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池田秀一&古谷徹、シャアとアムロの37年「10年ぶりの対決は血が騒いだ」

 あの『機動戦士ガンダム』の永遠のライバルが、劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢』で今ふたたび対峙した。アムロの声を演じた古谷徹が安室透(あむろ とおる)、シャアの池田秀一が赤井秀一(あかい しゅういち)として、10年ぶりの対決シーンが実現。そんなベテラン声優のふたりが、かつての“戦い”と、当たり役を背負っていくことの宿命、昨今の若い世代の声優への想いを語り合ってくれた。

人生を変えた『ガンダム』との出会い…お互いの関係を「ライバルであり戦友」と語る古谷徹(左)と池田秀一

人生を変えた『ガンダム』との出会い…お互いの関係を「ライバルであり戦友」と語る古谷徹(左)と池田秀一

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◆僕は、池田さんをライバルであり、戦友だと思っている(古谷)

――『機動戦士ガンダム』シリーズで共演されていたおふたりが、劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢』で安室と赤井として共演することを聞いたときはどう思われましたか?
【古谷】 楽しみで仕方がなかったです。僕が演じる安室……アムロではないですよ(笑)。テレビシリーズで安室は、池田さん演じる赤井との間にかなりの確執があったので、それがどう今回の映画につながるのか、どういう対峙の仕方になるのか、すごく興味深かったです。
【池田】 お待たせしました! と(笑)。これまでにもゲームのキャストとしては古谷さんと名前が並んでいたりするんですけど、別録りだったので。収録で対峙するのは、『機動戦士Zガンダム』劇場版以来、10年ぶりじゃないかな。だから今回の映画では、かなり久しぶりのバトルでしたね。

――おふたりのバトルとなると、燃えるものはありますか?
【古谷】 やはり血が騒ぎますよね。
【池田】 マイクの横で古谷くんが戦っているのを感じるのは、なかなかいいものですよ。これは、他の誰とも味わうことができない感覚なんですよ。
【古谷】 僕は、池田さんをライバルであり、戦友だと思っているんです。37年ものあいだ、『ガンダム』のシャアとアムロとしてずっと関わり続けてきたこの関係は特殊なもの。だからこそ、新しい仕事が来ると、事務所も違うのに池田さんに相談をするんです。すごく頼りになるんですよ。
【池田】 まぁ、人に相談するときは、たいがい結論は出ていて、背中を押してほしいだけですから。失敗したら僕のせいにすればいいと思っているんだろうし(笑)。
【古谷】 そんなことないですよ(笑)。話を聞いていただいて、貴重なアドバイスをいただいたりしています。

◆声優として行き詰っていたときに出会ったのが『ガンダム』(池田)

――おふたりは今回のようにシャアとアムロに関連付いた作品に出演したりと、看板作品とキャラクターを背負いながら声優を続けられていると思います。まったく違う作品に携わるときなど、そのイメージが足かせになることはありませんでしたか?
【古谷】 足かせと言えば、まず僕は15歳のときに『巨人の星』の星飛馬役をやらせていただいて、その作品が大人気になったことで、すっかり“古谷徹=熱血ヒーロー”というイメージがついてしまったんです。でも、実際の僕はこのタイプではなかったので、「もっと違う役ができるのに!」と、つねに葛藤がありました。それから10年たって、アムロという役に出会い、全く違う役柄を演じられたことで、すごく救われました。なので、僕にとってアムロと出会えたことは、大変な幸運だったんですよ。両極端の役を演じることで自信にもつながりましたしね。
【池田】 僕も、シャアと出会えたことはすごく幸運だったと思います。当時はこんなに話題になるとは思ってもいなかったし、作品も異色だったので、最初は“失敗してもいいからやってみよう”という意気込みで取り組んでいました。当時の僕は行き詰っていて、何をしたら正解なのかわからなくなっていたんです。でも、『ガンダム』に出会ったことで声優としての道が開けました。その後も足かせになるどころか、こうやっていろいろな作品やスタッフと出会わせてくれてもいます。僕にとっては、自分を救ってくれた大事な役。シャアにはすごく感謝をしています。ひとつ古谷くんに対して思うのが、『ガンダム』のアムロにも今回の安室にも、シャアや赤井はかなわないんです。僕は、古谷くんにはいつまでも勝てない……。そこは純粋にいいなって思いますね(笑)。

――37年たったいま、『コナン』の映画におふたりのアムロとシャアを彷彿させるキャラクターが出てくるのも、すごくおもしろいですよね。
【古谷】 原作者の青山剛昌先生が『ガンダム』ファンだったことで実現したので、すごく感慨深いです。
【池田】 名前にしても、設定にしても、“ここまでやっちゃっていいの?”って思いましたけど、その思い切りの良さがおもしろさにつながっていますよね。
【古谷】 アムロとシャアを僕たちがやっていたからこそ、安室と赤井をやらせていただけたんだと思いますが、世界が全く違うので、ふたりとも『名探偵コナン』では魅力的な大人として確立してますよね!

――ちなみに、おふたりのなかで『ガンダム』での印象的なセリフは何ですか?
【古谷】 やっぱり、「殴ったね!」ですかね。
【池田】 僕は「坊やだからさ」です。……でも、今回の『コナン』でも、コナンのことを“坊や”って呼ぶんですよ。となると、どこかで意識しちゃうんですよね。シチュエーションも役柄も全然違うんだけど、“坊や”って言うと、ついうちの坊や(アムロ)を思い出しちゃう(笑)。でも、こっちの坊や(コナン)は、裏切らない坊やですから、いい子ですよ(笑)。

◆若い世代へのアドバイスは…“もっと飲んで遊べば?”(古谷)

――そんな“坊や”であるコナンが今作でも大活躍しますね。ところで、最近は声優さんが作品キャラクターに扮してCDリリースする“キャラソン”もファンから支持を得ています。大ベテランのおふたりはいまの声優シーンをどう見ていらっしゃいますか?
【古谷】 すばらしいことだと思います。僕は、キャラクターと声優が連動したそういう活動を応援しています。いまはアイドルも声優も垣根がなく、魅力のある人間だからこそ人気が出るんです。もちろん、すべては作品とファンのためであり、そこで声優になにができるか、なにをやるべきかということですが、チャンスがあるなら何にでもチャレンジして良いと思います。ただ、何をやるにしても、まずは声優としての力量をしっかり持ったうえでやってほしいですけどね。
【池田】 僕も最初にキャラソンが流行していると聞いたときは、一体どんなレベルのものなんだろうと思っていたんですが、実際に活動しているところを見ると、宮野真守くんや水樹奈々ちゃんとか本当にがんばっていました。このふたりのような存在がいれば大丈夫だなって思いますね。
【古谷】 ふたりはもともと音楽畑だし、声優としての力量も申し分なし。彼らくらいのクオリティを見せてくれると、嬉しいですね。

――おふたりからいまのアニメシーンで活躍する若い世代の声優にアドバイスを送るとしたら?
【古谷】 ひと言でいうなら、“もっと飲んで遊べば?”って思います(笑)。
【池田】 今の若い世代は、本当に遊ばないよね。仕事以外での僕らの世代との付き合いもあまりないし……。そういう時代なんですかね。僕らが怖いのかもしれないけど(笑)。でも、コミュニケーションとして、怒られることも大事。怒るというのは、その人に興味があるからすることだから、受け入れることも大事だと思う。だって、おじさんたちはめったに褒めない! むしろ、褒められたら怪しいと思った方がいい。なにか裏があるって(笑)。
【古谷】 気になるから、声をかけるんだしね。僕たちに声をかけられたら一緒に飲みに行ってほしいよね。怒らないから(笑)。
(文:吉田可奈)

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