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松坂桃李、初の殺人鬼役での葛藤「僕のなかでは芸術家」

 映像化不可能と言われた逢坂剛のハードボイルド小説を革新的な映像表現でテレビドラマ化した『MOZU』シリーズ。その最大の謎と死闘を描いた『劇場版 MOZU』で、シリーズ史上最強の敵役を演じた松坂桃李。残虐非道な暗殺者という初めて挑んだ悪役について聞いた。また最近、開始したばかりのツイッターについてもコメントした。

◆僕のなかでは芸術家ですけど(笑)

――松坂さんにとっては、初の悪役になりますか?
【松坂】 そうですね、悪役になるのか。西島(秀俊)さん(演じる、主人公の倉木)が正義だとしたら(今回、僕が演じた権藤は)反対側に位置するので……。そうか、そういう白黒をあえてはっきりさせないところも、『MOZU』シリーズのいいところですよね。僕のなかでは、芸術家なんですけど(笑)。

――今回演じられた、残虐非道な暗殺者・権藤剛を「芸術家」と解釈されたのですか!?
【松坂】 役を演じるとき、まずその人物の“ものさし”を考えるんです。そうすると、観る人によって、やり過ぎと感じられる部分が、(その人にとっては)クレイジーだったり、狂気的に観られるんじゃないのかな? って。周りがクレイジーと言っているだけで、本人はそれが普通だと思っている。普通というのは、人によってそれぞれ違いますからね。権藤の場合は、人が死のうが死ぬまいが、それについては何とも思わない。おまえたちの死には、意味がある。芸術のために死ねるのだから、むしろ喜ぶべきだ! という(芸術家的な)ものさしなのかなと。

――芸術家だから、満面の笑みで人を殺していくわけですね?
【松坂】 “百舌”と同じアイスピックを好んで猟奇的に殺人をする権藤にとって(人を殺す行為)は、殺人を犯しているというよりは、芸術作品を作っている感覚。どんどん作品ができ上がっていくぞ! ヤッホー!! みたいな(笑)。それゆえの笑顔ですね。彼のなかでは「なぜ、この美しさがわからない?」ってことなんです。逆に邪魔が入ると、イラッときて舌打ちが出るという。

――劇場版に参加されて、改めて『MOZU』シリーズの魅力をどう捉えていますか?
【松坂】 実は権藤の背景についても、仮台本のときにはなかったんですけど、完成本ではプラスされていました。裏側の事情もしっかりと押さえるけれども、深く考え過ぎると、逆にいき過ぎてしまうから、あえて表には出したくないという羽住監督の想いを感じました。そんな全貌を捉えきれない世界観、観客に完全に答えを教えない感じが、僕は好きです。“百舌の早贄”というモチーフについても、僕は権藤を演じたせいか、芸術性を秘めているように思いましたが、権藤を演じていなければ、また違うことを思うんでしょうし。“なんかすごいものを食らった!”っていう余韻を残しつつ、観終わった後にも、あれこれと自由に考えさせてくれるおもしろさを残してくれるんですよね。

◆いろいろとよく妄想するんです

――『日本でいちばん長い日』やNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』のような作品で、実在する人物を演じる深みを知る一方、『エイプリルフールズ』や『ピースオブケイク』、そして本作のようなフィクションで演じる楽しさは、深まっていますか?
【松坂】 贅沢な空間ですよね。実在する方(の人生)を作品として作っていく深みみたいなものも、もちろんあるんですけれども、完全なフィクションで創り上げる人物というのは、いくらでも振り幅があるし、考え方無限大! みたいなところがあるので。妄想癖のある自分としては、本当に贅沢な世界観です。

――妄想癖があるんですか!?
【松坂】 いろいろとよく妄想するんです(笑)。フィクションをやるにあたっても、その人物が何らかの職種に就いていたり資格を持っていたりしたら、そこの部分は調べます。けど、権藤みたいな素性のわからない人物に至っては、勝手な僕の妄想のなかで、ああじゃないか、こうじゃないか、ということを膨らませながら、現場で監督やスタッフ、キャストのみなさんと一緒に、削ったり足したりして、現場で生まれていくことを体現している感じですかね。

――権藤のイメージカラーが青というのは、松坂さんのアイディアだったそうですね?
【松坂】 僕の勝手なやり方なんですけど(笑)、役柄に応じて、色と形と音、役のテーマソングみたいなものがあるんです。権藤は、きれいな青ではない、ちょっと変な輝きをした青。なんとも言えない光を放つ青っぽい印象がありました。そのイメージを髪の色で表現したらいいかなって、監督に提案したら採用されて。それで髪を青くしました。

――10月20日からは、ガラリと変わって、主演ドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(フジテレビ系)がスタート。パルクールを取り入れた、ド派手なアクションも見応えがあります。
【松坂】 アクションって作品の個性が出るというか、『MOZU』とはまた全然、動きが違うんです。いまはすごい筋肉痛ですが(苦笑)、がんばります!

――ところで、ツイッターも始められましたね!
【松坂】 今回のドラマを機に始めようと。好きなマンガとか、自分の趣味ばかりをつぶやいていたら、事務所スタッフに叱られました(苦笑)。「もうちょっと、作品や現場のことを言ってくれ!」と。これからは映画やドラマのことをつぶやいていきます。
(文:石村加奈)



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