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大喜利とバラエティー番組の50年(4)『笑点』『IPPONグランプリ』番組現場潜入記

 「大喜利とバラエティー番組の50年」と題して、「『笑点』(日本テレビ)とMANZIブーム」、「松本人志の『一人ごっつ』(フジテレビ)と『M−1グランプリ』(朝日放送)」、「大喜利の日本一を決める『IPPONグランプリ』(フジテレビ)とバカリズム」、という3つのテーマでこれまで展開してきた本連載(過去連載は下記リンクにて)。最終回となる4本目は、先月22日の『笑点 歌丸ラスト大喜利スペシャル』生放送後に行われた記者会見と、きょう11日放送の『IPPONグランプリ』第15回大会(後9:00)の収録現場の“潜入記”から両番組の魅力を探ってみたい。

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■落語さながらの『笑点』会見 円楽の毒舌と“歌丸節”がさく裂!

 5月22日、落語家の桂歌丸が『笑点』の大喜利司会を勇退した。1966年5月15日の初回放送から丸50年間、同番組に出演してきた歌丸の“思い”に迫ろうと、現場には多くの報道陣が詰めかけた。放送直後、歌丸司会最後となった『笑点』が行われたスタジオへ通されると、まだ熱気が残っている。そんな中、歌丸以外の出演者が一足先に姿を現した。すさまじい数のフラッシュを浴びる中、三遊亭円楽が笑いながら「俺らのこと撮っても、意味ないでしょ」とお得意のブラックジョーク。すぐさま、林家たい平が「いやいや、僕らを使って写真の練習をしているんですよ」と合いの手を入れると、番組さながらの息のあったかけあいに会場は大爆笑。そうこうしているうち、歌丸と新司会者に決定した春風亭昇太が登場し、記者会見が始まった。

 まずは、歌丸が「最後だと思うとジンときちゃうので、いつもと変わらない気持ちでした。50年歩んできた『笑点』とお別れすることは正直いってさみしいことですけど、次を譲らなかったら番組が続かないと思いますので…」と勇退の心境を吐露。続けて、メンバーたちが歌丸への思いを述べ、湿っぽい雰囲気になっていく中、歌丸が「今回、私が就任した終身名誉会長っていうのは、どういうものなんですかね?できれば、『笑点』の番組収録をスタジオの一番前の席から見てみたいですね」と怪気炎を上げると、会場は再び笑いに包まれる。さらには「もしも昇太さんが倒れたら、私が代わりをやりますから」との宣言まで飛び出すなど、歌丸節全開で会見が進んでいった。

 その後も、昇太の新司会が半ば“消去法”で決まったとの説明や、新司会最有力とみなされていた円楽による“敗戦の弁”など、内容が盛りだくさん。生放送後とは思えないほどのパワーと息のあったチームワークで話を展開させていき、報道陣に息をつく暇を与えなかった。最後は、歌丸が「噺家にとって、大きな大きな番組。私たちが世にでるきっかけを作ってくれて、顔と名前を売ってくれた。なので、私は恩人だと思っています」と締めくくって終了。笑いあり、感動ありで「落語」のように展開した会見に、報道陣から温かい拍手が送られていた。

■歴代王者と初出場組が白熱バトル! 『IPPONグランプリ』に息づく「緊緩理論」

 終始和やかな雰囲気を醸し出していた『笑点』から数日後、おなじ大喜利をテーマとした番組ながら、まったくの好対照のように、『IPPONグランプリ』の収録現場には独特の緊張感が立ち込めていた。出場者同士で回答の採点を行うというシビアな設定と、その様子を笑いのカリスマ・松本が見守るという“真剣勝負の場”。バカリズム、千原ジュニア千原兄弟)、博多大吉博多華丸・大吉)といった歴代王者を筆頭にそうそうたるメンバーがスタジオに登場し、試合前のインタビューが行われたが、みな一様に硬い表情を浮かべる。そんな出演者全員の心境を代弁するかのように、オードリー若林正恭が「あまりに緊張していて、収録前の行動がおかしなことになっていまして…。2年ぶりにジョギングをしてみたり、ネットショッピングで服をいっぱい買っちゃいました」とコメントし、会場の空気を和らげると、いよいよ試合がスタートした。

 Aブロックは、伊達みきおサンドウィッチマン 初出場)、大吉、バカリズム、堀内健ネプチューン)、川島明麒麟 初出場)。川島が、今回の参戦にあたって「『IPPONグランプリ』は、早押しでの回答で、しかも芸人が審査をするので、鬼気迫るものや、独特のアスリート感があると思っていました。番組の最初のころは、もし自分が出場したら…ということを考えてしまって、見るのも怖かったです」と話していたが、その言葉通りの壮絶な早押し合戦が1問目から展開される。優勝経験者3人はもちろん、“美声”を武器に迫っていく川島と、独特な角度からの回答で笑いを取っていく伊達の活躍も光り、チェアマン・松本の「荒れそうで面白い」との見立て通りの盛り上がりとなった。

 続くBブロックは、秋山竜次ロバート)、ジュニア、塙宣之ナイツ 初出場)、若林、今野浩喜(初出場)。悲願の初優勝に期待がかかる若林は「きょうは、ボタンの早押しを頑張ろうと思って、爪を磨いてきました」と気合十分。1問目から積極的に仕掛けていくと、終盤では肩で呼吸するほど体力を消耗させながらも、鬼気迫る表情で「IPPON」を獲得していく。一方、昨年末以降は俳優業が中心で“笑いの現場”からしばらく遠ざかっていた今野は、スピンオフ番組『IPPONスカウト』からの勝ち上がりで念願の初参戦。今野は2月末に出席したイベントで、タレントのビートたけしから次のような言葉をかけられていた。

「(相方が逮捕される)不慮の事態というか、いろいろな問題がありまして、ひとりになってしまいましたけれども、やっぱりそれはそれなりの、芸能界でのキャリアの上での歴史であって、それを良い方向に生かして、上がっていけばいいという風に思わないと。それを引きずることなく、頑張ってほしい。落語の上下(かみしも)もそれなりにできるし、良い腕は持っているんで、コンビではちょっとあれだけども、あなたはあなたで、これだけの腕を持っているんだから、これにめげずに芸の世界、特にお笑いの世界で頑張るべきだと思う」

 大先輩からの激励も受け、久しぶりに笑いの現場へと戻ってきた今野は「これがなかったら、お笑いをやっている感がないので…」と同大会への決意のほどをのぞかせた。そのほか、秋山・ジュニアの歴代王者の爆発力や、初出場・塙の回答に松本が「すげー良かった」とコメントする場面など、Bブロックも見どころ満載の内容となっている。

 松本が敬愛する落語家の故・桂枝雀さんは、生前「緊張の緩和」理論を説いた。極限の緊張状態から、一気に緩和すると「笑い」が生まれるという同理論は、まさにこの番組の醍醐味そのもの。回答までの静寂と回答後の高揚感…上方落語界の重鎮が確立した“笑いの理論”が『IPPONグランプリ』を支えていることが、現場取材を通して改めてわかった。

■『IPPONグランプリ』
放送日時:6月11日(土)午後9:00〜11:10 フジテレビ系
出演者(五十音順):秋山竜次(ロバート)、川島明(麒麟)、今野浩喜、伊達みきお(サンドウィッチマン)、千原ジュニア(千原兄弟)、博多大吉(博多華丸・大吉)、バカリズム、塙宣之(ナイツ)、堀内健(ネプチューン)、若林正恭(オードリー)
チェアマン:松本人志(ダウンタウン
観覧ゲスト:大地真央堂本剛KinKi Kids)、ローラ



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