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“再現率”高い『エンジェル・ハート』に絶賛の声 漫画実写化としては異例のスタート

 10月11日より、いよいよドラマ『エンジェル・ハート』(日本テレビ系)の放送が始まった。人気コミック原作だけに、ドラマ化が発表された時点から賛否両論、話題を呼んでいた本作。しかし周囲やネットなどでの評判を見ていると、この手の実写化作品にありがちなバッシングは驚くほど少なく、評判も上々。第1話の視聴率は12.5%とおおむね及第点と言えるところだが、反響の大きさからすると録画やHuluなどで視聴した人も多かったかもしれない。

ドラマ『エンジェル・ハート』で冴羽リョウを演じる上川隆也 (C)ORICON NewS inc.

ドラマ『エンジェル・ハート』で冴羽リョウを演じる上川隆也 (C)ORICON NewS inc.

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■上川隆也の前評判の高さ 期待と不安の中での第1話

 そもそも漫画の実写化というのはとかく賛否両論──というよりも原作ファンからの批判を浴びがちだが、本作に関しては放送前から「期待できる」と比較的好感触だった。何より主人公のシティハンター・冴羽リョウにキャスティングされた上川隆也が原作のイメージにぴったりだった上に、演技力に定評があること、さらには筋金入りのアニメオタクを公言し、原作へのリスペクトが深いことも好意的に受け入れられていたようだ。

 そんな期待と不安の入り混じる中の第1話は、原作同様に冴羽リョウの相棒で婚約者でもある槇村香(相武紗季)が不慮の事故で命を落としてしまうところから幕を開けた。生前に臓器提供の意思を示すドナーカードを作っていた香だったが、脳死判定後、その心臓が何者かに強奪されてしまう。それから1年後。香の心臓を探し続けていたリョウは、胸に大きな傷を持った女性(三吉彩花)と出会う。秘密結社「レギオン」の暗殺部隊の一員で、グラス・ハートというコードネームで呼ばれていた彼女は、度重なる暗殺命令によって心を蝕まれ、1年前に飛び降り自殺を図っていた。ところが組織により香の心臓を移植され、蘇生したのだった。

 放送直後からSNSのタイムラインには「原作の再現率ハンパない!」とのコメントがずらり。特にキャストの再現ぶりへの評価が高く、原作のビジュアルに近づけるべく体脂肪率10%を切るまでに肉体改造をした上川隆也については、「ジャケットから覗く胸筋が冴羽リョウそのものだった!」とその役者魂も含めた絶賛の声が殺到した。またキャラクターの魅力であるシリアスとコミカルを行き来する2.5枚目な役作りも絶妙で、原作でおなじみの「もっこり」というセリフには「『もっこり』が聞けてうれしかった!」と歓喜する声もあがった。

■再現率の高さとドラマならではの演出

 また、ヒロインのグラス・ハート=香瑩を演じる三吉彩花のクールビューティぶりも視聴者に強い印象を残したようだ。身長171cmのスラリと長い手足に黒のロングヘアという恵まれた容姿に加えて、まだ色のつきすぎていない新人女優である点も謎多き美少女という役どころに適役で、三吉の存在なくしてはこの実写化は不可能だった、というのは言い過ぎだろうか。ちなみにキャラクター再現度については、喫茶「キャッツアイ」のマスターで元傭兵のファルコンを演じるブラザートムにも「似すぎ!」との絶賛コメントが殺到した。ビジュアルはもちろんだが、コワモテでいながら飄々とどこか可愛らしく、そして包容力も持ち合わせたキャラクターは、役作りに加えてブラザートム本人から醸し出されるものも大きかっただろう。

 こうしたキャスティングの妙からも、「再現率ハンパない!」と原作ファンの納得を得た本作だが、実際は原作に完全に忠実というわけではなく、ドラマオリジナルの要素も多い。たとえば香瑩が所属していた秘密結社の名称は原作ではレギオンではないし、また香瑩を追うレギオン暗殺部隊のトップ・カリート(演:和泉崇司)はドラマのオリジナルキャラ。また第1話で描かれた「つつもたせ事件」は原作にはないエピソードだ。そのほかにも細かい点をあげれば、原作との相違点は多い。それもそのはず、ドラマ第1話は90分の拡大放送だったとは言えコミック3巻分を1話に収めたものであり、また1クールで物語を完結させることを考えれば(好評なら続編もありえるが)、原作コミックを連ドラで完全再現することなど土台無理な話とも言える。

■ドラマ制作陣の熱も感じるこだわりのディテール

 それでも原作ファンから「改悪」と揶揄されないのは、原作のツボを押さえたドラマならではの演出に挑んでいるからだろう。たとえば、銃撃戦シーンに使用されていたクラシカルなジャズ調の劇伴。上川隆也の見事なアクションにも高評価があがったが、二次元で描かれた場面をリアルな肉体で再現しようとすると、どこか「これじゃない感」が漂ってしまう。しかも派手な銃撃戦という、一般人には無縁の世界だ。そこに雰囲気を盛り上げる劇伴を乗せることで、グッとハードボイルドの世界観に入り込ませたのは、まさに演出の妙と言える。

 また、香が亡くなった後に喫茶「キャッツアイ」の店内に置かれた“100tハンマー”は、『シティハンター』からのファンには感涙モノの小道具だった。こうした細かいところまで原作ファンの思い入れを汲んでいるということは、おそらくドラマ制作陣にも熱い原作ファンがいるに違いない。原作への愛と敬意にあふれた第1話でつかみは上々といったところ。とは言え、連ドラは2話目以降からが勝負。「今後も楽しみ」という声が多いだけに、リアルタイム視聴率の上昇にも期待したい。ちなみに原作はシーズン2が続刊中だけに、ドラマがどのような結末になるのかも楽しみなところだ。

(文/児玉澄子)

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