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活発化するアーティスト主催の音楽フェス 個性光るラインナップで差別化図る

 コンサート需要の高まりもあって、活況を呈している音楽フェス。最近は今年17回目を迎える「SUMMER SONIC」(8月開催)や2013年より開催されている「METROCK」(5月開催)など、気軽に行ける都市型フェスが人気を集めている。ただ、次々と新しいフェスが開催されているものの、ラインナップがかぶってしまうなど“乱立”とも言える中で、差別化を図るのが難しくなってきている状況もある。そこで近年目立ってきているのが、アーティスト主催による大型フェスだ。

■集客や“かぶる”ラインナップ フェス活況のウラで課題多く

 日本国内の音楽フェスの先駆けとなった「FUJI ROCK FESTIVAL」が初めて開催されてから20年。今では「フジロック」、そして「SUUMER SONIC」、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の日本3大フェスとも言える夏フェスをはじめ、「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」や「SWEET LOVE SHOWER」、さらには先述の「METROCK」といった新興フェスまで、春〜秋を中心に多くの音楽フェスが開催。「フジロック」のようにアウトドアも楽しめるものから、都心から1時間程度で気軽に行けるもの、ブームのフードイベントと結びつけたものなど、様々なタイプのフェスが行われるようになった。

 しかし、各地でフェスが行われ、盛り上がりを見せる一方で、“乱立”とも言える状況に様々な弊害も出てきた。ヘッドライナー級のアーティストがかぶったことでラインナップが似たり寄ったりになってしまったり、大きな会場を押さえてフェス開催をうって出ても人気アーティストをブッキングできなかったりして、出演アーティストや客を奪い合う状況になってしまったのだ。その結果、特に新興フェスは大きくうって出たもののラインナップが充実しなかったり、集客が振るわずに“ガラガラ”とSNSで拡散されてしまったりすることも多く、1〜2年ほどで幕を閉じてしまったものも少なくはない。

「フジロック」仕掛け人であるSMASHの日高正博氏は先般、ORICON STYLEのインタビューで、若手に関してはどんどんフェスに出たほうがいいと話す一方、「(ヘッドライナー級のアーティストがかぶることは)それぞれのフェスがお互いを尊重し合うのならば、それはやっちゃいけないことだと思っています。(中略)何でもかんでも出るとか、オーガナイズする側も、『流行っているから、ウチにも出てもらおう』という考えだと、フェス自身がフェスを潰してしまいます」と警鐘を鳴らしていたが、音楽フェスをどのように差別化して安定した動員を確保していくかは、各主催者が頭を悩ませ模索を続けているところでもあるだろう。

■アーティスト主催フェスは増加傾向 音楽フェスの細分化進む?

 こうした中で近年、大型化の一途を辿っているのが、アーティスト企画/主催のフェスだ。今年は4年ぶりにHi-STANDARD主催の「AIR JAM」も開催されるが、10-FEETの「京都大作戦」やくるりの「京都音楽博覧会」、SEAMOの「TOKAI SUMMIT」(今年で最後の開催となる予定)などはすでに多くの音楽ファンに毎年恒例の音楽フェスとして定着。また、西川貴教主催の「イナズマロックフェス」(滋賀県・烏丸半島芝生広場)、2012年よりフェス形式で行われている氣志團の「氣志團万博」(千葉県・袖ヶ浦海浜公園)など、地域を巻き込んで、アーティスト主催フェスは大型化。増加傾向にあるのだ。

 アーティストが企画/主催するフェスの強みは、発信側の顔がみえることで、ラインナップやテーマに必然性が生まれ、普通の音楽フェスよりも差別化をしやすいことにある。ただ“流行っている”から、“人気がある”から出てもらった、というだけではなく、「音楽シーンで影響力のある○○さんが自信を持っておススメするアーティスト」とあれば、バンドからソロシンガー、アイドル、演歌、はたまた敬遠していたジャンルであっても、「そんなに素敵なら一度は聴いてみようかな」という気持ちになる人も多いのではないだろうか。また、こうしたフェスでは主催アーティストとゲストアーティストのコラボなど、滅多に見ることができない豪華なコラボレーションを実施することも多い。ジャンルなどのテーマ性を持たない音楽フェスは失敗することが多い中で、例えジャンルがバラバラでも、『人気アーティスト・○○』という共通点があるだけで、そこに一貫したテーマ性が生まれるのだ。

 今年は今後、前述のフェスのほか、2回目となる松崎しげるの「黒フェス〜白黒歌合戦〜」(東京・豊洲PIT)、いとうせいこうによる「いとうせいこうフェス」(東京体育館)など、中規模のものから大規模のものまで、新旧様々なアーティスト主催の音楽フェスが予定されている。日本のフェスが20周年を迎えた今、“キャンプインフェス”“都市型フェス”“アーティスト主催フェス”など、より細分化の方向に向かっているのかもしれない。



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