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KAT-TUNは「未知の領域」へ 充電前ライブで見せたもの

 5月1日、人気グループKAT-TUNが充電期間に入る直前に行われたツアー『KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR“10Ks!”』が、東京ドームでファイナルを迎えた。メンバーの田口淳之介が脱退し、亀梨和也上田竜也中丸雄一の3人となったKAT-TUN。元メンバーへの感謝も語られた、このライブで彼らが見せたものとは?

「パワーをつけてデカくなって戻ってきたい」と今後への気持ちを語ったKAT-TUN

「パワーをつけてデカくなって戻ってきたい」と今後への気持ちを語ったKAT-TUN

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■脱退メンバーの“不在”を補ってあまりあるエネルギー

 この10年間、6人のライブも、5人のライブも、4人のライブも観てきて感じたのは、メンバーが脱退した直後のライブでも、脱退メンバーの“不在”を補ってあまりあるエネルギーを、残されたメンバーが発揮していたことだ。
 とはいえ、5月1日のライブほど、KAT-TUNという壮大な宇宙船が、前人未到の岸辺にたどり着いたことを実感したことはない。“心を一つにして”なんて表現を軽々しく使うことがためらわれるほど、ステージ上で、彼らの心は純粋に、楽曲への愛、ファンへの愛、KAT-TUNへの愛に向けられていた。

■6人の出会いがなければ、今はなかったかもしれない

 最後の挨拶で、亀梨和也が、「“K”亀梨和也、“A”赤西 仁、“T”田口淳之介、“T”田中 聖、“U”上田竜也、“N”中丸雄一」と、グループ名の由来となるメンバーの名前を呼んだ。バラバラな個性を持った6人が集まったことによって生まれたグループ。その出会いがなければ、今はなかったかもしれない。だからその歩みに感謝すると、亀梨は5万5000人の前で語った。亀梨は、最後声を詰まらせていた。号泣した中丸は上田の元に歩み寄り、2人は力強く抱き合った。涙をこらえるように天を仰ぐ上田。そこに亀梨が加わり、3人は、抱き合ったり、腕を引っ張ったりしながら、ステージ上の階段をのぼっていった。ネクストステージへと向かう階段を。それは、3人のKAT-TUNへの愛がどうしようもないくらいに溢れた、美しい光景だった。

■東京ドームで記録更新してきたKAT-TUNが進む「未知なる領域」

 2006年3月、デビュー前のグループが東京ドームで単独コンサートを開催したのも初なら、2009年に8日間連続公演を敢行し、成功させたのも彼らが初めてである。充電期間のことを、「未知の領域」と亀梨は語っていたけれど、KAT-TUNというグループは、常に“未知なる領域”を進んできたグループだったのではないだろうか。もちろん、この場所に3人が戻ってこられるかどうか、現時点ではわからない。再会を誓いはしても、確約はできない。でも、そんな不安もすべてひっくるめて、涙も汗も葛藤も曝け出してぶつかり合う彼らは、強くて、逞しくて、何よりカッコ良かった。
 公演後、メンバーが「これがKAT-TUNの“最終形態”だと思うようになった」と語った。“メンバー半減”“3人きりのライブツアー”という試練を乗り越え、手に入れたリアル。永遠ではないときを一瞬もムダにしない彼らがこの日見せてくれた景色を、5万5000人の観客もまた、心に刻み付けたことだろう。
(文/菊地陽子)

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