• ホーム
  • 芸能
  • テレビで“歌わない”ことで活路を見出すベテラン歌手

テレビで“歌わない”ことで活路を見出すベテラン歌手

 かつてミリオンヒットを連発し、日本の音楽シーンの中核を担っていたベテランアーティストたち。9月26日の『有吉反省会』(日本テレビ系)では「ミュージシャンだらけの歌わない音楽祭2時間スペシャル」をテーマにこまどり姉妹、GAO、DEENらが強烈なキャラクターとともにおもしろトークを繰り広げ話題を集めたが、かつて隆盛を極めたアーティストたちが“歌わない”切り口でプロモーションを展開し、新たな活路を見出す事例が増えている。旬が過ぎたアーティストたちにとっては生き残りをかけた最後の手段と捉えられることもあるが、アーティストがバラエティで個性を発揮するというのは、昔からあるものだ。

■新人よりも難しい、ベテランアーティストの宣伝

 ここ数年、ゴールデンタイムの音楽番組が次々と終了するなかで、アーティストの出演枠も限られ、セールス的に“売れている”アーティストを優先した結果、音楽番組で見かけるのは同じ顔ぶればかりになっている。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)はブレイク間近の若手バンドを積極的に出演させたりもしているが、新人やセールス的に落ち着いた中堅以上のアーティストのプロモーションの場は減少するばかり。朝の情報番組や『人生が変わる1分間の深イイ話』といったバラエティ番組などに話題作りの場を見出している。

 そしてことさら厳しい状況に置かれているのが、20年、30年と長いキャリアを持つベテラン選手たちだ。継続して年に1、2作のペースで作品を発売し、コンサートツアーを実施。特別なプロモーションをしなくても、固定ファンがついているためにある程度は安定したセールスを記録する。しかし若い世代の新規ファンにアピールしようとした場合、“旬”は過ぎて落ち着いてしまっているため、音楽番組にはなかなか出られない。かといって、一世を風靡し固定イメージもついてしまっているため、バラエティ番組で迂闊にキャラクターをさらすこともできない。まさに八方ふさがり状態なのだ。

■象徴的だった『MステSP』と同じ週に放送された『有吉反省会』

 しかし、音楽業界自体が元気がない今、そうも言ってもいられない。その事情もあってか、ここ最近、ベテランアーティストたちが堰を切ったように“歌わない”話題作りを始めたように感じる。『有吉反省会』に出演したDEENは、初めてのバラエティ出演だったにも関わらず、キーボードの山根公路が強烈なキャラクターを発揮しただけでなく、何と同じく出演していたバンド・PENICILLIN風のヴィジュアル系ファッションに挑戦。若者からの注目が高まるなかで、7日発売のシングル「ずっと伝えたかったI love you」を「8cm CD」の形態でも発売したことで、様々なメディアに取り上げられた。

 同番組がシルバーウィーク真っ只中、テレビ朝日系で放送された『ミュージックステーション ウルトラFES』と同じ週に放送されたことも印象的だった。おそらく番組側がその対比の面白さを狙った部分もあると思うが、10時間にも及んだ『Mステ』では旬のアーティストたちがパフォーマンスを披露し、かたや『有吉反省会』ではベテランのヒットアーティストたちが全く歌わずに司会の有吉弘行らにいじられている。今の音楽業界を象徴しているかのような2番組だった。

 とはいえ、こうした“歌わない”ベテランアーティストたちのテレビにおける商品価値が下がったとは言えない。人気歌手がバラエティ番組などに出演して全く歌わずに作品を宣伝するというのは、大昔からある王道の手法でもある。しかもCD全盛期の1990年代に活躍したアーティストなら“あの人は今”的な面白さもあるし、年齢を重ねたからこそ出せるキャラクター、新たな面白さもある。そして歌わなくとも、今の若者たちは番組で紹介されればネットでヒット曲を検索して聞くだろう。むしろ音楽番組だったら歌唱場面を飛ばしがちなところだが、“歌わない”となれば気になって自分から探して聴いてしまうかもしれない。殻さえ破ることができれば、歌わなくても宣伝として充分に有効なのだ。

 テレビで“歌わない”にも関わらず、再び注目を集めているベテランアーティストたち。キャラクターが面白いとなれば、今後、バラエティ番組で見かける機会も増えていくかもしれない。



オリコントピックス