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全国で3000組がシーンを牽引、“アイドル戦国時代”のその先は?

 AKB48グループや、乃木坂46ほか“坂道シリーズ”らをはじめ、昨今の音楽シーンの一翼を担う女性アイドルたち。メジャーのみならず、地方密着グループや独特なコンセプト型など、その裾野はどんどん広がり、細分化してもいる。そんなアイドルたちが数多く出演する大規模なフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL』(8月5日〜7日 お台場・青海周辺エリアで開催)の総合プロデューサー・濱田俊也氏に、群雄割拠のアイドルシーンについて聞いた。

2015年の『TOKYO IDOL FESTIVAL』の模様。今年もまた新たな注目グループが

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◆ブームは“横ばい”? 最大のアイドルフェス“TIF”プロデューサーの見立て

 2016年の上半期の女性アイドルのシングルランキングは、AKB48グループと乃木坂46、欅坂46で上位を独占、モーニング娘。’16らハロー!プロジェクト勢が続いた。『TOKYO IDOL FESTIVAL』(TIF)総合プロデューサー濱田俊也氏は、そんなランキングに対し「強いと感じたグループが数字でも如実に結果を出していますね」と語る。
「48グループさん、坂道シリーズさんはブランド力がすごいうえ、マーケティングをきちんとされているのがわかります。欅坂46さんは乃木坂46さんのノウハウをカスタマイズしながらも曲選びは逆の方向だったり、グループや曲ごとに計算して差分を作られていて」(濱田氏)

 一方、上位勢はここ数年、大枠で変わらないように見えつつ、濱田氏はTIFを運営するなかで、別の盛り上がりも実感するという。
「“アイドルブームもそろそろ横ばいか?”と言われますが、全体としてファンの方の数は増えていると思います。去年のTIFはお客様がパンパンで、今年は日程を2日から3日に増やしました。同じくアイドルフェスの『@JAM EXPO』さんも会場を幕張メッセにしたり、『アイドル横丁』さんも横浜で大きなイベントを2日開催していて、見方は同じようです」(濱田氏)

 確かに大ブレイクまで行かなくても、毎週のTOP10に入るアイドルは増えている。
「今、アイドルは全国で3000組いると言われます。“ファンの数が増えてシーンが盛り上がる”と言われがちですが、“アイドルの数が増えて、お客さんも増えた”ところもあって。アイドルがどんどんカジュアルな存在になり、チケット代なども経済原理が働いて安くなる。市場はまだまだ広がると思います」(濱田氏)

◆世代交代も? アイドル戦国時代から“妹系”、さらにグループ間コラボへ

 上半期ランキングでは欅坂46のほか、ハロプロのこぶしファクトリー、スターダストプロモーションのチームしゃちほこ、伝説的グループの名を継ぐ東京パフォーマンスドールなど新鋭もTOP100入りした。世代交代も進んでいるのだろうか?
「アイドル戦国時代と言われ始めた頃は、みんなフラットでしたが、そのあとに“妹系”が多くなりました。AKB48さんの姉妹グループ、ももいろクローバーZさんの次の私立恵比寿中学さん。ハロプロさんはその流れが伝統ですし。今年は新たに、グループ間コラボが目につきます」(濱田氏)

 実際にTIFにも、でんぱ組.incの藤咲彩音+妄想キャリブレーションの星野にぁのニァピン、夢みるアドレセンスの志田友美+東京女子流の新井ひとみの志田サマー新井サマー、さくら学院のメンバーを含むCiao Smilesらスピンオフグループが出演。これも新しい流れといえそうだ。

◆フェスをきっかけに飛躍するグループも 出演者296組から見える縮図

 そして毎年、TIFをきっかけに飛躍するアイドルも現れる。昨年はローカルアイドルの大阪☆春夏秋冬が、独自の破天荒なパフォーマンスとリードボーカルMAINAの圧倒的な歌唱力で大評判に。TIF後はライブ動員が3倍になり、東京でのワンマンも成功させた。
「大阪☆春夏秋冬さんのステージを観た方が、関係者さんやタレントさんも含め“すごい”と発信してくれて火がつきました。実は彼女たち、『アイドル横丁』さんからの紹介で出ていただいたんです。TIFはフェス同士で交流しているので、今年は意図的に他の方にご紹介いただいたグループにたくさん出演していただきます」(濱田氏)

 今回の出演者は296組(現時点)。初出演組には、楽曲や演出をセルフプロデュースしてコント風の寸劇も面白い2人組・生ハムと焼うどんなどが名を連ね、地方グループも増えた。新たにブレイクするアイドルも現れそうだ。
「前哨戦を勝ち上がって『メインステージ争奪LIVE』に出演する4組(まねきケチャ、MAPLEZ、生ハムと焼うどん、神宿)は注目度も高いようです。TIFは“アイドルの博覧会”のイメージで始まり、メジャーグループさんにも出ていただいて規模が大きくなった今も、そこは変わりません。たくさんの方に良いアイドルを見つけていただければ」(濱田氏)

 TIF出演の有無に限らず、これから注目すべきグループは多い。ロックバンド・神聖かまってちゃんのドラム・みさこ(鈴姫みさこ)率いる“バンドじゃないもん!”、メンバーのオタク度は高いがオシャレな音楽の “妄想キャリブレーション”、ルックス抜群のガールズバンド“Le Lien(ルリアン)”、『めざましテレビ』(フジテレビ系)にも出演する佐藤麗奈が在籍する魔法アイドル“マジカル・パンチライン”、和歌山県に専用劇場を持ち、まっすぐな歌声が魅力のFun×Fam。男性ファンばかりか、同性にも受け入れられそうな彼女らは、この夏、新たな躍進を遂げる可能性もある。

 3日開催で7万人を集客し、日本一で、そして世界一でもあるアイドルフェスとして、音楽フェス全体でのベスト10入りを目論む濱田氏。「アイドルシーンが伸びている現状を示せれば」というように、フェスでは今のアイドルシーンの縮図が見えるのかもしれない。
(文/斉藤貴志)

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