規模になったわけですが、一方でメジャー作品になることで作風がそれまでと変わっていくこともあるかもしれません。新海ファンとしてはどんな思いでしょうか?
【神木隆之介】 やっぱりうれしいです。新海監督の作品に携われたというのもそうですし、ファンとしても『君の名は。』という映画については語りたいことが本当にたくさんあります。新海監督にとっても集大成の作品だと思うので、多くの方に観ていただきたいです。僕は『秒速5センチメートル』から新海監督の作品を好きになって作品を遡ったのですが、『君の名は。』を観て好きになった方が、これまでの新海監督の作品を観てくださったらうれしいです。

――本作は「俳優としての新しい挑戦だった」とコメントを寄せていましたが、具体的にはどのような挑戦だったのでしょうか?
【神木隆之介】 “男女入れ替わり”という役が初めてだったので、そこはやはり難しいなと思いましたし、挑戦でした。『秒速5センチメートル』が大好きで、高校生時代はよくDVDを観ながら、モノローグをまねしたりしていました。それこそ乾いた芝居をするときの音の感じとか、薄れていくような声のトーンとかも気持ちを伝えるために重要だと思いますし、新海監督のモノローグは実写にも通用するものなので、そこは本当に勉強になりました。

――それが結果として新海作品の予行演習になっていた。
【神木隆之介】 そうですね。高校生の頃から練習していました。

――そういえば、『秒速5センチメートル』の聖地巡礼にも行かれたんですか?
【神木隆之介】 行きたいです。でも行くなら3月4日が良いですし、途中の過程も気にしないといけないと思うのですが、時刻表を調べたらダイヤ改正で時間がずれていて、車両もいまは違っているんです。あの車両は来ないし、雪も降らないなと思ってしまって行けていないんです。

◆『桐島〜』出演からオタク気質で良かったと思うようになった

――神木さんは、アニメ好きを公言されていますが、声の出演に挑むというのはどういう気持ちなのでしょうか?
【神木隆之介】 実写とは全然違いますし、本当に難しい仕事だと思っています。今までアニメ作品に出演したと言っても、やっぱり自分のなかでは違う畑にお邪魔している感覚なので、いちから勉強しなくてはいけません。それこそ(本作で共演している)本職の島崎信長さんや石川界人さんがふだんされているような感じで、声色を変えて挑んだわけではなく、地声で演技をしました。

――俳優さんのなかには自身のイメージを気にする方もいらっしゃるのかもしれませんが、神木さんはそういうことは気にせずに、好きなものは好きだと自由に発言しているように見えます。
【神木隆之介】 確かに以前の僕だったら、アニメや鉄道が好きだと自分からは言わなかったかもしれません。でも(映画オタクの高校生・前田を演じた)『桐島、部活やめるってよ』(2012年)に出演させていただいてからは、僕はオタク気質で良かったなと思うようになりました。あの役は、好きなものに対する感覚が僕と共通していましたし、オタク気質ではなかったら演じられなかった役だったと思います。今回もそうです。新海監督のことも、アニメも大好きなので、僕が演じることで掘り下げられる、追求できることがあったのではないかと思います。僕はマンガも大好きで、『3月のライオン』や『バクマン。』でも語りたいことがたくさんあるんです。やはり好きなことが多いということは、それだけ俳優業にも役立つことが多いですし、気質的にオタクで良かったと思っています。

――好きなことを公言していることで、それを仕事に引き寄せている感覚はありますか?
【神木隆之介】 僕は、いろいろなことを好きになることは純粋に素敵だなと思っています。その一方で、好きなことがあってそれを詳しく知っていることで、よりクオリティの高い仕事ができる世界でもあると思います。役で個人的にまったく興味がないことを好きになることもあります。例えば、料理をしたことがなくても料理人の役をやりますし、ゼロから勉強しなくてはいけないことがたくさんあります。そういうなかで、知らないより知っている、好きでいることで、できることはあると思います。そのひとつの漫画実写化であれば、一つひとつのお芝居をこうしたい、こう見せたいという、役を追求できる興味とエネルギーが自分にあることがよかったと思っています。役者それぞれにベクトルがあって、みんな違うアプローチの仕方、持っているエネルギーがあると思います。

――今回は男女入れ替わりということで、女性の演技をすることがいままでと違ったアプローチなのではないかと思うのですが。
【神木隆之介】 とても楽しかったです。アニメを観ていると、男子が観ていても少しキュンとする音がありますよね。これぐらい音程が上がるとかわいらしいとか、ツボにくるような音とか。そんなセリフを目指しました。

――萌えのポイントを知っているからこそ、自分が思う萌え声を出すことができる。
【神木隆之介】 萌えを知っていると言うとおこがましいですが(笑)、男子としてキュンとくるような言い方とか、かわいらしいなと思うような音程ということにはすごく気をつけました。ちょっとしたかすれ具合だったり、とにかく(ヒロインの)三葉がかわいいなと感じていただきたいと思っていたので、そういう意味では、僕はアニメが好きで良かったと思います。
(文:壬生智裕)

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