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非二枚目枠に踏み込むジャニーズ勢 今期ドラマで際立つ“キャラ変”

 今期の連続ドラマがクライマックスに入っている。突出した視聴率を記録する作品がないが、5本あるジャニーズ主演ドラマでは、アイドル俳優たちの“キャラ変”が目につく。

◆ファンに喜ばれる本人イメージありきのドラマが多かった

 ジャニーズタレントがドラマに主演すると、役とはいえ本人のイメージやキャラクターが全面に出されることが多い。その典型が木村拓哉だ。『ロングバケーション』(フジテレビ系)『ビューティフルライフ』(TBS系)『HERO』(フジテレビ系)など数々のメガヒットを生み、役柄も美容師、検事、パイロットに総理大臣やアンドロイドまで様々だが、マイペースながら信念を持つ二枚目といった王道路線が貫かれてきた。

 岡田准一はシャープだが少し屈折を抱えた役、山下智久はカッコイイが何を考えているかわからない役が多い印象。もちろん冒険的な役がまったくないわけではないが、もともとファンの絶対数が多いジャニーズだけに、ドラマでもファンに喜ばれるには本人自身のイメージを投影した役が得策ということだろう。脇役では、稲垣吾郎が『流れ星』(フジテレビ系)から悪役路線に行ったり、錦戸亮が『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系)で恋人に暴力をふるう役を演じたりもしたが、主役を張る場合はやはり本人のイメージありきのドラマとなることが多い。

◆ジャニーズには珍しい非二枚目路線を開拓した長瀬智也

 そんななか、放送中の『怪盗 山猫』(日本テレビ系)では、亀梨和也がこれまでにない演技を見せている。亀梨といえば、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)でのクラスの人気者をキャラとして演じる高校生役以来、『たったひとつの恋』(日本テレビ系)『ヤマトナデシコ七変化』(TBS系)など、クールで陰のある役が定番。とくに平均視聴率15.6%で映画化もされた『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)では、人間を助けながら忌み嫌われる妖怪人間の悲しみを繊細な演技で醸し出して評価された。

 今回演じている天才怪盗・山猫はまるで印象が違う。王様気質で大胆不敵。大声でわめき散らすようにしゃべるお調子者で、とんでもない音痴。盗みに入るときは猫の面をかぶって「ニャー」とおどけ、カップラーメンが大好きで水虫持ちという“クール”とかけ離れたキャラも付いている。

 『フラジャイル』(TBS系)で病理医の岸京一郎役で主演する長瀬智也も、公式サイトのインタビューで「そういう思い(今までの役とイメージが違う)を抱かれる方も多いかもしれませんね」と語っている。長瀬といえば『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)でプータローのトラブルシューターを演じて以来、同じ宮藤官九郎脚本の『タイガー&ドラゴン』『うぬぼれ刑事』(共にTBS系)や、強面の悪徳刑事を演じた『クロコーチ』(TBS系)など、押しが強い変わり者の役がおなじみに。ジャニーズには珍しい非二枚目路線を開拓していた。

 『フラジャイル』では、常に白衣でなくスーツの岸も「強烈な変人だが極めて優秀」と評される病理医だが、臨床医が見逃した病因を徹底的な検査で突き止め、直接は顔を合わせない患者の命を救う無名のヒーロー像を生み出した。プライドだけは高い臨床医を「あんたバカなのか?」とやり込め、「君たちが医者でいる限り僕の言葉は絶対だ!」と決め台詞も発する。

◆求められる個人のイメージを覆すチャレンジ

 深夜ドラマ『MARS』(日本テレビ系)で主演の藤ヶ谷太輔は、『ビギナーズ!』(TBS系)や『仮面ティーチャー』(日本テレビ系)で颯爽として心根のやさしい主人公を演じてきた。『MARS』の樫野零も当初はそんな役に思えたが、キレて先輩の指をへし折ろうとしたり、抑えのきかない凶暴な一面も見せており、これまでのジャニーズ路線の役とは一線を画していると言える。

 ジャニーズに限らず、近年は主役の個人的な人気とドラマの視聴率が結びつかなくなってきた。逆に、『半沢直樹』(TBS系)以来、役柄に合わせたキャスティングが見直されている。『怪盗 山猫』などは、人気タレントでも個人のイメージを覆すチャレンジが必要になってきた現れとも言える。

 『怪盗 山猫』の視聴率は初回14.3%から下降しているが、動画配信サービス『Hulu』の週間ランキングでは、9週連続1位だった『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 絶対に笑ってはいけない/罰ゲーム シリーズ』を抜いて1位になった。ネットの感想サイトでは、主婦層から「主人のほうがハマって観ている」といった声も見受けられ、亀梨の新境地としては成功のようだ。後に続く流れを生むか注目される。
(文:斉藤貴志)



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