あの一流ブランド「CHANEL（シャネル）」に“ウチの服を着てほしい”と思わせ、衣装提供を受けて世界各国を巡っている女性たちがいる。フランスでロングランヒットを成し遂げたガールズムービーの傑作『裸足の季節』（11日公開）の監督と5人姉妹を演じたキャスト。このほど初来日を果たし、9日に都内で行われたジャパンプレミアにもシャネルの服を着て華々しく登壇した。

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　「シャネルの衣装を着るということは、甲冑（かっちゅう）を着る感覚に似ていると思います」とあいさつしたのはデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督。「この作品が公開されるにあたり、トルコでは一部反発などもありました。そんな時、シャネルを着るとひと回り強くなったような、わが身を守ってくれるような思いがしました」と続けた。

　同映画は、トルコ・イスタンブール出身の女性監督による全編トルコ語の作品ながら、フランス映画代表として第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるという快挙を成し遂げた。自国語以外の作品がフランス代表となったのは『黒いオルフェ』（1959年、マルセル・カミュ監督）以来、56年ぶり2度目というのだから、どれほど稀有な作品か。

　トルコの小さな村に住む美しい5人姉妹が、古い慣習と封建的な思想のもと、一切の外出を禁じられ、1人また1人と祖母たちが決めた相手と結婚させられていく。そんな中で、13歳の末っ子・ラーレは自由を取り戻すべく、秘かにある計画を立てる。

　来日したのは、エルギュヴェン監督と、ギュネシ・シェンソイ（五女／ラーレ）、ドア・ドゥウシル（四女／ヌル）、エリット・イシジャン（三女／エジェ）、イライダ・アクドアン（長女・ソナイ）の5人。次女・セルマ役のトゥーバ・スングルオウルのみ都合がつかず、「トゥーバが一緒に来日することができなくてなんだか物足りない。彼女がいると、私たちはよりパワフルになれるんです」（ギュネシ）と本物の姉妹のような絆をのぞかせていた。

　監督も「彼女たちは、実際の姉妹のようでした」と称え、「5人で1つのキャラクターとして、とても一体感を持って演じてくれました。まるで子猫がからみあって、どれが誰の腕かわからなくなっているような雰囲気。撮影が進むにつれて、末っ子役のギュネシをはじめみんなが成長していくのもわかって、印象的でした」と母親のような優しげな眼差しを向けていた。

　“女性としてどう生きるか”は、古今東西、永遠のテーマ。本作について四女を演じたドアは「これは、トルコで実際にあることです。でも、みんな声をあげることができない。私は、このテーマを描いた映画に参加できたことはとても意味のあることだと思います。映画を通して、声をあげることができたんです」とコメント。

　エルギュヴェン監督は「大切なテーマを扱った映画を作ることができ、そしてはるばる日本でも観ていただくことができ本当にうれしく思います。映画を通して、女性が置かれている状況についても考えてもらえればと思います」と呼びかけていた。