ティーンの心を掴む音楽SNSアプリ

 誰かの音源に重ね録りしたり、ユーザー同士で簡単に疑似セッションが楽しめる音楽SNSアプリ「nana」が10代を中心にユーザーを急拡大させている。同アプリとコラボしたオーディション企画なども散見されており、スター発掘の場としての期待も高まっている。

登録ユーザーは18歳以下が6割以上

 スマホを介して、投稿された音源に演奏やハーモニーなどを加え、セッションを簡単に楽しめる音楽SNSアプリ「nana」。ローンチは2012年だが、UI改良などを経て、特にここ18ヶ月ほどは急激に登録ユーザー数を伸ばし続けている。すでに200万人を突破、日々の投稿音源は約5万曲にのぼる。

「登録ユーザーは18歳以下が6割以上、女性が7割以上というのが現状です。初期は音楽スキルだけでなく年齢もやや高い方が多かったのですが、SNSでのシェアを経由して母数が増えれば増えるほど、気軽に使ってくれる女子中高生が増えている印象です。昨年からは、ニコニコ動画などでの人気ユーザーや、読者モデルのような方々も投稿してくれるようになり、そのこともユーザー数の増加には寄与していると思います」(nana music 代表取締役社長CEO文原明臣氏/以下同)

 歌ってみた動画などで知られるニコニコ動画などとは、ユーザーの動態としては共通項も多いのだろうか。

「「nana」は、いわゆる本格的なアーティスト志向ではないものの、歌や演奏に興味がある、といった人が多いですね。もちろん、二次創作的なニコニコ動画の文化との相似性は確実にあると思いますし、その土台の上にあると自覚もしています。私自身も『超会議』は皆勤賞ですが(笑)、いわゆるオタク層に特化せず、UI含めてフラットなもの、どんな嗜好の人でも音楽を楽しめるサービスであることには、細心の注意を払っています」

プロモーションや発表の場としても機能

 楽曲の使用については各管理団体との包括契約でクリアされている。オリジナル楽曲を投稿し、それが人気曲として支持されていくケースもあるが、圧倒的多数は既存の楽曲を歌ったり演奏したりすることでコミュニケーションを楽しむ層だという。

「難しい知識やスキル、機材がなくても、簡単に『歌ってみた』が実現できる。それに重ねて録音したり、拍手やコメントで盛り上がることもすぐできる。何より、そうした手軽さが女子中高生にとっては重要だったのだろうと思います。また、音が聴ける環境で使うアプリなので、動画広告との相性が非常に良かったりもします。今後は、広告モデルに加えて、月額で機能などを拡張したコースも用意しようと考えています」

 レーベルやプロダクションとのコラボ企画なども増えつつある。WHITE JAMの楽曲「咲かないで」を1万人で合唱して音源化するといった企画や、新人オーディションなどでの活用事例なども目立つ。

「プロモーションや発表の場としても機能させることができるのも「nana」の特徴です。レーベルやプロダクション向けの新人発掘のための仕組みも、より分かりやすく整備していきたいと考えています」

 以前から、小規模なオフ会などを継続してきたが、昨年には約1000人を動員したイベント『nana フェス』を開催。現在はユーザー発の自主的なイベントも全国で行われている。

「手軽に使っているうちに気づけば仲間ができて、一緒に楽しむようになる。そうしたオフラインへの流れは自然なこと。実は、すでに海外からの投稿も113ヶ国に達していますので、国境を超えてコミュニケーションを誘発するような方策も準備していきたいですね」

(コンフィデンス 16年6月27日号掲載)



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  • スマートフォンで、「カラオケ」「合唱」「バンドセッション」「音遊び」ができる音楽SNSアプリ「nana」。スマホのマイク機能を使い、音声や演奏の録音・編集・共有までを3ステップで行えるのが特長で、16年6月時点で登録ユーザー数は200万人を突破。18歳以下が69%を占め、女性が76%。投稿楽曲数は月150万曲、楽曲再生回数は月6000万再生
  • 「nanaフェス」/15年8月に開催。選抜ユーザーによるライブパフォーマンスの他、会場内に様々な音楽体験ブースを設け、「歌う・弾く・聴く」の全部ができる“参加型”イベントを実施。1000人超を動員した

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