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水田わさび、“ドラえもん”を演じてきた最高に幸せな10年

 映画ドラえもんシリーズ歴代最高の動員数(420万人)を誇る『のび太の日本誕生』(1989年)が新たに生まれ変わった『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』。2005年に声優や制作陣が一新され、少しずつ現代版にアレンジされながら多くのファンに愛され続けている国民的アニメの最新作だ。「ドラえもんを演じてきた10年はあっという間だった」という声優・水田わさびだが、当初は従来のファンから様々なバッシングも受けてきた。そんな彼女にとっての“ドラえもん”という存在について改めて話を聞いた。

◆“ドラえもんの影響力”と“ドラえもんへの影響”をまず考える

――“歴代最高動員”作品が新たに生まれ変わりますが、これまでと作品に向き合う気持ちの違いのようなものはあったんでしょうか?
【水田】 ありがたいことに年に1本のペースでドラえもんを演じさせていただいていて、今作で11本目になります。大ヒット作が新たに生まれ変わるからと気負わず、特別に意識をすることなく今までの作品とまったく同じ気持ちで臨みました。

――国民的人気キャラクターであるドラえもんを10年以上演じてこられたなかでは、プレッシャーを感じたこともあるのではないでしょうか。
【水田】 最初の頃はプレッシャーも何も感じられないほど必死で、そんな余裕すらありませんでした。そういう状態から、演じていくうちに徐々にプレッシャーのようなものを感じ始めて、それが大きくなっていきました。お年寄りから小さなお子さんまで誰もが知っている、誰からも愛されるキャラクターはなかなかいないので、ドラえもんという存在や影響力はすごいなぁと改めて感じるようになっていったんです。私の発言ひとつがドラえもんにも影響を及ぼしてしまうかもしれない。そう考えると、SNSの書き込みにも細心の注意を払う必要があります。選挙や震災など社会的な出来事に対して個人的な思いはいろいろあっても、書き込む前に「待てよ……私は発言するべきではないな」と判断することも多いんです。プレッシャーというより、ドラえもんの影響力と、私の発言のドラえもんへの影響をまず考えるようになりました。

――ドラえもんを演じるうえで気をつけていることはありますか?
【水田】 オーディションを受けたときからずっと“ドラえもんって可愛い!”と思っていただけるように演じるようにしています。あと体調管理も大事。7年前に出産したのですが、産後の復帰も早くしなければならなくて、仕事に穴をあけずにやるということは大変なんだなと思いました。代役を立てず私に演じさせてくださった優しいスタッフの方々には感謝の気持ちしかないです。自分のことを必要としてくれてる場所が家庭以外にもあるんだと強く思うことができたのも嬉しかったです。

――長い期間演じられてきて、数多くの作品に携わるなかで、新鮮な気持ちを保ち続けるのは大変なのでは?
【水田】 不思議なことに一度読んだことのあるストーリーでも、藤子・F・不二雄先生マジックのおかげで常に新鮮な気持ちで演じることができるんです。

◆“ドラえもん”は生活の中心であり元気の源

――いまやドラえもんと言えば水田さんですが、そういうイメージの定着が他の声優のお仕事をする際にマイナスになってしまうことはありませんか?
【水田】 ドラえもん以外の声のお仕事をしているときに、スタッフさんから「あ、いまちょっと“青い子”がでてきちゃっていますよ」なんてスタジオで注意される事が実はあるんです(笑)。逆にナレーションのお仕事で「このワンフレーズだけドラちゃんぽく言っていただけますか?」というお願いをされることもあります。役者さんと違って声優は声のお仕事ということもありますが、ドラえもんの声を演じてきていることでプラスになることはあっても、マイナスになっていることはないと思います。

――イメージと真逆のタイプの声をやってみたいという願望は?
【水田】 今は劇団を辞めていますが、昔はお女郎さんの役など色っぽい役を実写で演じたこともありました。普段の自分とはかけ離れた役だったので、演じることが楽しかったのを覚えています。もちろんドラえもんの声をやらせていただくことが私にとっては最高の幸せですし、名前を知ってもらうきっかけになった大事な作品。そういった幸せを感じつつ、今は別の作品のエンドロールに私の名前を見つけた方から「どのキャラの声かわからなかった」と言われると「よっしゃー!気づかれなかったー」と素直に喜んでいます(笑)。

――ドラえもんって何でも願いを叶えてくれたり道具で助けてくれますが、こればっかりはドラえもんでも解決できないぞと思うことは?
【水田】 自分が完璧なロボットではないところじゃないですかね。ドラちゃんは22世紀で売れ残ったロボットで、“どこでもドア”だってインプットされていない場所には行けなかったりします。でも、その完璧じゃないところが魅力なんじゃないかなと。「またドラミちゃん頼ってるよ」なんて視聴者の声が聞こえてきそうなところとか、突っ込みどころ満載でおもしろいです。ドラえもんが完璧なロボットじゃないからこそ長く続いているんだと思います。

――10年演じられてきた水田さんにとって、ドラえもんはどんな存在ですか?
【水田】 元気の源です。体調が悪くてもドラえもんの声だけは不思議と出るんですよ(笑)。あと私の生活の中心でもあります。

――ドラえもんを通して世の中に伝えたいことは?
【水田】 藤子・F・不二雄先生は、環境問題などいろいろなメッセージをずいぶん前から作品を通して訴えかけています。今作は7万年前の日本に行くというお話で、自分たちの過去やルーツに興味を持つことができます。学校で勉強するよりも、ドラえもんのほうが素直に学べたりするんです(笑)。これからも“家族への愛と環境”というメッセージは私も作品を通して伝えていきたいと思っています。
(文:奥村百恵)



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