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【オリコン】上半期本ランキング“寝かしつけ絵本”異例の総合1位 コミックは『ONE PIECE』が1&2位

 芥川賞という“金看板”を背に又吉直樹の『火花』が市場を席巻した2015年の総まとめから半年、2016年上半期の本ランキングを発表。BOOK総合では、人気小説を抑えて絵本『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』が異例の1位ランクイン。一方、『ONE PIECE』をはじめ上位不動のコミックでは“番付”に変化の兆しも現れた。いま売れている本をジャンル、作家ごとにランキングで発表。

◆現代ならではの社会事情が反映される“絵本”1位獲得

 『火花』の勢いはいまだ衰えることを知らず、Netflixでの実写ドラマ化、世界190ヶ国同時ストリーミング配信が実施されるなど話題は尽きない。安定したセールスを重ねた同作は、年が変わっての今回のランキングでも8位。堂々のTOP10入りを果たした。

 そのほか、今年に入ってからの書籍コーナーで大きな話題となったのは2作品。「たった10分で、子どもの寝かしつけができる」ことを謳った絵本『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(1位)と、昭和を代表する宰相・田中角栄氏の人物像に迫った石原慎太郎氏・著の『天才』(2位)だ。

 スウェーデンの行動心理学者が、子どもの寝つきをよくするために心理学的な仕掛けを随所に施して完成させた『おやすみ、ロジャー〜』は、絵本としては驚異的なセールスと反響を集め続けている。先日厚生労働省から発表された『合計特殊出生率』(女性が生涯に産む子どもの推定人数を示す数値)が、2年ぶりのプラスとなったことは明るいニュースとして伝えられたが、それでも依然として我が国の少子化には歯止めがかかりそうにない。そこには、夫婦がともに働かなければならない状況も大きく関わっているのだが、それゆえに、我が子を上手にあやす術を模索している世代が増えているとも言える。子どもの寝かしつけの活路を絵本に見出すという実情もまた、現代社会ならではであり、それを象徴する上半期の1位とも言える。

 一方、『天才』のヒットには様々な複合的要素が見受けられる。まず著者が、代議士時代に「反・田中」の代表格でもあった石原慎太郎氏その人であるということ。天敵をして「天才」と言わしめる田中角栄氏の魅力とはいったい何なのか、誰もが興味を示したくなるポイントだ。加えて、アベノミクス効果への疑問とともに世の中に垂れこめている諦めにも似た無力感が、ヒーローの出現を待ち望んでいるという時代背景もあるだろう。金権政治という汚点を一身に浴びて表舞台を去った稀代の政治家・田中角栄氏だが、紛れもなく日本の繁栄を築き上げていった彼のバイタリティこそが現在の政治には求められているのかもしれない。改めて田中角栄氏を知りたい、という欲求が人々を動かしたからこそのベストセラーであり、書店における「田中角栄コーナー」の設置事情と言えそうだ。

 そのほか、『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(5位)『置かれた場所で咲きなさい』(10位)は、2015年の年間ランキングに引き続いてのTOP10入り。時代性とは関係なく“真理”を捉えた永遠のバイブルとした良書である。また、本屋大賞のブランドパワーも変わることがない。2016年の大賞作『羊と鋼の森』(6位)のみならず、同賞2位の『君の膵臓をたべたい』(7位)も堂々の上位ランクイン。バイヤーが認める傑作は毎年読者の心をも的確にとらえている。

◆小説発信の恋愛ものが大きなムーブメントへ?

 他のジャンルとは異なり、大相撲の番付のように上位が不動なのがコミック部門だ。横綱『ONE PIECE』に、大関『進撃の巨人』、この両者を追うように『NARUTO-ナルト-』『暗殺教室』『東京喰種トーキョーグール:re』がひしめき合っていたが、『NARUTO』の連載終了、コミックの完結とともにその“ポジション”に飛び込んできたのが『ハイキュー!!』である。男女そろって五輪最終予選を戦うバレーボール人気はマンガの世界でも高く、今後の伸びしろに期待がかかる。また、先ごろ『暗殺教室』の連載が終了し、近いうちにコミックも完結を迎える。再び動きがあるであろうこの“番付”の変化にも大いに注目したい。

 文庫部門では、池井戸潤、東野圭吾、湊かなえという当代きってのヒットメーカーの作品がTOP3を独占したが、その次のポジションを奪った『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(4位)に注目したい。2015年の年間ランキングでも、現在映画が上映中の『64-ロクヨン-』を抑えて9位にランクインした人気作であったが、昨年末よりWEBにおいてコミック化がスタート。さらにこの年末には福士蒼汰、小松菜奈というキャスティングで実写映画化も決定しており、さらなる飛躍が望める。

 このところ、コミックの世界での恋愛ものにはヒット作が目白押しだったが、文庫、それも小説発信の恋愛ものが久しぶりに大きなムーブメントを起こすかもしれない。年間での動向から目が離せなくなりそうだ。
(文:田井裕規)



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