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岡村靖幸、3度の逮捕経ても衰えぬカリスマ性

 J-POP専門のライター、ヒップホップライター、アイドルライター、そしてロックをおもに手がけるライターなどなど、どのジャンルの音楽ライターであれ、好きなアーティストを聞くと必ず名前が挙がるアーティストがいる。それが岡村靖幸だ。

◆80年代に突き刺さったエグさと絶対的な純粋さ

 あらゆるジャンルの音楽ライターが好きなアーティストとして同じ名前を挙げることは本当に少ない。というか、ほとんどないといっていい。さらに、アーティストからも愛され、有名どころであれば、Mr.Childrenの桜井和寿が「彼になりたい」と発言したことは有名。さらに最近では、マキタスポーツやBase Ball Bearの小出祐介、ももクロなどの楽曲を手がけるヒャダインこと前山田健一も大ファンだと公言している。それだけ音楽を愛する人が好きと公言する彼の魅力は、一体どこにあるのだろうか。

 今年で50歳を迎える岡村がデビューしたのは、今から30年ほど前の1986年。当時は珍しかった、赤裸々でどこかセクシーな言葉を選び抜いた歌詞と独特な歌いまわしで、その時代の同世代の心を鷲掴みにした。愛と恋に真っ向に立ち向かうメッセージすべてから必死さを感じ、そこに乗るまっすぐな言葉からは、上っ面だけの歌謡曲やアイドルソングに食傷気味だった80年代、90年代の若者の心に衝撃を与えた。

 しかも、その後もリリースする楽曲ごとに歌詞やタイトルはエグさを増しながらも、そこには絶対的な純粋さが共存していた。ピュアだからこそ、愛する人を自分のモノだけにしたいという強い想い、多くの人が胸に秘めながらもなかなか口に出せない純粋な心のうちをあまりにも気持ちよく代弁し、その熱くときに滑稽にさえみえることもあるカッコよさが、リスナーを魅了した。この極限的な想いは彼の曲「イケナイコトカイ」から溢れてでいる。

 そして、彼のもうひとつの魅力は、貪欲に挑戦を重ねたジャンルレスなサウンドと、ステージで見せるダンスである。初めてライブで見る人は、その動きに驚きを隠せないだろう。年齢をまったく感じさせない、キレッキレで情熱あふれるダンスは、一度見ただけで目に焼き付けられてしまう。岡村の代表曲である「だいすき」のミュージックビデオでは、そんな彼の若き日の個性的かつ中毒性のあるダンスが披露されている。

◆サブカル層から一般へも広がる熱い支持

 彼の熱狂的なファンは、30代から40代、そして彼の同世代である50代が多いと思われるが、映画『モテキ』(2011年)で楽曲がフィーチャーされたり、若いアーティストがリスペクトアーティストとして名を挙げたり楽曲をカバーしたりすることで、現在は若い世代まで人気の幅を広げている。最近では、トークバラエティ『久保みねヒャダ こじらせナイト』(フジテレビ系)のエンディングテーマとして小出祐介とコラボした「愛はおしゃれじゃない」が世代を超えて支持を受けた。今も同番組の最後には、彼がゲスト出演した際のライブ映像が流れ、そのセクシーかつカッコいい姿がしっかりとオンエアされている。この演出も、番組からの愛を感じることができる。

 この秋は、彼のファンを公言する園子温監督の直々のオファーにより主題歌「ラブメッセージ」(9月2日発売)を書き下ろした、映画『みんな!エスパーだよ!』が公開される。この曲に関して、公式サイトで彼自身が「青春! 学園! ちょっぴりエッチ! まるで僕のような映画の主題歌ができて楽しかったです。この曲を聴いて、トキメキを感じてくれたら、嬉しいです」とコメントしているが、世代を問わず“岡村ちゃん”の愛称で愛される彼が、映画と主題歌を通して一体どんな愛の意味を教えてくれるのか楽しみで仕方がない。

 岡村のこれまでの音楽人生は決して順風満帆ではない。報道されている通り、3度の逮捕を経ての復活があり、今に至っている。さまざまな出来事を乗り越えてそれまで以上の活躍を見せ、今もなおファンを増やし続けている岡村靖幸。孤高のシンガーソングライターであり作曲家、ダンサーである彼は、その強烈なアーティスト性でカリスマ的な人気を誇り、エンタテインメントシーンに大きな影響力を持つ。妖しさもある光を放つその生き方、存在感は今なお輝き続け、サブカル層からの圧倒的な支持だけでなく、今の時代に生きるあらゆる人々の心に、良薬のように(!?)中毒性のある劇薬のように(!?)染みこんでいるのだろう。今や日本の音楽史にしっかりとその名を刻み込んでいる。



関連写真

  • 映画『みんな!エスパーだよ!』(9月4日公開)の主題歌「ラブメッセージ」(9月2日発売)を書き下ろした岡村靖幸
  • 「ラブメッセージ」
  • 映画ポスター

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