• ホーム
  • 映画
  • 正月興行では『妖怪ウォッチ』に圧勝も“爆発”はなかった『スター・ウォーズ』 最終興収120億円前後か

正月興行では『妖怪ウォッチ』に圧勝も“爆発”はなかった『スター・ウォーズ』 最終興収120億円前後か

 2016年の正月興行は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』がやはり強かった。1月4日時点で興収約67億2000万円を記録し、他を圧倒した。2位の『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』は、同日時点で39億8000万円となり、興収ではかなり差をつけられた。『映画 妖怪ウォッチ』は、スタート時点こそ2週連続で『スター・ウォーズ』の動員を上回っていたが、年末から正月三ヶ日にかけては『スター・ウォーズ』の独壇場となった。

◆限界がみられた『スター・ウォーズ』客層の広がり

 さて、これで『スター・ウォーズ』は万全かといえば、映画興行というものはそれほど甘くはない。当初目標が、100億円突破は当然、150億円あたりまで視野に入っていたからである。ではなぜ、それほど目標が高かったのかといえば、この強力シリーズの過去の実績が非常に大きいからであった。

 『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)は、推定約130億円を記録している。今回は、新シリーズの第1作目なのだから、当然それを大きく上回ることが目標となる。過去の興行史上でも、あまり見たことがないような巨大な宣伝量含め、同作品を取り巻く期待度と目算は、そこらのハリウッド大作とは全く質が違っていた。

 では、最終的にはどの程度の成績が見込めるのかといえば、100億円は何とか超えるとして、最終120億円前後か、その少し上あたりといったところだろうか(1月上旬時点の推測)。ただ、この段階でひとつ言えることがある。『スター・ウォーズ』の興行は、爆発することはなかったのである。

 理由の大きなものとしては、客層の広がりに、少々限界がみられたことが挙げられる。熱烈ファンと、その周辺層はおおよそ集客できたように見えて、そこから広がる一般層の幅が、それほどではなかった。男性や若いカップルなどに混じって、子どもと親のファミリー層はけっこう見受けられたのに、とくに女性層が限定的な集客に留まっている。

 作品に、新しい魅力が乏しかったことが影響していよう。従来のファンが、涙を流すほど感動できても、このシリーズの世界観を知らない人には、ちんぷんかんぷんである。同シリーズを知らない人たちを驚かせるような新しい魅力が、作品の核になっていないので、広範囲な女性層が動かなかったように感じる。この層が大量に動員できないと、数字は飛躍的には伸びていかない。

 個人的には、ハリソン・フォードやキャリー・フィッシャー、マーク・ハミルらの登場とその役柄の重さに、連綿と受け継がれてきたハリウッドの良質な映画魂を見る思いがして、まさに私など体を震わしたものだが、それはまた別の話である。

◆前作77%ほどに留まった『映画 妖怪ウォッチ2』

 2位の『映画 妖怪ウォッチ』は、人気絶頂のなかで公開された1年前の1作目(最終78億円)には届かない。50億円台後半から60億円台前半あたりに収まるのではないか。以前にも指摘したとおり、『妖怪ウォッチ』は『ポケットモンスター』と極めて似た興行展開で第1作目のスタートが切られた。

 その『ポケモン』は、2作目の興収は1作目の86%ほどに下がった。これに対し、『妖怪ウォッチ』は、さきの推測でいけば、77%ほどに下がるということである。9%ほど下がり具合が大きくなる。これは『妖怪ウォッチ』の1作目の爆発力が尋常でなかったためで、2作目にそのちょっとした反動が出たのだとみることができる。

 『妖怪ウォッチ』が、『ポケモン』や『ドラえもん』のように、今後も持続的なシリーズものとなっていく公算は高いだろう。50億円、60億円のアニメは、映画界では稀な鉱脈だからだ。ただ、一度爆発力を見せたシリーズものは、以降下降線をたどるということも忘れてはならない。その都度、宣伝であれ中身であれ、いかなる新鮮さを示していけるか。安定感抜群の強力シリーズものは、期待の大きさだけが肥大化すると、結果に戸惑うことになってしまう。
(文:映画ジャーナリスト・大高宏雄)



オリコントピックス