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長瀬智也が明かすクドカンとの共通点「目指すおもしろさや感覚が似ている」

 主演映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』で、7年ぶりにスクリーンに降臨したTOKIO長瀬智也宮藤官九郎監督の完全オリジナル作品で長瀬が演じたのは、超ハイテンションでロックな赤鬼・キラーK。クドカン作品には何度も出演し、ドラマ、映画とクセのある役どころを怪演する長瀬に、宮藤官九郎とのクリエイティブと自身の俳優業について聞いた。

◆自分たちが生まれ育ったカルチャーを作品に落とし込む宮藤官九郎監督

――7年ぶりの映画出演となった本作ですが、長瀬さんにとってはどんな作品になりましたか?
【長瀬智也】 7年ぶりという感覚はとくになくて。宮藤監督とは節目、節目でいろいろとお仕事をご一緒させていただいています。そのなかで培ってきたものの集大成というか、役者としてというよりは、自分のやりたかったことをやらせてもらった感じがしています。もちろん自分の代表作品になると思うんですけど、それが人間の役ではなく、赤鬼っていう斬新さも含めて、おもしろい作品になったと思います。

――“やりたかったこと”というのは、どのようなことですか?
【長瀬智也】 やっぱり音楽の部分ですね。バンドとかをやってきて、音楽の持ついい意味でのバカっぽさを表現してきた気がするし。監督もグループ魂というパンクバンドをやってきたなかで、いろいろと培ってきたことがあると思う。そんなふたりのそれぞれの原点というのか、僕の場合は神奈川の片隅でギターキッズだったころの想いが、この作品にはすごく出ていると思うんです。監督とも話していたんですけど、いまの世の中、バカなロックをやるアーティスト、ミュージシャンがいないって。昔は、聖飢魔IIのように、自分たちで地獄から来たという世界観を創って、聴いている人たちに本当に悪魔が歌っているみたいに思わせるような、幻想的な音楽がたくさんあった。いまはただカッコいいだけで、そういうおもしろさとか、ゾクゾクするものがないから。そんな想いも投影されている気がします。

――今回演じたキラーKは、地獄のロックバンド・地獄図(ヘルズ)の熱きリーダーです。役作りのうえで、劇中で演奏するオリジナル曲(※全曲、宮藤監督が作詞を手がけている)からインスパイアを受けた部分もありましたか?
【長瀬智也】 ひと口に地獄と言っても、日本で地獄と言ったらデビルじゃなくて鬼だから、どこかナマハゲっぽい感じもするしね(笑)。宮藤官九郎の描く地獄には、そんな自分たちが生まれ育ったカルチャーも落とし込めているような気がしました。衣裳も含め、ヘビメタだけど、梵字のストラップとか、和の感じもあるし。そういう意味でのケミストリーもおもしろいなと思いました。

――キラーKのボーカルには、どんなことを意識しましたか?
【長瀬智也】 KYONOさんや向井(秀徳)さんが作ってくれた曲ですけど、自作の歌を歌っているようにしたかった。僕の声は個性があるから、普通に歌ってもよくなるとは限らないと、自分では思っていて。だから、自分なりに家で研究したんですよね。歌抜きの音源をもらって、どういうふうにすればふざけている感じに聴こえるかな? といろいろ模索して。オマージュも込めて、いわゆる70〜80年代の和製メタルみたいな感じでやってみたり。僕らからすると、ちょっと古くてダサいんだけど、若い子たちには新しく聴こえるんじゃないのかなって。

――キラーKの、なおみに対する思いを知って「天国」を聴くと、感慨深いものがありました。
【長瀬智也】 音楽にはちゃんと意味があるっていう大切なメッセージが、この作品には込められていると思うんです。生前の近藤さんが、彼女に届けるために作った楽曲には、幸せにしてあげたかったという想いがある。そういう想いや意味は、誰が作ったかわからない曲にもあるんだろうなって。曲に込められた愛なんて、なかなか伝わりにくいものだけど、作る人はみんなきっとそういう想いだと思います。「音楽は気持ちだろ!」みたいなフレーズがあったけど、この作品にはそんなバカみたいなことがちゃんと描けている気がします。

◆現実的でないとつっこまれる要素が逆におもしろい

――今回の宮藤監督の現場で、どんなことを感じましたか?
【長瀬智也】 監督と仕事をするとき、毎回、再確認できているなって思うことがあって。それはワンシーンでも、ひとつの作品でも、このメッセージを伝えるためなら、手段を選ばないという姿勢。どれだけ脱線しても、どれだけふざけても、そのメッセージさえ伝われば、僕はいいと思っている。たぶん監督もそれに近い感覚を持っているんじゃないかなって。そんなこと、話し合ったことはないから、わからないですけどね(笑)。でも、映画とかドラマって、現実的でないとつっこまれる要素もたくさんあるんだけど、そんなことはどうでもよくて。こういうセリフを現実では絶対こうは言わないけど、あえてそうやることが逆におもしろかったりする。絵だって、写実的な絵よりも、ありえない絵の方が僕はおもしろく感じるし。例えば海の絵を描くとき、海が宇宙になっているとか。それって、写真でも、映像でも描けない、絵にしか描けないことだから。セットっぽく見せないようにがんばるんじゃなくて、逆にセットにぶつかったり、壊したりするような映画表現も、監督の魅力のひとつだと思います。

――長瀬さんはテレビドラマでも活躍されていますが、映画ならではの表現についてはどう捉えていますか?
【長瀬智也】 連続ドラマは3ヶ月間かけて(作品の世界観を)刻んでいくけど、映画は2時間でひとつのかたまりを一気に観たり聴いたり、感じるわけだから、やっぱりいちばん深く体に入ってくる気がします。あとさっき言ったように、描き方が自由であること。そしていつも一緒に仕事する人ではないスタッフたちが集まってやるわけだから、ジョイント・セッションみたいなよさもありますね。音楽もそうだけど、プレイヤーが変われば、毎回音も変わる。今回も何かしらの化学反応は起きていたと思うし、このメンバーでしか描けないものになっていると思います。

――音楽に芝居に、精力的な表現活動の源を教えてください。
【長瀬智也】 観てくれる人がいるということが、すべてだと思います。自分もスケボーとかに興味を持ってた小学生のころ、誰かが着ているTシャツのドクロや炎のグラフィックがカッコいいとか、そこをきっかけにしてどこかのバンドがカッコいいって影響を受けて、どんどん自分ができていった。きっとこの作品も、誰かにとってロックが好きになるきっかけになるかもしれないし、地獄がカッコいいでも、鬼がおもしろいでもいい。そういう誰かの人生の一部になっていくっていうことを考えたりするんです。自分が何かを観て影響を受けたように、誰かにとってそういうふうになれたらいいなって思うし。そういうのが源だったりするけど、なかなかそれってダイレクトに感じられることはないから(笑)。やっぱり、芝居だけではなく何でも、誰もやらないようなことをやりたいって思う。そういうものになっていけたらいいなと思います。
(文:石村加奈)



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