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スパローズ、解散寸前だった コンビの危機救った先輩芸人たちの愛

 きょう4月1日は、エイプリルフール。多少のウソなら笑って許される日であるが、世の中には決して許されないウソが存在するのもまた事実。そんな中、所属事務所や関係各所を巻き込んだ“解散詐欺”で騒動となったコンビが今月で芸歴22年目を迎えるスパローズ森田悟大和一孝)だ。その真意に迫るべく、ORICON STYLEでは2人へのインタビューを敢行した。

■毎年の目標「芸人辞めない」への葛藤
 1995年に高校の同級生同士で結成された同コンビは、共に趣味として競馬と競艇を挙げるほど、大のギャンブル好き。事務所を渡り歩きながら身につけた“借金上等”や“漫才ネタでの事務所の悪口”といったノーガード戦法が注目を集めて、今や「キングオブクズ」の異名を誇る。そんな彼らだが、漫才の中で芸歴と知名度の格差を嘆くことはあっても、毎年の目標「芸人を辞めないこと」は守ってきた。

 ところが、少しずつ心境に変化が訪れたのだと大和は明かす。「何年やっても、なかなか稼げない世界。漫才では自虐として言ってますけど、実際には『そんなものはやめる』って言う人のほうが正常じゃないかなって思っています。もし自分に子どもがいたら、芸人の世界には絶対入れさせないですね」。華やかな芸能界の影に隠れた、アラフォー芸人たちの厳しい現実がそこにはあった。

 先の見えない不安から、1年半前に大和が一度“解散”を提案。「芸人をやめて、普通に働く」と宣言したが、コンビ結成20周年ライブを直前に控えていたことから、話は立ち消えとなった。その後、親交のある落語家から「着物を畳むだけで3万円もらえる」という真偽不明のウマイ話を聞きつけた大和に“新たな光”が差し込んだ「僕は自分の人生を一冊の自伝に置き換えて考えるんですけど、その時は『売れない芸人編』はもう飽きたなと感じていました。だから、そろそろ『落語家編』にいかないと面白くないなって思っちゃったんですよね」。一度ついた火は消えず、再び相方にコンビとしての終わりを告げた。

■ついに解散を決意 撤回迫った先輩芸人たち
 森田は相方から改めて解散の申し出があった時のことを、なぜか笑顔で振り返る。「大和さんからは前にも言われていたので…でも、芸人を続けるということを聞いてビックリしたのと、大和さんが『オレは落語になろうと思ってる』と間違っていて、落語家じゃなくて落語になろうとしているんだなって思いましたね」。そこから、3月3日の事務所ライブで発表、31日に解散という日取りが決まった。

 多くの先輩芸人たちの説得を何とか振り切った大和だが、最後まで言い出せなかったのが「博多大吉」「カンニング竹山」「ウド鈴木」の3人。発表間近の2月末、第1関門の大吉から「お前が撤回するまで、オレはきょう帰らん」という必死の説得を受け、気持ちが揺れたが「何とか大吉さんとお別れして、持ちこたえました。竹山さんからは『旅に行くぞ』ってメールが来ていたので(事務所の大先輩)小堺一機さんや事務所の専務にお伝えした直後に行くよう、予定を組みました」と回顧。そんな中、最終関門のウドから「2人で話をしよう」との連絡が入り、小堺にあいさつする2時間前に会うこととなった。

 解散にいたるいきさつを聞き終えたウドは深くため息をつくと、珍しく語気を強めて迫った。「結論から言うと、お前らは解散するべきじゃない。オレの目に狂いはない」。その後も根気強く説得するウドの言葉を聞くうち、大和の体に変化が生じた「頭がすごく熱くなって『ここから撤回するって、アリかな?』って思うようになりました」。急転直下で“コンビ継続”を決意した大和が、すでに小堺のもとへ向かっていた森田にその旨を伝えたところ、強烈なツッコミが返ってきた「いや、オレは最初から組んだままの方がいいって言ってるよ!」。先輩芸人たちの思いが積み重なった結果、マコトの話がウソへと変わり、ここに“解散詐欺”が完成した。

■前代未聞の“解散詐欺” 詐欺ネタ武器に再スタート
 解散取りやめとなると、これまた一大事。レギュラー番組の引き継ぎなどを終えた関係各所への謝罪行脚がはじまった。早速、小堺らが待つフジテレビ系『ごきげんよう』の楽屋へと向かい「解散することをお伝えしようと思ったのですが、ウドさんに説得されて、続けることにしました」と正直に伝えた。小堺が「じゃあ、何で来たの?」とボソリとつぶやくと、周りは大爆笑。近くにいたスタッフが「BSでネタ番組あるけど、出る?」と声をかけるなど、状況が好転しはじめた。森田が顔をほころばせ「次の新ネタは、大和さんがコンビやめるっていうのと、落語をナメてるという2本立てでいこうと思います」。「キングオブクズ」の名に偽りなし、騒動を武器に再スタートを誓った。

 立川談志はかつて「落語とは人間の業の肯定である」と説いた。そんな談志の姿を弟子の立場から描いた、立川談春の著書『赤めだか』の存在を知らずして、落語の世界に飛び込もうとしていた“愛すべき与太郎”こと大和が、今回の騒動をこう締めくくった。「この話自体が人情噺ですよね。だから、僕がはじめに相方に言った『オレは落語になる』って言葉は、あながち間違いじゃなかったんですよね。お後がよろしいようで」。




関連写真

  • ”解散詐欺”騒動のてん末を語ったスパローズ(左から)森田悟、大和一孝 (C)ORICON NewS inc.
  • 騒動を武器に再スタートを誓った (C)ORICON NewS inc.

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