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『アーロと少年』監督インタビュー 映画作りの原点は“母との思い出”

 12日より公開されるディズニー/ピクサーの最新作『アーロと少年』で初の長編アニメーション監督を務めたピーター・ソーン氏。『カールじいさんの空飛ぶ家』に登場する少年・ラッセルのモデルになっているソーン監督は、人柄がにじみ出る笑顔の通り、アニメーション監督の道を選んだ理由にも優しさがあふれていた。

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 同作は、恐竜が絶滅しなかった地球を舞台に、弱虫でひとりぼっちの恐竜アーロと、小さいけれど怖いもの知らずの少年スポットの友情の物語だ。アーロとスポットが壮大な冒険の先に大切なものを見つけていく姿を描く感動作となっている。

 ソーン監督の両親は韓国系の移民で、70年代にNYに移住し、小さい商店を営んでいた。よく映画を観に連れて行ってもらっていたが、英語に堪能ではなかった母親は内容を理解できず、笑いや感動を共有できないことを残念に思っていると、ある日、ソーン監督が映画の内容を訳さなくても伝わる映画=アニメーション映画に出会う。

 「映画館で観た『ダンボ』だよ。『私の赤ちゃん、泣かないで』と歌うシーンがあるんだ。母は感動していて、僕は何も通訳する必要はなかった。ビジュアルのおかげで、彼女は何が起きているかすべてを理解できた。その出来事は、アニメーションについてすべてを学ぶのに、とてもインスピレーションを受けることだった」。母親が周りの人と一緒に感動して涙を流していた姿を見て、言葉がわからなくても、映像や音楽で心を動かすアニメーションのすばらしさに気づいたそうだ。

 その後、アニメーション監督を目指すが、「アートでキャリアは築けない」と両親の反対にあってしまう。「僕の母は、子供の頃アーティストになりたかったんだ。だけど、彼女が子供の頃、アーティストにはなれないと(両親から)言われた。母はそこから“学んだ”から反対した。でも、僕がもっとアートをやるようになればなるほど応援してくれるようになった。理解してくれて、『もしやりたいなら、そのために学校に行かないとダメよ』と言ったんだ。両親は今もアニメーションのことは理解していないけれど、僕が初めての長編映画を監督したことをとても誇りに思ってくれている」。

 両親とのエピソードは、映画作りにおいて大切な“学び”だった。「映画を作るということは、最初は赤ちゃんのようなアイディアを育てていって、どういうものになるべきなのかを教えこんでいくようなものだからだ。両親は『ダメだ。おまえはアーティストにはならない』と長い間言ってきた。でも、それから両親は僕の言うことを聞き始めた。『アーティストになりたいの。じゃあ、私たちはおまえを助けるよ』とね。僕は、映画のために同じことをしないといけなかった。映画が『僕はそういうふうにはなりたくない。これをやりたいんだ』と言い始める。この映画を作る上で、両親と僕の関係はとても興味深い教訓になった」。

 ソーン監督にとって自分の作品は子供のようなものなのだろう。初めは小さなアイデアもだんだんと大きくなっていき、こんなエピソードを入れたらどうだろうとか、あんな結末にしたらどうかなど、映画自体が語り出す。制作過程でこんなアイディアはダメだと思ったとしても、最後は「僕が助けてあげるよ」という親のような気持ちで製作していったのだ。

 作品で描かれるのは、恐竜のアーロと少年スポットの“言葉を超えた友情”の物語。本作には母親との思い出に通じるものがある。「スポットをどういう風にするかを考えるのはとても楽しかった。彼は言葉を話さない。アーロは話す。それは、僕が共感できることだった。お互いのことを理解しようとする時に、ミスコミュニケーションがあったりすることがね。それがこの映画の人間関係の核心なんだ」。言葉が通じないアーロとスポットには、母親とのそんな思い出が詰まっているのかもしれない。



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