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松山ケンイチ、漫画キャラ役が多い理由「パンチの効いた役柄が好きだから」

 漫画キャラクターを実写で演じさせれば右に出るものはいない――そんな世の高い評価を一身に受ける稀有な俳優・松山ケンイチ。その松山にとってもこれまでにない強烈なインパクトを放ち、かつビジュアルもキャラクターも松山でなければ演じられなかったであろう代表作が誕生した。実写版『珍遊記』であの山田太郎を“パンいち”で怪演した松山。なぜこのオファーを受けたのか? どのような想いで撮影に臨んだのか? 漫画実写キャラの名優に迫った。

◆若いころだったらできなかったかもしれない

――山田太郎役のオファーを受けて、原作『珍遊記〜太郎とゆかいな仲間たち〜』を読み直したそうですが、そのときの印象はどんなものでしたか?
松山 正直、これをやるのかぁって思いましたね(笑)。キャラクターがかなり子どもっぽいですし。それをそのまま僕が演じたところで成立しないと思ったので、監督にどう演じるか相談しました。そこで監督から、映画『七人の侍』で三船敏郎さんが演じた菊千代と、“無責任”シリーズで植木等さんが演じた無責任男を足した感じで演じてくださいと言われたんです。

――キャラクターをあらためて作り直したんですね。
松山 そうですね。

――ふだんから役柄を演じるときに悩むことは多いですか?
松山 いえ、これも悩んだわけではないんです。監督が(山口)雄大さんで、原作が漫☆画太郎さんだから、ものすごい挑戦ができるとわかっていたので、とても楽しみにしていました。どう演じるかを考えたときにアドバイスをいただいて、着地点が見つかってからは演じやすかったです。

――一番大変だったシーンはどんなところでしたか?
松山 人前ですっぽんぽんになることですかね(笑)。

――たしかに、すっぽんぽんでした(笑)! 大人になってから、あんな裸で外を歩くことはないですからね。
松山 そうなんですよ。でも、今だからこそできたことかもしれません。若いころだったら恥ずかしさがあったかもしれないから。以前、『カムイ外伝』でふんどし一丁になったんですが、本当に恥ずかしくて……。監督さんに「恥ずかしがらずにちゃんと歩け」って怒られました。でも、今回は一度脱いだら、もうずっと裸でも違和感なく撮影できました。

――笹野高史さんの性別を超えた演技もすごかったです!
松山 言ってしまえばふざけた役柄なのに、真剣なまなざしなんです。正直、「この人なんでこんなに真剣なんだ」って思いましたから(笑)。さらに田山(涼成)さんも笹野さん相手にすごい演技をしていますからね。やりすぎですよ、あれは(笑)。

――たしかに、冒頭からおふたりの衝撃的なシーンが続出で驚きました(笑)。倉科カナちゃんの玄奘はいかがでしたか?
松山 カナちゃんの玄奘はすごく無垢で、あか抜けていない感じもしてよかったですよね。「ち●こ」の言い方も素晴らしかった(笑)! 彼女にはギャグセンスがあると思うんです。玄奘の役はメイクだけで2時間かかるので大変だったと思いますが、見ていてすごくおもしろかったです。

――温水洋一さんとのアクションシーンは圧巻でした。
松山 あのシーンはアクション監督からきっちりと指導がありました。映画の見せ場でもありますから。なにより、温水さんがあんなにも動ける役者さんだってことに驚きました(笑)。

◆漫画キャラ役での評価は説得力をもたせた証拠

――漫画原作のキャラクターを演じることも多い松山さんですが、そういう役を演じるときに大事にしていることはどんなことですか?
松山 説得力です。観た人が“太郎だね”って思わないと意味がないと思うんです。まず、原作が好きな人がいるということを踏まえて演じるようにしています。

――その説得力を得るためにしていることはどんなことですか?
松山 それは僕がひとりでやっていることではなくて、みんなで作っていくということです。衣装もメイクも含めて、太郎のたたずまいや表情などをみんなで作り上げていって、説得力を持たせていくという作業だと思うんです。これは僕だけではできないことだと思っています。

――監督さんとたくさん話すことが、何よりも大事なのかもしれないですね。
松山 そうですね。演じていくうちに、みんなで掴んでいく感じです。その作業が楽しいんですよね。

――松山さんは原作がある作品への出演がとても目立ちますが、そこを選んでいるんでしょうか?
松山 いえ、そうではないんですけど、基本的に“パンチ”の効いた作品が大好きなので、結果的にそうなるのかもしれないですね。

――最近では、キャラ実写俳優としてすごく注目されていますよね。
松山 そう言ってもらえているのなら、すごくありがたいです。監督さんとスタッフさんと一緒にキャラに説得力をもたせた証拠だと思うので、ほっとします。観ている人がビックリするような作品を作りたいというのがあるのも、そういう作品が増える所以なのかもしれないです。

――基本的に人を驚かせるのが好きなんですか?
松山 そうですね。映画って、夢みたいなものだと思うんです。映画館に入ったときだけは、非現実的な世界に入り込むことができるので。そこに僕はパンチを求めていたいんです。もちろん、ノンフィクションやドキュメンタリーも素晴らしいですが、僕は映画に対して驚きをいつも求めているんです。きっと同じように考えている人も多いと思うので、そこを大事にしていきたいと思っています。
(文:吉田可奈)



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