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吉川晃司、“専業俳優”をも凌駕する圧倒的な存在感

 TVドラマ『下町ロケット』(TBS系)での財前道生役をはじめ、『大河ファンタジー精霊の守り人』(NHK総合)、8月公開予定の映画『秘密 THE TOP SECRET』では物語の鍵を握る凶悪犯役を演じることが発表されるなど、ここ最近、“俳優・吉川晃司”の話題が続いている。吉川と言えば、1984年のデビュー以降、“歌手兼俳優”としてその類まれなる才能を発揮してきたが、俳優として脚光を浴びるようになったのは近年のこと。なぜ今、俳優・吉川晃司の需要が高まっているのだろうか。その背景を探っていきたい。

俳優としての需要が高まっている吉川晃司 (C)ORICON NewS inc.

俳優としての需要が高まっている吉川晃司 (C)ORICON NewS inc.

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■三池監督作品をきっかけに映画ファンに浸透した圧倒的な個性

 吉川は、俳優として頻繁にTVドラマに出演するようになったのは2000年代に入ってからだが、1984年、シングル「モニカ」で歌手デビューすると同時に映画『すかんぴんウォーク』(1984年)で俳優デビューも果たしており(当時は歌手・映画同時デビューするのがアイドルの王道だった)、俳優としてのキャリアは30年以上にものぼる。しかし、吉川自身はあくまでも本業は“歌手”ととらえており、俳優業は“副業”程度の認識だった様子。1980年代後半〜1990年代はソロ歌手としての活動のほか、布袋寅泰とのユニット・COMPLEXなど、歌手としての活動が目立っており、俳優業から遠ざかっていた。

 吉川が俳優として脚光を浴びるきっかけとなったのが、言わずと知れた日本を代表する映画監督のひとり、三池崇史監督だ。2000年に出演した三池監督の“無国籍バトルエンタテインメント”という十八番のジャンルの映画『漂流街』で、吉川はヤクザ役を熱演し、三池監督と意気投合(ちなみに三池監督作品への出演は1987年に出演した『シャタラー』以来、13年ぶりだった)。続く2001年の三池監督の映画『天国から来た男たち』では主演を務めたほか、ミュージックビデオやライブビデオでもタッグを組んでいる。三池監督は吉川について、他の俳優にはない異質な存在感から“特別な役にもってこいな人”と高く評価。その後、三池監督以外の作品にも出演するようになった。

■松田優作との共通点 専業俳優にはないオーラ

 映画ファンを中心に俳優としての側面が注目を集めていた“俳優・吉川晃司”が、幅広い世代に浸透するきっかけとなったのは、2009年のNHK大河ドラマ『天地人』の織田信長役だろう。NHKとは『紅白歌合戦』出場以降、10年以上疎遠になっていると言われていたが、この頃には関係も修復し、重要な役どころを任されるまでに。その後はNHK大河ドラマ『八重の桜』や先述の『下町ロケット』など、地上波のTVドラマで観る機会も増えている。吉川の演技について、ドラマ制作会社のスタッフはこう分析する。

「俳優出身ではない“歌手兼俳優”の中ではかなり演技がうまいですし、何より歌手としてのキャリアを重ねる中で培ってきた、俳優にはない、歌手ならではの独特な存在感と言うか、オーラを放っています。単にうまいだけではなく、クールな中にある狂気とか、ちょっと危険な香りも出せる。年齢を重ねた今、その圧倒的な存在感は、例えるならば、故・松田優作さんに近い立ち位置になってきている気がします。音楽分野で頂点を極めたからこその圧倒的な個性を持っているのです」

■実はスポーツマン アクションシーンもこなせる幅の広さ

 また、高校時代、水球の日本代表に選ばれるなど、スポーツマンとしての一面もあり、自ら身体を張ってアクションをこなせるところも強みのひとつだろう。映画『さらばあぶない刑事』では、アクションシーンもできるだけ自分で演じたいとの思いから、バイクアクションに挑戦(その熱心さは練習中に骨折してしまうほど)。先般放送された『精霊の守り人』では、槍を持ってのアクションシーンに挑んだ。その身体能力の高さは、ライブでは今なお“シンバルキック”を披露していることからもわかる通り。実は役柄への探求心が非常に強いのだ。「歌手を本業にしている俳優さんですと、よく『どんな役柄をやっても結局同じ』という評価をされる方も多いですけど、吉川さんの場合はどんな役をやっても程よい感じに役に染まるんですよね。『下町ロケット』での“苦悩する吉川”、『天地人』での“凶暴な吉川”……ちゃんと“吉川色”は残しながらも、その役柄にスッと入り込んでいるんです」(前出・スタッフ)

 俳優を“副業”とらえていたデビュー当時から長い年月を経て、本人が“職業・吉川晃司”と話す通り、すでに“俳優”“歌手”という垣根はなくなっており、今は、自分に与えられたフィールドでどう表現できるか、といった部分に主眼が置かれているのかもしれない。自分という存在にブレがないからこそ、俳優としても重宝されるのだろう。その生き様は“男前”でカッコいいのだが、決して作られたものではなく、あくまでもナチュラルなカッコよさ。専業俳優にはない俳優としての魅力が、プラスに作用しているのだ。

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