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『文豪ストレイドッグス』、新たなコミック展開の可能性

 文豪たちが、それぞれの代表作を冠した異能力でバトルを繰り広げる『文豪ストレイドッグス』。神奈川近代文学館との2回にわたるコラボレーションなども奏功し、読者ターゲットである中高生に対し、文豪作品自体へ目を向けさせることにも成功しているという。

■同作ヒットで文豪作品へのセールスにも好影響

 コミックが最新9巻までで累計発行部数250万部を超え、小説版3作、スピンオフ小説も好調、さらに4月期よりTVアニメがスタートする『文豪ストレイドッグス』。太宰治、芥川龍之介、中島敦、国木田独歩といった名だたる文豪たちと同名の美麗なキャラクターたちが、それぞれの代表作等を冠した異能力を用いてバトルを繰り広げるという、奇想天外な物語だ。

 「中高生の男女という、異能力名の元となるような小説はまず読まないと思われる層がメインターゲットですので、キャッチーさ、わかりやすさは大事にしています。ファン層は3:7で女性ファンが多いようですね。さらに、連載を始めた時のサブ目的でもあったのですが、この作品がきっかけで文豪たちの作品を手に取る読者が増えているそうで、非常に嬉しいです」(コミック担当 加藤氏)

 雑誌連載開始は12年暮れ。社内やグループを横断する大プロジェクトなどでは決してなく、ひっそりと始まった作品だったというが、徐々に人気を上げ、14年に太宰治展、15年に谷崎潤一郎展と、神奈川近代文学館とのコラボを実現し話題となった。

 「先方からのお声がけで参加させていただいたのですが、通常の催しより明らかに若いお客様が増えたと大変喜んでいただけました。この企画も含め、書店員さんなど、作品に注目して下さった多くの方々の助力で、ここまで育ってきたという実感があります」(加藤氏)

 14年より、コミックスの前史を描く小説版シリーズも同社のビーンズ文庫で展開中。コミック原作の朝霧カフカ自身が手がけ、20万部に手が届く着実な成長を遂げている。

 「コミック本編では描けない部分をいかに作品化するか、世界観を補完しつつ拡大できるか、といった部分をかなり入念に考えて執筆いただいています」(小説版担当 白浜氏)

 さらに、現役作家の綾辻行人京極夏彦を異能力使いとしてキャラクター化した外伝も登場。こちらも朝霧が手がけ、実際の両作家からもいわばお墨付きともいえる高評価を得ている。
 
 「コミックスの帯に推薦文を書いていただいた際、お2人ともキャラ化を済ませていたのがきっかけです。外伝ということで、より作品世界を広げる役割は果たせているのかなと思っています。反響次第では、現役作家シリーズを展開することもあり得るかもしれません」(外伝担当 伊知地氏)

 原作者の朝霧カフカは、ニコニコ動画で自作を公開していたところを発掘され、同作が商業デビュー作となる。

 「朝霧さんは今、TVアニメのシナリオ打ち合わせにも毎回出席し、積極的に関わっておられます。作画の春河35さんも、それまでほとんどマンガを描いたことのない方でしたが、常に期待値を超えた絵を上げてくる。お2人とも常に努力し、作品に全力で取り組む方々で本当に良かったなあ、とつくづく思います」(加藤氏)

 アニメ化を機に、これまで以上のマーチャンダイズや海外展開など、より多層的な広がりも期待される。また4月からは、同社が発行する文豪作品のカバーに各キャラクターが登場することも発表されたばかり。若い読者層に、文豪たちの実際の作品に触れる導線を提供することは、短期的なカタログ作品の活性化のみならず、長期的には日本のコンテンツ作り全体のボトムアップに繋がる意義もあるだろう。引き続き動向に注目したい。(文/及川望)

(コンフィデンス 16年3月7日号掲載)



関連写真

  • 4月からTVアニメも放送開始される『文豪ストレイドッグス』(TOKYO MXほか)(C)2016 朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA 文豪ストレイドッグス製作委員会
  • 『文豪ストレイドッグス』作品展開の様子

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