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チケットが即完 学生による演大連“舞台”の魅力とは?

 2013年春に設立した、演劇の実務教育を行う都内の5大学(桜美林大学、玉川大学、多摩美術大学、桐朋学園芸術短期大学、日本大学)による東京演劇大学連盟(以下、演大連)。13年は『わが町』(作:T・ワイルダー)、14年は『見よ、飛行機の高く飛べるを』(作:永井愛)を上演してきたが、今年は作・野田秀樹氏、演出・野上絹代氏が手がけた『カノン』を、東京芸術劇場シアターイーストにて9月11日から15日まで上演した。チケットは即日完売で連日満員御礼となり、追加チケットを発行するほどの盛況ぶりを見せた。演大連とは? その魅力とは? このほど、ORICON STYLEでは、演出の野上氏、多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科4年・小池琢也さんに聞いた。

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 同公演は「平成25年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の「芸術系大学等連携」枠に採択されており、文化庁委託事業の一環として上演。今年で共同制作第3弾となり、出演者・スタッフは共同制作プロジェクトオーディションの合格者である学生が参加し一つの舞台を作り上げる。

――上演を終えた感想をお聞かせください。
【野上氏】
達成感と安堵、疲労、感謝、さみしさが一気に押し寄せている状態です。つまりボーッとしちゃうのですが(笑)。点数はこれからの学生たちに希望と期待を込めて85点としておきます。15年くらいかけて100点にしていってくれたらうれしいです。私自身の仕事もまだまだ100点ではありませんが。

【小池さん】
公演は100点! ひと夏を学生が突っ走った熱量が作品と野上さんの演出に乗っかって輝いていた思います!! 自分自身の芝居は78点くらいです! 公演間近、スケジュールもキツくあったんですが、少し体調を崩してしまったので、体調万全ならもっとやれたなぁ。という後悔は少しありました。

――思い出に残るエピソードを教えてください。
【野上氏】
実は本番の3日前、急にアイデアが降りてきてしまって、ほとんどの小道具を変更したいと申し出ました。それまでの小道具はほぼ本物を使っていたのですが、それだとモチーフとしてる「絵」の力が弱くなってしまう気がして小道具の「酒瓶」や「牛車」「パン」などは「絵」に描いてそれを役者は本物のように扱う、といううそのつき方を思いついたんです。

学生の中には賛否両論、というか、「おもしろそー!! だけど、スタッフの苦労を考えると手放しに喜べない」みたいな意見が多くて「まあ確かにねー」と。でも、みんなが「それおもしろそー!!」って感じる事こそ実は一番大切だと思っていて、「おもしろそー!」っていうイメージさえ描けてればあとはやるだけですから。でも、イメージがぼんやりしたままじゃ、何をやっても失敗してしまいます。とはいえ、私も責任を感じて絵を描いてくれそうな助っ人を何人か声かけしたのですが、結果、カンパニースタッフだけで何十枚もの「絵小道具」を1日で完成させてくれました。本当にすごい!って感動しましたし、また、その小道具の変更に対応した役者チームの学生も頑張ってくれました。感謝です。あとから聞くと、「あの切羽詰まった時期に演出があんな事言い出したのは本当どうかと思った」っていう感想も聞きましたが、そういう意見のあと必ず「でもあのアイデアに賭けてよかった!笑」と言ってくれるのでとりあえず、ホッとしています。

【小池さん】
ゲネプロが無かったのが思い出に残るトラブルでした。裏での緊張感がスゴかったです。そのなかでも大きな怪我もなく無事に初日を迎えられたのは、スタッフさんの尽力とキャストの対応力があってこそ成せたのだと思いました。

――演大連(学生)の魅力を教えてください。
【野上氏】
やっぱり5つの大学から学生が集まって来てるという事じゃないでしょうか。習って来た事も演劇に対する価値観も違う、バラバラな人たちが集まって泣きながら、笑いながら一生懸命一つの演劇を作って、またバラバラに散っていく、っていう。これが一つの大学の学生の演劇だったらまた全然勝手が違うと思うんです。最初から「組みたい」って感じて組んでる座組ですから言葉もスムーズに伝わるだろうし、「面白い」の価値観が似ている。でも、演大連はそうじゃないところが本当に面白い。野田秀樹の戯曲を土俵にしてがっぷり四つに組み、お互いの価値観をこじ開けあっている。そういう学生たちの姿に立ち会えたのは大人としてもとても貴重な体験だったと感じます。

【小池さん】
各大学、学ぶ環境が違うので、それぞれ特色が表れていて一緒にお芝居できる面白さがありました。後々聞いた感想で『出演者みんなが主役だった 』という言葉があったんですが、個人個人の特色が出た結果からの言葉だと思います。恐らくオーディションの時にも選ばれる要因になっていたと思うんですが、動ける人ばかりだったので共演してして楽しかったです。また、素直でまじめな人ばかりなので、作品との関わり方も深く、たくさん考えながらお芝居を作っていけました。

――演出する上で学生たちとプロでの違いなどはありますか?
【野上氏】
特に演出法は変えてないです。主に意識したのはけいこ時間以外。今回のカンパニーメンバーは何となく自分の学生のときよりも大人しい「いい子」が多いように感じたので何か反抗心、とか、闘争心みたいな強い気持ちを持ってもらおうと思ってけいこ前のストレッチ&筋トレ時間に尾崎豊の曲を流していました(笑)。毎日聴いてるとやっぱり覚えちゃうんですよね。みんなで合唱しながら腹筋したりして。戯曲の登場人物たちも若者なんですが、どちらかと言えば「昭和」の若者の姿だったので「平成」たちに昭和を知ってもらう手がかりにはなったかなと思います。

あとは、私がけいこ場にいない「自主練」時間を毎日とりました。プロだったら1回演出に言われた事をすぐにできますが、学生はそうもいかないので夕方のけいこ終了後、変更点や課題、意見をみんなで出し合って学生たちが創る時間というのを充実させました。

――野上さんの演出で印象に残ったことは?
【小池さん】
やはり、人形がとても印象的でした。シーンとしては盗賊たちが仲間だと思っていた太郎が、実は判官側の密偵だったと分かり、一気に緊張が高まるところなんですが、そこで可愛い人形が出てくる。そこから『よいしょよいしょ』と言いながら判官屋敷へ。等身大だった役者の体が一気に小さな人形になることで、舞台上では出来ないフォーカスがググッと引いた画になっていたのが面白かったです。

――自らアイディアを提案することなどもありますか?
【小池さん】
最初のシーン、最後のシーン、人形が出てくるシーンや路地裏のシーン以外は割りと学生のワークショップでの動きを下敷きに学生が主体で作っていた印象でした。そこからまた、各キャストどうしでの話し合いで細かくお芝居を詰めていく。学生に作れる場があったでとても豊かなけいこ場だったと思います。

――今後参加する学生たちへメッセージをお願いします。
【野上氏】
演劇はコミュニケーションの芸術だと思います。いい関係を座組のみんなと作れればきちんと作品にも反映されます。いい関係とは仲良くべったりする事ではありません。臆する事なく意見を戦わせる事ができる信頼関係です。私は演大連に参加して、一生モノの仲間と最高の作品を作る事ができたことを誇りに思います。来年の演大連は観客として楽しみにしています!!

【小池さん】
とても面白いです。ただ、考えたり動いたり、ほかの共演者と腹わって話すのがめっちゃ大事だと思います! 是非思いっきり楽しんで、豊かな時間を過ごしてください!



関連写真

  • 東京演劇大学連盟の舞台『カノン』より
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