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土屋太鳳、充実して駆け抜けて“迷い”を得た1年「楽しみながら苦しみたい」

 映画『orange-オレンジ-』の主人公・高宮菜穂役で、また新たな魅力を開花させた女優の土屋太鳳。2015年は、NHK連続テレビ小説『まれ』や大ヒットドラマ『下町ロケット』(TBS系)などでの活躍で、すっかりこの1年を代表するヒロインとなった。そんな土屋に、女優としての転機になったであろう1年間を振り返ってもらった。

◆まったく迷いはなかった山崎賢人との再共演

――映画『orange-オレンジ-』では、これまでの快活なイメージを一新して、ナイーブなヒロイン・高宮菜穂を好演されました。
【土屋】 すごくエネルギーの必要な役でした。キラキラした高校生のシーンとか、楽しいお芝居もたくさんありましたけど、だからこそ26歳の切ない部分はすごくつらかったです。撮影現場で(山崎賢人扮する成瀬)翔の遺影を見た瞬間、泣きそうになって……。楽しい思い出がさぁーっとなくなったときの、真っ暗になった感じが、本当につらかったです。

――『まれ』に続いて、翔役の山崎賢人さんとの共演はいかがでしたか?
【土屋】 本当に翔が賢人くんでよかったと思います。まったく戸惑いもなかったです。『まれ』のクランクアップから『orange-オレンジ-』の撮影が始まるまでに1週間しかなかったんですけど、その時間のなかでお互いが役についてしっかり考えて、また違う世界で出会うみたいな。いまと来世みたいな感覚でしたね(笑)。

――ファーストシーンは、転校生の翔が菜穂たちの教室に入ってくるシーンだったそうですね?
【土屋】 “わぁ、翔だ!”って。目線の動きだったりとか、顔の影の感じとか、賢人くんはまとっている空気から変えられる、すてきな俳優さんだと思いましたし、やっぱり翔として何を表現したいのか、何を伝えたいのかをしっかり考えて、努力されていました。私は台本を読むのも理解するのも不器用で時間がかかるのですが、本番までギリギリ悩みながら“これで合ってるかな? こっちの方がいいかな?”って考えているときも、一緒に悩んで一緒に考えてくれて。賢人くんにはほんとうにたくさん助けてもらって感謝していますし、役者さんとしても尊敬しています。

◆反省はたくさんあるけど後悔はない

――『まれ』の座長として大活躍された2015年は、どんな1年でしたか?
【土屋】 すごく充実した、不思議な1年でした。10代を生き、20代を生き、30代を生き、また10代を生きて……タイムスリップを3回したみたいな(笑)。でも本当に駆け抜けた1年だったと思います。それと同時に、普通じゃ出会えないような、多くの方に出会うことができましたし、(芝居に対しては)このお芝居で本当にいいのかな? という迷いも得ることができました。私は演技の基礎を習っていないので、発声や呼吸の重要さを現場で感じたこともありました。いまは現場でぶつかって、くだけて、パワーをもらう感じになっているので、少しずつでも成長できたらなあって思っています。

――役との向き合い方が変わってきた実感は、ありますか?
【土屋】 やっと最近、いろいろな感情はすべて愛情から出てくるものなんだって気づきました。だから演じる前はなるべく愛情深く“大好きだ!”とか“ありがとう”って気持ちを込めるようにしています。だけど本当に難しいです、そこにたどり着くまでが……。不安でいっぱいです。

――そう気づくきっかけは、何だったのですか?
【土屋】 『まれ』で、愛情の深さを感じたことです。すごく高い壁にぶつかって、お芝居がわからなくなってしまったときに、うまくできる、できないは別として、愛情を込めてやることの大切さを教わりました。プチソルシエール(希のケーキ店)に初めてお客さんが来て「マルジョレーヌください」って言われて、うれし涙がこぼれるシーンは、撮影の1週間前から眠れないくらい不安だったんです。撮影の日もずっと監督の手を離せなくて、1回目はなかなか動けなくて……。でも監督に「いま、希として生きているよね? いままでいろいろな苦労があったよね。うまくいく、いかないは別として、全力で何も気にしないでやって」って言われたときに「やってみます!」って素直に言葉が出てきて。何とかできました(笑)。

◆お芝居は楽しみながら苦しみたい

――そういうピンチから脱出するとき、力になるものは何ですか?
【土屋】 スタッフや共演者の方々の力が大きいですね。『下町ロケット』では、倍賞美津子さんに「役の心を大事にする」ということを教えていただきました。でも、とても難しいです。もう苦しいっ! いつまで女優を続けられるかなあって(笑)。

――でもギリギリまで諦めず、悩み抜いてたどりついた表現に、後悔はきっとありませんよね? 『orange-オレンジ-』にも繋がるテーマですが。
【土屋】 反省はたくさんありますけど、後悔はないです。でもやっぱり、たくさんの人が周りで支えてくださっているからだと思うので、自分がもらった愛情はしっかり、お仕事やプライベートで返していきたいと思っています。

――最後に、2016年の抱負を聞かせてください。
【土屋】 『まれ』と『orange-オレンジ-』で、いまを生きる大切さだったり、一瞬一瞬をしっかりと過ごすことの大切さを知りました。今年も時間に呑まれず、いまを大事に生きていきたいなと思います。(小声で)いま、お芝居は苦しいですけど、楽しむことも大事なので、楽しみながら苦しみたいです(笑)。
(文:石村加奈)



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