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需要増す“タレントキャスター”、問われる報道姿勢とは?

 新年からビックニュースが相次ぎ世間を賑わしており、各局の情報・報道番組では様々な観点から論じられている。近年、民放各局の報道・情報番組では、専門のキャスターではなく、アイドルや芸人などの“タレントキャスター”の活躍が目立つが、ニュースがより身近になってきた反面、いざ“有事”の際に、彼らは“公平かつ公正”な報道をすることが可能なのだろうか? との疑念は、より一層視聴者から問われている。

◆報道・情報番組のキャスターは、常に第三者的な視点が求められる

 タレントや芸人たちが報道・情報番組に参入することにより、親近感やファン心理も働き、ニュースがお茶の間により浸透する役割を果たしていることは間違いないだろう。しかも彼らは、人気を笠に着たただの“お飾り”ではなく、キャスターの実力としても本職はだしなのである。例えば『NEWS ZERO』(日本テレビ系)のキャスターを務める嵐・櫻井翔は、慶應義塾大学出身のインテリでもある。そのアナウンス能力やコメント力、現場の対応力など、総合的なキャスターとしての実力は、お隣りの村尾信尚キャスターより上なのではないかとの声もあるほど。同番組のコーナー「イチメン!」では時事ネタをクローズアップし、櫻井本人が記事を書いて説明している。

 また、櫻井の所属事務所の後輩にあたるNEWS・小山慶一郎は、報道番組『news every.』(同系)でメインキャスターを務めているが、彼の実力もまた折り紙つきだ。2014年の総選挙の特番『ZERO×選挙』(同系)では、候補者の選挙事務所などから現場レポートし、自民党候補者の数や当選のバラのサイズを即答するなど事前準備にも余念がなく、プロの記者顔負けの取材力を見せつけた。彼らなどは、体当たり取材も果敢にこなし、自らの言葉によって視聴者目線で取材・レポートしていくという、まさに本職のキャスターを凌ぐ実力を持ち合わせているのである。

 その一方で、専門のキャスターではないことは事実であり、「同じ所属事務所のタレントが騒動を起こした際に、そのニュースを公平・公正に報道できるのか?」と訝しがる向きもある。実際、情報番組『スッキリ!』(同系)でMCを務めるお笑いコンビ・極楽とんぼの加藤浩次は、相方の山本圭壱が不祥事を起こした際、生放送で号泣しながら「ものすごく腹が立つし、気持ちの整理ができない」と語った。報道・情報番組のキャスターたるもの常に第三者的な立場であり続け、いたずらに独善的になったり、出演者やニュース内容におもねってはならないのは当たり前だが、加藤の場合はどうとらえればいいのか。「世間的には“相方思いのいいヤツ”との評価も受けましたが、同時に客観的な報道だったのかという疑問をもつ視聴者も多かったことは事実です。いずれにしても、キャスターなのか、いちタレントなのか、その線引きは難しい部分がありますね」(番組製作スタッフ)

◆キャスターとタレントの“線引き”が問われた一連のSMAP報道

 その“線引き”が問われたのが、今回のSMAPの一連の騒動だったと言えるかもしれない。彼らと同じ事務所に所属し、『白熱ライブビビット』(TBS系)の司会であるTOKIO・国分太一は、一貫してSMAPがコメントしてから自身が口を開くというスタンスを守ってきた。1月19日放送の同番組では、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の生放送を観て、「5人で話し合っていい方向へ進もうとしているんだなと思ったが、よかったですね、とは正直言えない部分を感じました。これだけのグループになるとファンの方とか関係者とかメンバーだけのものではなくなる。メンバーが腹を割って話し合えば、いい方向に向かう」と自身の見解を提示。さらに同日に放送された『news every.』では、先の小山が「比べようもない話ではありますが」と前置きした上で、「12年NEWSというグループで活動してきて、メンバーの脱退などもあり、幾度もその形を変えてきたんですね。グループで芸能活動していく上では、何度も何度も話し合いが必要になる」と自身の経験も踏まえて、グループ活動の難しさについて言及。司会者・キャスターとしての自分の立場を十分に自覚しており、可能な限り私情を排除しながらも、世間からはタレントとして認知されていることも考慮した見事なものだった言えるかもしれない。

 かつて『NEWS 23』(TBS系)のキャスターだった故・筑紫哲也さんは、TBSがインタビュー映像を放送前にオウム真理教幹部に見せ、「情報源の秘匿」というジャーナリズムの基本原則に反したことが発覚した際、「TBSは、今日死んだに等しいと思います」と同番組で発言。身内とも言えるTBSをジャーナリストとして批判したことで注目された。「あれこそ報道番組に対するキャスターとしての覚悟を示したと言えるでしょう。でも、今は筑紫さんと同じような態度を見せることはなかなか難しい。古舘さんですら、『余計なことをしゃべらずに、淡々と事実だけを述べろ』と相当な批判を受けてますから」(前出のスタッフ)

 ORICON STYLEでは、10代から50代の男女を対象に、『タレントが報道・情報番組の司会を務めることに賛成か反対か?』という調査を実施。その結果、【賛成】が67.6%、【反対】が32.4%と賛成票が多数を占めた。「普段報道番組を観ない層の視聴も期待できるから」(大阪府/10代/女性)といった声が多く、「報道が務まるくらいの才能があれば積極的にやっていくべきだと思う」(宮城県/10代/女性)、「アナウンサーがタレントのように活躍することもあるので、タレント司会者がいても良いと思う」(新潟県/30代/女性)といった声もあがった。一方の反対票は、「報道番組は特に客観的で簡潔にして欲しい。その場合、専門のキャスターの方が向いていると思う」(福井県/40代/男性)との声も多かった。

 報道・情報番組のキャスターである以上、「公平かつ公正」な報道という点では、常に視聴者、世間からの検証の目にさらされている。たとえ“タレントキャスター”であってもそれは同じだろう。ネット媒体のユーザーが激増しているとはいえ、テレビの報道・情報番組の影響力・威力は大きい。いちキャスターのコメントがその番組や局、さらには世間一般のオピニオンまで形成する可能性がある。世界的に見ても、今後の社会情勢の予断を許さないなか、報道・情報番組に係わるキャスターたちは、本職・タレントを問わず、相応の覚悟が求められる時代になっていくのではないだろうか。

【調査概要】
調査時期:2016年1月14日(木)〜1月20日(水)
調査対象:合計500名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代、50代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査



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