ファンタジー界の超有名人「ピーターパン」の誕生ドラマを描いた映画『PAN〜ネバーランド、夢のはじまり〜』（公開中）の日本語吹き替え版に、俳優の成宮寛貴（33）と女優の水川あさみ（32）が参加している。成宮は若き日のフック船長、水川はネバーランドの戦うプリンセス　タイガー・リリーを担当した。映画のキャッチコピー「いちばんの魔法は、信じるきもち。」にちなんで、二人に“信じるきもち”がもたらした“魔法”体験を聞いた。

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　成宮が語ったのは、2004年に初主演した舞台『お気に召すまま』での出来事。

　「シェイクスピアの有名な作品で、演出家は蜷川幸雄さん。女性役を演じるというだけでも大変だったのですが、途中で正体を隠すために男装したり、最後に女の姿に戻ったり、そのたびに声を変えたり、しぐさを変えたり。せりふも長いし、シェイクスピア独特のレトリックにも対応しきれなくて、本番前、最後の稽古（けいこ）でもうまくせりふが言えなかった。

　本番直前、これまでやってきたもの以上のものを見せようとするから、緊張してせりふが言えなくなるんだ。これまでやってきたことだけをちゃんと見せよう、と思い直すことができて、結果、公演はうまくいきました。勇気と自分を信じる気持ちで困難は乗り越えられるということを知ることができました」。

　自分を信じることができた経験が俳優人生を送る上での原動力の一つになっているという。成宮の話を受けて、水川は「私にはそこまで大きな出来事はまだない」としながらも、頭に浮かんだのは2011年の大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』（NHK）の撮影だった。

　「鈴木保奈美さん演じる母上が自害する前に、三姉妹一人ひとりに最後の言葉をかけるシーンを撮っていた時、（三姉妹を演じた）宮沢りえさんも、上野樹里さんも、私も、本当に悲しくて、涙が止まらなくなって。キャストもスタッフもその場にいた全員が物語を信じていた感じ、みんなの集中力がすごかったなぁというのを思い出しました。あの時の高揚感はまさに魔法のなせるわざ。ものすごく気持ちよかったし、そういう感覚を何度でも味わいたいと思うからお芝居を続けているんだろうなって思います」。

　世界中で親しまれてきたJ・M・バリーの原作からインスピレーションを得て、本作ではピーターという名の孤児の少年が、永遠にピーターパンとして知られる英雄になる“はじまり”が描かれる。

　第2次大戦中、ロンドンの施設で暮らす孤児ピーター（リーヴァイ・ミラー）は、まだ見ぬ母親を探しネバーランドへ旅立つ。空飛ぶ海賊船で訪れたネバーランドでは、黒ひげ（ヒュー・ジャックマン）の下で働かされることになる。しかし、フック（ギャレット・ヘドランド）とともに逃げだし、先住民のタイガー・リリー（ルーニー・マーラ）ら仲間たちと出会い母を探す冒険を続ける。

　水川は「ピーターとともにフックもタイガー・リリーも成長する姿が描かれていて、自然と応援したくなる」と見どころを語ると、成宮も「大人が観ても夢中になってしまうピーターパンの魅力がつまっている作品。いろんな方に楽しんでいただけると思います」とアピールした。