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需要高いものまね番組、安心安定の鉄板コンテンツたる所以とは?

 毎年、年末のこの時期、もしくは番組改編期の前後に必ずテレビで放映される「ものまね番組」。現在は、コロッケ中心の『ものまねグランプリ』(日本テレビ系)、ものまね四天王が一世風靡した『ものまね王座決定戦』『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』(フジテレビ系)がその代表だ。空前のものまねブームだった1990年代以降、大人から子どもまで、お茶の間でも安心して楽しめる“鉄板コンテンツ”として、いまだテレビ局でも重宝されている。今なお不動の人気を保つ「ものまね番組」の魅力はどこにあるのか?

◆世代交代しながら、脈々と受け継がれる、ものまね芸人の系譜

 1980年代半ばから90年代初めの“ものまねブーム”全盛期に、多くの視聴者に強い印象を残したのは、コロッケ、ビジーフォー清水アキラ栗田貫一のいわゆる“お笑い四天王”だろう。ビジーフォーは、よくわからない昔の洋楽やモト冬樹の“ハゲネタ”がウリの実力派。清水アキラは実力もさることながら、審査員の故・淡谷のり子さんに「下品!」と嫌われるほどのアクの強いキャラがネタにもなった。『お笑いスター誕生』(日本テレビ系)出身のコロッケは、歌に加えて極端にデフォルメした“顔マネ”を引っ提げて、美川憲一などを再ブレイクさせ、栗田貫一はルパン三世ネタ(のちにアニメ版の声優に抜擢)と「もし○○が○○だったら」シリーズで一躍スターになった。

 彼らは、それまで「そっくりさん」「声帯模写」「形態模写」などに棲み分け、どこか偽物っぽい雰囲気を醸し出していたものまね芸人のイメージを覆し、単なるものまねに独自のキャラと笑いのネタを付け加えて大ブレイクした。ORICON STYLEのインタビューで、ものまねを一流の芸に変えるには「妄想と破壊」とコロッケが言っていたが、まさに彼のものまねの“核”となる部分だ。以降、四天王が出演する『ものまね王座決定戦』は、放送するたびに視聴率が30%を突破し(最高視聴率は94年の35.4%)、優勝者は感極まって号泣する……という、ものまね以外に“感動シーン”まで用意されて全盛期を迎え、彼ら四天王は『ものまね珍坊』(フジテレビ系)のレギュラー番組を持つまでに至るのである。

 しかし、コロッケが日本テレビ系の『ものまねグランプリ』に移籍すると、『ものまね王座』の視聴率は急降下、いきなりものまねブームは終息する。それでも2000年代に入って、明石家さんまのものまねの原口あきまさタモリのものまねでは第一人者のコージー冨田、プロレスラー・武藤敬司でおなじみの神奈月といった“ものまね第二世代”が『ものまねグランプリ』に登場すると、ものまねブームが再燃。彼らはものまね四天王以上にレパートリーが多く、細かい部分のテクニックも上、ものまね以外にも“ノリ・ツッコミ”など普通のお笑いへの対応力もあるのが特徴で、総じてスキルが上がった。その後、タレントがブレイクするきっかけとして、ものまねが入口となるパターンもすっかり定着し、美空ひばりの歌まねで周囲を驚かせた青木隆治や、“エアあやや”のはるな愛ビヨンセの迫力セクシーダンスの渡辺直美福田彩乃キンタロー。等々、歌まねから形態模写まで、さらに細かく、ある種マニアックな小ネタまで追求して笑いに変換していく“新勢力”も生まれ、次々とバラエティ番組に進出して現在も活躍している。

◆ものまねの魅力は“お得感”と“切り口の広さ”

 こうしてみると、ものまねタレントは、いわゆる“一発屋芸人”に比べるとはるかに息が長い。“一発屋芸人”は、強烈な芸によって一気に大ブレイクするものの、ネタやギャグ以外のトークはほとんどダメで、しだいに失速するというのがパターン。しかしものまねタレントは、ひとりのものまねだけではそもそも間が持てないので、複数のネタがあるのは当たり前。周囲からのフリにものまねで返すといったテクニックも要求されるし、それができなければブレイクはできない。

 ネタにしても、お笑いの場合は実力のレベルが即、客の反応に出るが、ものまねはそうした意味でのレベルの上下関係があまりない。まったく似てないとしてもそれはそれでネタになって、客に受けたりもするのだ。内容も、“懐メロ”系の歌手から極端にマニアックなものまで扱え、それも歌に限らずアニメやドラマ、CM、海外映画、スポーツ選手等々、何でもありなのが“ものまねコンテンツ”の汎用性の高さを証明している。

 そして今やコロッケなどの大御所モノマネ芸人は、本物の歌手以上にリスペクトされる存在であり、志村けん松本人志といった大物芸人からも好感を得ている。ダウンタウンの大晦日恒例『笑ってはいけないシリーズ』(日本テレビ系)にはコロッケやコージー冨田、神奈月などが毎年登場、確かな爪痕を残していることからも、彼らの実力の高さがうかがえる。

ものまね芸の革命を起こしたコロッケら四天王たちの活躍、歌まねが主流であったそれまでのものまね界に、素のしゃべりや口癖のような『いかにも言いそう、やっていそう』なことを、上手く切り取ることで新たなアプローチを構築したコージ―や原口などの次世代、さらに超マニアックなアプローチをバラエティに昇華させた『博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜』(フジテレビ系)など細分化するアプローチ……。たった1人いれば何人もの著名人を見ることができる“お得感”と、そのアプローチや切り口によって無限に広がる高いエンタテインメント性がものまねコンテンツ最大の魅力。現状のテレビ局にとって、数少ないキラーコンテンツであり続けているだけに、今後も疲弊させることなく大事に扱っていくことはテレビ局の責務と言えるだろう。

(文:五目舎)



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