• ホーム
  • 映画
  • 2016年映画シーン、際立つテレビドラマ映画の減少 トレンドはコミックへ

2016年映画シーン、際立つテレビドラマ映画の減少 トレンドはコミックへ

 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』と『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』が激突したこの正月興行は、ちょっとした波乱含みであったと思う。映画史上類例のない宣伝展開だった『スター・ウォーズ』にして、オープニング成績だけを見る限り、後者の日本のキャラクターアニメに大きな差をつけられなかったからだ。初発だけの現象であったにしても、ここに日本の映画興行の特異な形を見た思いがしたものである。

◆強力作品ほか新機軸も登場、今年もアニメの強さ変わらず

 この『妖怪ウォッチ』をはじめ、今年2016年も、やはりアニメが強いだろうとの印象をもつ。邦画では、何本かの定番アニメに、格の違いをもつ『ワンピース』の新作『ONE PIECE FILM GOLD』(7月)が加わり、さらに新機軸の作品も公開される。洋画では、ピクサー、ディズニーが立て続けに強力アニメを送り出す。

 邦画アニメの新機軸では、有名児童文学を3DCG化する『ルドルフとイッパイアッテナ』(8月)、新海誠監督の『君の名は。』(8月)、山田尚子監督の『映画 聲の形』(秋)などが並ぶ。洋画では、ピクサーが『アーロと少年』(3月)や『ファインディング・ニモ』の続編(7月)。ディズニーが『ズートピア』(4月)。『ミニオンズ』の大ヒットを放ったユニバーサル(日本は東宝東和)も、『ペット』が今年の公開予定に入っている。これらのうちの何本かは、年間を通した興収上位となる可能性が高い。

 邦画実写作品は、東宝が大人向けの作品を増やしたのが注目される。竹野内豊の『人生の約束』(1月)、岡田准一、阿部寛の『エヴェレスト 神々の山嶺』(3月)、佐藤浩市の『64‐ロクヨン‐』(5月、6月)、大竹しのぶの『後妻業の女』(8月)、織田裕二の『ボクの妻と結婚してください。』(11月)などだ。ただ大人向け作品は、興行のパイに限界があるので、予断は許さない。野心作という意味では、渡辺謙の『怒り』(9月)や、福山雅治の『SCOOP!』(10月)も大きな話題となろう。

◆テレビドラマからコミックに移った邦画実写作品のトレンド

 東宝の実写作品で目を引いたのが、人気ドラマの映画化が極端に減っていることだ。コミック原作の実写映画化が多いのと対照的である。ちなみに後者では、広瀬すずの『ちはやふる』(3月、4月)、山田涼介の『暗殺教室〜卒業編〜』(3月)、大泉洋の『アイアムアヒーロー』(4月)、河原和音原作の『青空エール』(8月)など、ヒット、大ヒットが見込める作品が並ぶ。邦画実写作品のトレンドは、確実にテレビドラマからコミックに移った。

 製作に活気が出ている松竹は、なかなかバラエティに富んでいる。山田洋次監督のコメディ新作『家族はつらいよ』(3月)、韓国映画のリメーク版『あやしい彼女』(4月)、EXILEグループの『HIGH&LOW〜THE STORY OF S.W.O.R.D.〜』(7月)、生田斗真の『秘密 THE TOP SECRET』(8月)など強力である。阿部サダヲや佐々木蔵之介が出演するコメディ時代劇の2作品もあり、大作の『真田十勇士』(9月)ともども、時代劇がひとつの潮流となりそうだ。

 昨年、全体の興行を底上げした洋画の強力シリーズものは、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(3月)、それに続く第2弾的な『スーサイド・スクワッド』(9月)、『アリス・イン・ワンダーランド』の新作(7月)などが予定されているが、昨年のような集中度はないようだ。以上、おおまかに作品を挙げてはみたが、洋画の実写作品や、全く触れていない単館系作品など盛りだくさんで、とてもここに収まりきれるものではない。

 書きそびれていた。『シン・ゴジラ』(7月)である。この作品が、今年の映画界(興行)の最大話題作になるのかどうかは全くわからない。ただ、異様に期待が高い作品のこの時代の宿命として、中身に関して必ず不平不満が出るのである。『シン・ゴジラ』は、これに打ち勝てるか。とにもかくにも、ワクワク度からいったら、これに勝る作品は2016年の映画界には、今のところ見当たらないと言えるのである。
(文:映画ジャーナリスト・大高宏雄)



関連写真

  • 『暗殺教室〜卒業編〜』(3月25日公開)。昨年3月に公開された前作『暗殺教室』は興収27億7000万円を超える大ヒットになっていた。
  • 今年の映画界(興行)の最大話題作になる?『シン・ゴジラ』(C)2016 TOHO CO.,LTD.

オリコントピックス