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広末涼子、経験を重ねて強くなる想い 「楽しいことが大事」

 今夏、第三子を出産し、母親として3人の子どもを育てる女優の広末涼子。日本中が涙した、故・安武千恵さんの同名エッセイを映画化した『はなちゃんのみそ汁』で、結婚、妊娠、出産という人生の転機を、がんと闘いながら乗り越えていったヒロイン・千恵を演じた。完成作を観て「いままでに経験したことがないくらい泣いた」という広末に、母親として、女優としての想いを聞いた。

◆今まで経験したことがないくらい泣いた

――広末さんの明るさが、前向きな千恵さんときれいに重なった、心の元気なヒロインですが、演じる上ではどんなことを心がけていましたか?
【広末】 原作を読ませていただいて、彼女の言葉や生き方に共感する部分がたくさんありました。とくに、笑いや笑顔を大切にしているところや、病気というネガティブに捉えがちなことでも、前向きなところがとても好きです。セリフに「私はツイていた」というすごく印象的な言葉があるのですが、そういう捉え方ができる。限られた時間のなかで、家に閉じこもってしまうのではなく、ちゃんと外とつながっていこうとする。ブログを始めたり、娘にお料理を教えたり、ポジティブに新しいことを始めていこう、発信していこうという力のようなものに、とてもリンクする部分があったので、今回はそこまで役作りということを意識せず、役に向き合えました。監督にも、そのまま素直に、正直に演じてもらえたらと言われていました。

――実際に演じてみて、千恵の強さの源は、娘のはなちゃんの存在だと感じましたか?
【広末】 やっぱり、守るべきものがあるという強さだと思いました。母親は、自分よりも優先すべきものがあるからこそ笑顔でいられますし、それが優しさであり強さなんだと感じながら、毎日演じていました。本当は泣きたい気持ちでいっぱいで、いろいろな想いを抱えていたと思いますが、それを笑顔に変えて向き合えるというのは、母親の、女性の強さなのではないでしょうか。

――とくに印象に残っているシーンはありますか?
【広末】 本当にたくさんありますが、クライマックスのコンサートシーンは、セリフも、千恵を包み込むみなさんが返してくださるお芝居も素晴らしくて、自分のなかでずっと感動が止まりませんでした。千恵さんの旦那さんの安武(信吾)さんも、はなちゃんも来てくれて、すごく感動的でした。

――安武さんのブログには、撮影後、広末さんが「千恵さんがステージに来てくれていましたね」と語りかけてくれた、と記されていましたが?
【広末】 そんなことを言っていました!? ちょっと泣きそうなんですけど……。あのステージに立っていたときは、自分が千恵さんのような、千恵さんが自分のような……、演じている感覚がなくて、演じさせてもらった感じだったんです。役作りをしようとか、切り替えようという感覚がなかったので、千恵さんを近くに感じたのかもしれませんね。……出来上がったこの映画を観たときに、今まで経験したことがないくらい泣いてしまったんです。現場でとても我慢していたので、ここでは泣いてもいいんだと思ったら、涙が止まらなくなってすごく泣いてしまいました。お客さんがどこで泣いて、どこで笑うんだろうと考える余裕もないくらい、まったく客観視できなくて。自分では評価できないくらい、感情移入してしまった初めての経験でした。

◆女優という仕事を続ける自分の使命

――長いキャリアのなかで、初体験だったのですか!?
【広末】 いつもはもうちょっと客観的に物語を捉えられているつもりなのですが、今回はそういう余裕がありませんでした。現場でも、自分で計算してお芝居に抑揚をつける必要のないくらい、毎シーンが愛しくて、大切なシーンの連続だったので、そのままナチュラルにいようと心がけていたんです。ただ“泣かないぞ!”ということを決めていただけで。女優としての計算のお芝居がなかったような気がします。

――今夏、第三子の出産を発表されたとき「幸せと笑顔の連鎖を生み出すことのできるような女優さんになれるよう、決意を新たに努力してゆきたい」とコメントされていましたが、いま女優さんとして、どんなことを表現したいと思っていますか?
【広末】 小さい頃からずっと、楽しいことや明るいこと方が好きでした(笑)。ネガティブよりポジティブが大事だと思っています。自分が笑顔でいれば、人を笑わせられなくても、周りが笑ってくれるんだと気づいたときがあって、そこから笑っていようと思うようになりました(笑)。きっと年を取ればとるほど、楽しいことばかりではないと知っていきますし、それは自分の人生や経験だけじゃなくて、視野が広がるからこそ、いろいろな人の悲しみも背負うようになると思うんです。だからこそ、常に楽しいことに目を向けて、夢(を持つこと)の大切さや、(夢は)願えば叶う、努力は報われるということをメッセージとして伝えていきたいという気持ちは(前よりも)強くなっていると思います。

――いま、広末さんにとって、演じることは楽しいことですか?
【広末】 はい! ……楽しい? どうでしょうか。楽しいことばかりではありませんが、毎日が試験のような気がします(笑)。でも自分にカセを作ることや、ハードルがあることは、自分自身の成長にもつながりますし、女優というお仕事を続けさせてもらっている自分の使命でもあると思うので、精一杯がんばっていきたいと思います。
(文:石村加奈)

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