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“芸人DJ”はなぜ音楽業界にも高い影響力持つのか?

 小説家、映画監督、俳優、脚本家など、“趣味”やその延長線上にある“副業”で新たな才能を発揮するお笑い芸人が増えている。その中で、近年、音楽フェスでメインステージにも匹敵するほどの集客力を持ち、主催イベントで1万人規模の動員を記録しているのが、“芸人DJ”たちだ。“ROCKETMAN”ことふかわりょう、大谷ノブ彦(ダイノジ)、やついいちろう(エレキコミック)らが、DJとして本業であるお笑いを凌駕するほどの人気を獲得しており、やついが行っている『YATSUI FESTIVAL!』ではブレイク目前の新人アーティストをいち早く登場させるなど、ヒット請負人としての側面も見せている。そんなやついに、音楽を“副業”とする真意について聞いた。

■“世代交代”が極端に少ないお笑い界において、 若手芸人の“副業”は必須

 近年、お笑いを軸にしつつも、『火花』で芥川賞を受賞したピース・又吉直樹のように小説を書いたり、品川庄司・品川祐は映画監督を務めたり、アスリート、脚本家、俳優……“副業”で本業を凌駕するほどの活躍をする芸人たちが目立っている。「芸人ならばお笑いで勝負してほしい」という意見もあるかもしれないが、現在のお笑い界では相変わらずビッグ3(ビートたけし、明石家さんま、タモリ)が現役だし、その下の世代のとんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題も多くのレギュラーを持つ。さらにネプチューン、さまぁ〜ず、くりぃむしちゅーなど、40代になっても旬さを失わない芸人が多数活躍しており、30代以下の芸人はなかなか入り込むすきがない。お笑いだけでは食べていくのが難しい状況の人も多く、他ジャンルで才能を発揮していくというのは自然な流れだろう。

 近年では音楽を“副業”とし、多大な影響力を持つようになった芸人もいる。そのひとりが、エレキコミックのやついいちろうだ。「DJやついいちろう」としてDJ活動を行うやついは、のべ1万人以上を集客するお笑い、音楽のイベント『YATSUI FESTIVAL!』を開催するほか、音楽フェスでも引っ張りだこ。ひとたびステージに立てば、会場に収まりきらないほどの人が集まる。そのプレイスタイルは、ただ邦楽の人気曲をオシャレにかけるのではなく、一緒に歌ったり、観客の一体感を生む演出を施したりと、エンタテイメント性に満ち溢れている。また、『やついフェス』に関してはただプレイするだけでなく、ブレイク前や旬の若手アーティストが多数登場することから、音楽ファンはもちろん、業界関係者までもが熱い視線を送るイベントに成長している。

■芸人×他ジャンルの化学反応から生まれる新たなムーブメント

 昨今の流れを受けて“副業”と表現したものの、やつい自身は、「DJはやりたいことのうちのひとつです。僕はコントをするのが一番好きですが、DJをしたり音楽を聴いたりすることも大好きです。なので、好きなことをやっているだけ。芸人としてとかは全く考えていません」と、DJ業についてはあくまでも“好きなこと”の延長線上で、あくまでも芸人であるというスタンスは変わらないという。「(お笑いもDJも)楽しいことをしたいという意味では、同じだと思っています。曲をかけて楽しくなるとか、コントを見て楽しくなるとか。芸人なのでその部分は強くあると思います。とにかくそこにいる人に楽しんでほしいというだけです」と話しており、芸人という軸があったからこそ、多くの音楽ファンにも受け入れられる存在となったことが窺える。

 先ほども述べたとおり、芸人が本格的に本業以外の仕事に手を出すと、ともすれば批判の対象になりがちだ。ただ、世の中にはアスリートが歌ったり、俳優・女優が声優に挑戦したり、かたやアーティストとして人気を得る声優がいたりと、マルチに活躍する著名人はたくさんいる。芸人だって何もお笑いだけやっていなければいけないという決まりはないし、肩書が“お笑い芸人”であるという軸さえブレていなければ、ある程度自由に動いてもいいのではないだろうか。むしろ、そのジャンルと科学反応を起こして、さらに面白いものが生まれる可能性だって高いのだ。



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