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大物芸人が続々回帰、見直されるローカル番組の価値

 ダウンタウン松本人志の『松本家の休日』、浜田雅功の『ケンゴローサーカス団』、ナインティナイン岡村隆史の『なるみ・岡村の過ぎるTV』……名だたる大物芸人の後に続くのは、あまり馴染のない番組名たち。それもそのはず、これらの番組は地方局のローカル放送で、全国ネットでは放送されてないのだ。今、大物芸人たちがこぞってローカル番組に“回帰”しているが、なぜ天下を取った彼らがわざわざローカル番組を持つのだろうか?

■かつてのローカル番組は全国放送への足掛かりでしかなかった

 『松本家の休日』(朝日放送)は、松本が“お母ちゃん”、宮迫博之が“お父ちゃん”、たむらけんじが“長男のけんじ”という設定で、1万円を使って遊ぶというだけのユルい番組。『ケンゴローサーカス団』(毎日放送)は放送開始したばかりだが、浜田が務める団長に、様々な芸人たちが噂話や面白い話を持ち寄って“どーでもいい会合”(※公式サイト掲載)を開くという内容だ。また、『なるみ・岡村の過ぎるTV』(朝日放送)も、岡村の先輩芸人であるなるみとともに、「○○過ぎる」モノや人を紹介するのだが、やはり大阪以外の地域の人間には、大阪におけるなるみの影響力の高さはあまり知られていない。

 どの番組も深夜放送で内容もユルいのだが、これらの大物芸人たちに共通するのは、全国放送では見られないリラックス感を漂わせていて、なぜか生き生きとした表情で番組を楽しんでいる印象があるのだ。
「自由な番組作りが難しくなった今、全国放送向けの様々な“しがらみ”をクリアして頑張っても、それが視聴率に直結するとは限りません。若い人たちは自らYouTubeに動画を投稿してるし、個人個人の趣味嗜好によってネットテレビやケーブルテレビを楽しんでいます。マスコミ自体もどんどん、“マス(大衆)”から“ニッチ(隙間)”に向ってますね。絶対数が少なくても、ある程度は確実な数字が見込めるからです。かつてはローカル番組と言えば、“全国放送への足掛かりに過ぎない”というイメージが強く、逆に全国ネットからローカル番組に主軸を移すと、“都落ち感”もありましたが、今の視聴者は気にしません」(バラエティ番組制作スタッフ)

■ローカル番組のイメージ覆した『水曜どうでしょう』の功績

 この大物芸人たちが続々回帰した要因としては、ローカル番組の価値向上にある。つまりは、キー局を主軸としてきたタレントがローカル局に出演しても“都落ち感”がなくなったことが大きい。そのローカル番組の価値向上のきっかけとなったのは、もちろん『水曜どうでしょう』(1996年〜 北海道テレビ放送)だ。同番組は、ただ単に旅を続けていくというだけの、これまたユル〜い深夜バラエティ番組だったが、口コミで面白さが広がると、DVDが異例の大ヒットを記録。大泉洋という人気俳優を生み出し、大泉が所属する演劇ユニット・TEAM NACSから安田顕などを輩出したのである。

 また『痛快!明石家電視台』(毎日放送)は、明石家さんまが唯一関西で公開収録する番組だが、1990年から続く長寿番組で、時にはスペシャル番組として全国放送もする。さらにいえば、かつては一世を風靡した『よしもと新喜劇』にしても、1962年から毎週土曜の昼に放映されている、由緒正しい、れっきとした大阪ローカル番組なのである。

■郷土愛溢れる“ご当地芸人”たちが急増中 地元では絶大な人気

 そして現在では、全国区の知名度を誇りながら、地元ローカル番組に出演し続ける“ご当地芸人”も増えている。サンドウィッチマンは今でも仙台を中心に、東北の番組で活躍し続け、仕事の幅を広げると同時に、地元民からも絶大な人気を誇る。博多華丸・大吉は『華丸・大吉25周年記念 祝いめでたSP』(テレビ西日本)で、吉本の同期であるナインティナインのふたりを博多の屋台に招き、福岡吉本の同期であるカンニング竹山に「絶対に東京進出はやめろ」と言われて悩んだ過去を激白していたが、今でも東京・福岡で半分ずつ仕事をする生活を続けている。

 また、なぜか千葉テレビ放送では『白黒アンジャッシュ』という番組が2004年から放送されているが、グルメキャラではない渡部建とヘタレキャラではない児嶋一哉が見られる貴重な番組として、視聴者からも高い評価を得ている。

■浜田雅功も明言「ダウンタウンの“最後”は花月で漫才」

 かつて、バラエティ番組『浜ちゃんと!』(日本テレビ系)でダウンタウンの浜田雅功は「ダウンタウンで最後どうすんねん? っていうのは、『花月で漫才しよ』って言うてるんですよ。そこは決まってるんです。最後の最後は花月なんですよ。ダウンタウンとしてはね」と明かしている。

 キー局の番組で同じ芸人と競い合い、常に視聴率を気にしたりするプレッシャーに比べれば、規制のユルいローカル番組ではやりたいことを自由にできるし、“ホーム”に帰ってきたかのような安心感もあり、ホッとひと息つける場になっているのかもしれない。そうした相乗効果が、ローカル番組自体の質の高さや面白さにもつながり、多くの視聴者から注目されているのである。“大物芸人のローカル番組進出”の流れは、単なる一過性のものではなく、今後も続いていくだろう。



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