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『釣りバカ』『エンジェル・ハート』人気原作ドラマ化も批判が少ないのはなぜ?

 漫画原作の実写ドラマ化や、旧作ドラマのリメイクなど、“鳴り物入り”のドラマ化への批判が多い中、この10月からスタートする濱田岳主演のドラマ『釣りバカ日誌 〜新入社員浜崎伝助〜』(テレビ東京系)と上川隆也主演のドラマ『エンジェル・ハート』(日本テレビ系)は、ネットなどでも、かなりの好感をもって受け入れられているようだ。ともに人気コミックの実写ドラマ化だが、両作品に関してはさほど“叩かれず”、むしろ期待する声の方が高い。叩かれないドラマと叩かれるドラマ、その違いはどこにあるのか?

■人気に頼らない実力派俳優が集結した“安心感”

 まず、批判が少ない理由として、両作品のキャスティングが“絶妙”であることが言えるだろう。主演はそもそも好感度の高い濱田岳(『釣りバカ』)と上川隆也(『エンジェル・ハート』)であり、演技力も役の“ハマリ”具合にしても申し分ない。また『釣りバカ』は、大御所・西田敏行がハマちゃん→スーさんへと“昇進”し出演しており、ハマちゃんの嫁(ドラマでは彼女)役には若手女優・広瀬アリスが決定、『エンジェル・ハート』でも、ヒロイン役に知名度がほとんどない新人女優・三吉彩花を抜擢するほか、相武紗季、三浦翔平、高島礼子、竜雷太など、手堅い役者陣をキャスティング。2作とも新人起用の目新しさがありながらも、基本的には“実力本位”の配役になっている。

 ここ最近、話題性や若者からの人気重視で、男性アーティストやアイドルグループのメンバーを起用するパターンが続いているが、あまり視聴率が振るっていない例を見ても、最近は単に人気俳優を起用しただけでは視聴率が獲れなくなってきていることがわかる。数年前の朝の連続テレビ小説での“伝説の棒読み”の例もあり、“飛び道具”的なキャスティングは、もはや視聴者からの事前の期待を得ることは難しい。そういう意味では、今回の両作品の実力派優先のキャスティングには、十分な説得力がありそうだ。

■制作側が“原点”に立ち戻ったドラマ作り

 また、漫画からの実写化というとファンタジー作品が多く、時に“コスプレ感”が否めないことも多いが、『エンジェル・ハート』はファンタジー的な要素もあるものの、基本的にはともにキャストが無理なく演じられるストーリーというのも利点。現在公開されているビジュアルを見ても、あまり違和感がなく、単純にドラマ化自体を喜んでいるファンは多い。中にはシリアスな場面もあるだろうが、原作からあまりにかけ離れたものを作らない限り、幅広い層年代層が気楽に楽しめるエンタテインメント作品に仕上がっていることが予想される。旧『釣りバカ』は長寿シリーズとなったが、1話完結型のストーリーも作りやすいため、視聴率が伴ってくればシリーズ化していくことは間違いないだろう。

 そうした意味では、2作品に関しては、原作ありきではあるものの、制作側がドラマ本来の“原点”に立ち戻った作品であるとも言えるかもしれない。特別に超人気スターを立てなくとも、作品自体が面白く、また作品を支える役者陣に演技派・実力派がそろっていれば、視聴者はおのずと作品に惹きつけられていく。ここ数年のテレビ東京の快進撃を観ていても実感するが、キャストに頼らなくても、面白いコンテンツを作ることができればファンはついてくるのだ。大ヒットした『半沢直樹』(TBS系)にしても、個性派俳優・実力派俳優こそ多く出演していたが、かつてのように“視聴率男(女)”的なキャストはなかった。

 今回、『釣りバカ』や『エンジェル・ハート』に対しては視聴者からの批判が少なく、むしろ期待されている感があるのは、そうしたドラマ作りの“原点”に帰ったような“安心感”に由来するのかもしれない。実際、10月から両作品がスタートし、それなりの人気を集めることができるとすれば、今後のドラマシーンも、作品の内容の質を高めていく“良質なドラマ”作りの方向へとシフトしていく可能性もある。安定した質の高いドラマ作品を待ち望んでいる視聴者のためにも、両作品が今後の“ドラマ制作”に一石を投じるきっかけになることを期待したい。

(文/五目舎)



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