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松本人志、オリラジ中田…“ご意見番化”するお笑い芸人たち

 ここ最近、お笑い芸人の発言が“物申す”といった形でニュースなどで取り上げられ、賞賛を浴びる事例が増えている。お笑いコンビ・オリエンタルラジオ中田敦彦が、『白熱ライブビビット』(TBS系)でベッキーの行動に対して発した「あざとい」発言が賛否両論。また、ダウンタウン松本人志がコメンテーターとしてレギュラー出演し、度々その発言が話題となる番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)は高視聴率を記録するなど、注目度が高い。オリラジ中田だけでなく、“芸人のご意見番化”自体が進んでいるようなのだ。しかし、芸人たちの本懐は“笑い”で人々を楽しませること。当の芸人たちの胸中はいかに?

■博識多才な芸人たち “人気芸人=ご意見番”の代表格といえばビートたけし

 芸人が“ご意見番”としてもてはやされるのは、何も今に始まったことではない。その代表格といえば、やはりビートたけしだろう。1980年代の漫才ブームを受けて、ツービートとして一世を風靡したたけしは、『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)などを通して地位が確立すると、お笑い芸人としてはもちろん、その博識ぶりにも注目が集まるようになった。自伝的エッセイ『たけしくん、ハイ!』がベストセラーになると、1989年から 政治を中心にした討論バラエティ番組『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)に出演。いわゆる“ご意見番”的なポジションとなり、雑誌のコラムなど他のメディアでもコメントを残すようになる。

 このほか、島田紳助氏も、1990年から生放送の報道・政治討論番組『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系)の司会を務めたり、上方芸人の上岡龍太郎氏なども辛口コメントをウリにしたりと、実は芸人コメンテーターはかつてから存在していた。
「その流れは、特にビートたけしさんを尊敬する後輩芸人、爆笑問題の太田(光)さんやロンドンブーツ1号2号の(田村)淳さんに引き継がれています。太田さんは、『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』(日本テレビ系)で政治問題に切り込んだり、淳さんもTOKYO MXで政治色の強い情報番組(『淳と隆の週刊リテラシー』)に出演したりしていますね」(情報番組制作会社スタッフ)

 これまで、ご意見番の芸人と言えば、たけしや島田氏など、お笑いで天下を取った大御所が多かったが、近年は若手やミドルクラスのキャリアの芸人も多くなってきている。この流れが加速している理由はどこにあるのだろうか? その1番の理由は、彼らの情報番組コメンテーターとしての需要が高まっていることだろう。もともとたけしや爆笑問題・太田だけでなく、日々、様々な分野に目を向けて、漫才やコントのネタを考えている芸人は、情報番組のコメンテーターなどで見るタレントよりも、よほど社会問題や時事問題に精通している人が多い。昨今、TV番組制作に高いコストをかけられなくなっている中で、そこまで取材の手間やコストをかけなくとも知識とトークスキルで幅広い事象に切り込んでいける芸人は、コメンテーターとしてうってつけの存在。さらに、普段は本業で“笑い”をとっている芸人が、時事問題にズバッと斬り込んでいくとなれば、意外性から、話題性も高くなる。
「制作側も芸人ならではの“賢くて器用なコメント”を期待していますし、『あのお笑いの○○さんがこんな正論を言うんだ!』といったギャップも見せどころになる。メディアで“お笑い芸人が物申す!”といった感じで取り上げられて記事になれば話題にもなりますし、いろんな意味で芸人が“ご意見番”になることはおいしいんですよ」(前出・スタッフ)

■メディア側が芸人たちをご意見番に? 本意ではない芸人も

 しかし、当の本人たちはと言えば、ご意見番として発言が取り上げられることに対して、複雑な気持ちを抱く人もいるだろう。時として、バッシングの対象になることさえある。実際、松本は自身のTwitterで「お前はご意見番か!?って どこの馬の骨か分からんヤツに言われてる時点でオレはご意見番じゃないよな〜(笑)」と、皮肉ともとれる発言をしている。もちろん、狙ってやっている人も多いと思うが、意識せず、ただ自分が出演した番組で求められる役割をこなした結果、多くのメディアに取り上げられ、拡散されていく。さらに一度発言が話題になれば、会見などで時事問題に対する意見を求められることもあるだろう。その結果、“ご意見番”としてのイメージがついてしまうのだ。本人にしてみれば、“芸”が本業だけに、発言の一部だけがクローズアップされるのは本意ではないかもしれない。たけしだって、『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)では真面目な表情を見せたかと思えば、おふざけもする。やはり芸人の本懐は“人を笑わせてナンボ”なのだ。

 現在、極楽とんぼ加藤浩次バナナマン設楽統のように、情報番組などでMCを務める芸人も多くなってきている。今後も制作側の芸人に対する需要は増えるだろうし、様々な事件・事象に対するコメントも求められるであろう。そういう意味では、メディア側が芸人たちをどんどん“ご意見番化”にしていると言ってもいいかもしれない。視聴者にしてみれば、発言に対して感心したり、共感したりする一方で、やはり本業で笑わせてほしい、と思っている人も多いのではないだろうか。ベースである芸人としての自分を大事にしながらも、情報番組などで求められるご意見番としての立ち位置もきっちりこなしていく……これからのお笑い芸人は、そのバランス感覚が重要となっていくのかもしれない。



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