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ラジオドラマが続々復活 高まる需要の背景は?

 ニッポン放送が、かつてのラジオドラマ『夜のドラマハウス』を32年ぶりに復活させるという。同番組は当時、若手声優の登竜門的な役割を果たし、現在の声優ブームに繋がる原点とも言ってもいい人気番組だ。タイトルを『らじどらッ!〜夜のドラマハウス〜』と一新させての再スタートだが、アマゾンの新サービス「オーディブル」とのコラボなどもあり、制作側も意欲的だ。そもそも、なぜ今ラジオドラマが見直されているのだろうか?

◆『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』、数々の名作を放送してきたラジオドラマ

ラジオドラマは、イギリスの作家リチャード・ヒューズ脚本による『デインジャー』(1924年1月15日〜/BBC)が元祖とされており、約一世紀近い歳月を経ている歴史あるエンタテインメントだ。日本では、翌年の1925年に舞台中継としてNHKでスタート、内容はBBCのラジオドラマの翻訳ものや純文学作品などであった。NHKはこのラジオドラマのために東京放送劇団を発足させることになり、同時に現在の“声優”の元祖を生み出すことにもなった。

 40代の後半以上の方なら、夜の11時台に放送されていたニッポン放送の『夜の図書館』という番組を覚えているかもしれない。『宇宙戦艦ヤマト』『サイボーグ009』『銀河鉄道999』などのストーリーは、すべてその番組で覚えたという方もいるだろう。さらには、TBSラジオ『夜のミステリー』のスリラードラマで震え上がった経験もお持ちかもしれない。遠藤周作原作の怪奇小説などは、今でも鮮烈に覚えていることだろう。1970年代後半〜80年前半はFM・AM放送ともに、こうしたラジオドラマを毎日のように放送していたのである。

◆鮮明に記憶に刻まれる、音だけで生まれる世界観

 テレビアニメの『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』を原体験している世代の中には、前述の『夜の図書館』で聴いたストーリーが不思議と鮮明に記憶に刻まれている、という声が少なからずあるようだ。声優の台詞と効果音だけで進行するドラマの世界は、自分好みのイメージで映像化もしやすく、どんどんと惹き込まれていく魅力があり、その分記憶にも残りやすいようだ。当時は渥美清や内田朝雄など、実力派俳優がラジオドラマを演じることも多く、そのイメージは数倍にも広がり、『夜のミステリー』などは、ヘタなホラー映画よりも恐ろしかっただろう。

 さらに当時はまだVHSビデオも発売されていないので、初期のアニメ声優ブームとも重なって、人気声優が音だけのドラマを吹き込んだLPレコードを購入して楽しむ若者も多かった。現在のドラマCDという概念は、すでに80年代を迎える以前に確立していたのである。

◆現代でも脈々と受け継がれるラジオドラマの魅力

 こうしたラジオドラマはもちろん今でも健在だ。以前からすでに密かなブームとなっているドラマCDは、アニメやゲームを原作にしたり、女性向けの“乙女系”や“BL(ボーイズラブ)”などのジャンルもあり、それぞれに熱狂的なファンがついている。旧世代の娯楽だと思われていたラジオドラマの世界観は、こうした形で延々と命脈を保ってきたと言えそうだ。

 実際のラジオドラマにおいても、NHK-FMはAKB48による『私たちの物語』を放送して人気を博している。TOKYO FMの『NISSAN あ、安部札司〜BEYOND THE AVERAGE』は、今年で10シーズンを迎える人気ラジオドラマだ。この10月には、開局45周年記念企画として、『NISSANあ、安部礼司 史上最大のワクワク大作戦 ABE-GIG in 日本武道館〜10年に一度の大家族会議』を開催し、千葉雄大や乃木坂46の橋本奈々未、歌手の平原綾香など、豪華な顔ぶれを揃えて、ラジオドラマを生歌、生演奏で放送するという盛況ぶり。ニッポン放送でも、人気俳優を起用して、10代〜20代をターゲットにしたラジオドラマを計画中だというから、声優ブームの煽りを受けてか、今やラジオドラマは人気歌手や俳優を巻き込んでの一大コンテンツとなりつつあるのだ。

 さらに、今回復活するニッポン放送のラジオドラマのように、ラジオリスナーと現在のネットユーザーの両方をターゲットにするような新企画を打ち出していくことができれば、もはや声優ファンやアイドルファンなどのオタク向けのコンテンツにはとどまらず、多くの人に受け入れられるのではないだろうか。今後のラジオドラマは、ラジオに興味を持たなかった層やアナログを知らない世代をも取り込んだ新しいコンテンツとして、ワクワクする展開を広げていくことも可能であろう。関係者の意気込みに期待したいものだ。

(文/五目舎)



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