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エースたちの苦悩 アイドルグループの“顔”とは

 モーニング娘。‘15でセンターポジションを務めることが多かったエース・鞘師里保が今年の12月31日をもってグループを卒業する。昨年の道重さゆみの卒業を経て、12期メンバーの4人が成長してきたなかで、さぁここからやるぞ、というタイミング。新たな“顔”となっていくことが予想されただけに、ファンには衝撃が走っている。その一方で、若くしてエースに抜擢された故、相当のプレッシャーも背負っていただろうし、バッシングも一手に引き受けなくてはいけないつらい状況もあったと思う。前田敦子、道重さゆみ、鞘師里保――大人数グループが主流となった現在、アイドルグループの“顔”について、改めて考えてみたい。

■前田敦子の名言に見るセンターとしての葛藤

 モー娘。に関していえば、初期の頃は安倍なつみ、後藤真希らが、グループの“顔”として、幅広い層へと認知を拡大するためのハブとしての役割を担っていたのは周知の通り。今のようにセンターポジションがエースとして強調されるようになったのは、やはりAKB48がブレイクして以降だろう。グループ結成以降、数曲を除いてはほぼすべてのシングル曲でセンターを務めた前田敦子(2012年、グループを卒業)。ファンにとっては、たくさんいるメンバーの中のひとりだったかもしれないが、ファン以外は「あっちゃんだけ知ってる」という人も多かっただろうし、そんなに詳しくない子どもや高齢者でも、「AKB48のあっちゃん」と言えば、顔ぐらいは浮かんだだろう。

 固定センターを置くことで“顔”とすることは、大人数アイドルグループならではのシステムでもある。アイドルグループのメンバーなら、センターポジションに立つことは誰もが一度は憧れるだろうし、グループの“顔”に選ばれるのは名誉なはず。しかし、それと同時に背負うものも大きく、CDなどのセールスが振るわなければセンターの責任とされるだけでなく、「実力と人気が見合っていない」とネットなどで必要以上にバッシングを浴びる“人身御供”的な側面も担うことにもなる。その一方で、“顔”である以上はなかなか弱音を吐くこともできないだろう。

 それだけに、何事にも動じない強靭な精神力が求められるが、ネットで言いたい放題されてしまう時代、普通の感覚を持った10代の女の子なら「全く気にしない」というわけにもいかないだろう。テレビなどで見かける姿はどこか飄々とし、心無い言葉に対しても我関せずといった素振りをしていた前田だって、『情熱大陸』(TBS系)などでのインタビューやフォトブックで「傷つく」と明かし、いわゆる“アンチ”に対しての自分なりの対処法を模索していた。それが『AKB48選抜総選挙」の「私のことは嫌いでも、AKB48のことは嫌いにならないでください」という名言につながったのは想像に難くない。

■2番手、3番手に甘んじる若いアイドル

 また、モー娘。の現在の再ブレイクは、やはり2012年よりリーダーとなった道重さゆみ(2014年、グループ卒業)の存在が大きかったと思う。グループの人気が落ち着いていた時期に、バラエティ番組などで“ナルシストキャラ”“ぶりっ子キャラ”をアピールしていた彼女。リーダー就任以降のモー娘。の“V字回復”は、そうやって認知を伸ばしていた彼女がグループの“顔”となったことがプラスに働いた。しかし、ストイックに理想のアイドル像を追求していく彼女の姿には、些細なきっかけで堤防が決壊してしまいそうな危うさもあった。卒業発表後のブログでは「毎日、吐きそうになるくらい、緊張とプレッシャーの連続でした」と明かしているが、笑顔の裏で、「誰にも頼れない」「自分が頑張らなければ」と押しつぶされそうになったこともあったかもしれない。

 アイドルグループに必要な、絶対的エース。しかし、最近、若いアイドルたちの考え方が少し変わってきたようにも思う。それはエースの苦悩を近くで見ているからでもあるだろう。象徴的だったのが、とあるアイドルグループの若いメンバーに“憧れのアイドル”“目標とするアイドル”を聞いた場面。卒業したメンバーを含め、絶対的エースの名前を挙げた人が驚くほど少なかった。また、がつがつ前を目指していかない若手メンバーに対して、苦言を呈すアイドルもいる。“顔”が出てこなければ、やがてグループだけでなく、シーン自体が衰退していくだろう。せっかく憧れのアイドルを目指すなら、2番手、3番手ポジションに甘んじず、自らハングリー精神を持っていけるところまで上を目指して、グループを引っ張ってほしいものだ。



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