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伊藤計劃、夭折したSF作家に脚光

 『屍者の帝国』(10月2日公開)を皮切りに、『虐殺器官』(11月13日公開)、『ハーモニー』(12月4日公開)のアニメーション映画3作品が3ヶ月連続で劇場公開される。今年1月公開の『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』に続く「ノイタミナムービー第2弾」として『Project Itoh』と総称される、この3作品。原作者の名は「伊藤計劃」。一体、何者なのか。

伊藤計劃原作のアニメ映画が3ヶ月連続公開。円城塔氏との共著が原作の『屍者の帝国』は10月2日公開(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES

伊藤計劃原作のアニメ映画が3ヶ月連続公開。円城塔氏との共著が原作の『屍者の帝国』は10月2日公開(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES

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 SF作家・伊藤計劃は、すでにこの世にいない。作家デビューからわずか2年、2009年3月20日に34歳の若さで病のため亡くなった。06年発表の『虐殺器官』が『第7回小松左京賞』最終候補となり、翌年同作でデビュー。没後の09年にオリジナル長編第2作『ハーモニー』で『第30回日本SF大賞』を受賞。同作の英訳版は11年に米国SF文学界の権威である『フィリップ・K・ディック記念賞』の特別賞も受賞し、彼の稀有な才能が国内外で認められることとなった。

 オリジナル長編第3作となるはずだった『屍者の帝国』は、盟友・円城塔氏に書き継がれる形で完成し、共著として2012年に刊行。『第33回日本SF大賞』特別賞、『第44回星雲賞』日本長編部門を受賞した。また、世界的大ヒットゲームのノベライズ作品『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』もベストセラーとなっている。

 活動期間が短く、若くして亡くなっているため、生前の彼を知らない人が多いのも事実。実は、伊藤さんは作家活動を始める以前から、ネット上にSF、映画、ゲーム、さらに自らの病についてつづった数々の文章を発表していた。はてなダイアリー内に04年に開設された氏の個人ブログ『伊藤計劃:第弐位相』の記事は、小島秀夫氏や虚淵玄氏ら第一線のクリエイターを含む多くの読者に影響を与えたといわれている。

 それらの文章をまとめた書籍『伊藤計劃記録』(ハヤカワ文庫JA、全2巻)も出版されているが、映画の公開が近づき、「伊藤計劃って何者?」という関心の高まりを受けて、『虐殺器官』と『ハーモニー』の出版元でもある早川書房は、ネット上に特設サイト『伊藤計劃記録 はてな版』をオープン。伊藤さんをより多くの人に知ってもらうため、関係各所の許可を得て、『伊藤計劃:第弐位相』内の記事を精選して紹介。インタビューや特集記事も交えつつ、伊藤さんが何を見て、どんな思考を展開し、いかに生きたのか。その軌跡をたどり、何者なのかを知る手がかりとなる情報を発信している。

■特設サイト「伊藤計劃記録 はてな版」
http://keikaku.itoh-archive.com/

■『Project Itoh』公式サイト
http://www.project-itoh.com

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  • 伊藤計劃原作のアニメ映画が3ヶ月連続公開。円城塔氏との共著が原作の『屍者の帝国』は10月2日公開(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES
  • 伊藤計劃のオリジナル長編小説『虐殺器官』『ハーモニー』新版(ハヤカワ文庫JA)
  • 個人ブログ『伊藤計劃:第弐位相』を書籍化した『伊藤計劃記録』(ハヤカワ文庫JA、全2巻)

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