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企業や自治体からも熱視線 “擬人化”が新たなビジネスモデルを生み出す?

 『刀剣乱舞』(公式略称・とうらぶ)というオンラインゲームが大ヒットを記録している。「加州清光」や「虎徹」、「三日月宗近」などの、いわゆる名刀と呼ばれる日本刀を、“刀剣男士”という美少年キャラに擬人化して収集・強化し、合戦場の敵を討伐していくという「刀剣育成シミュレーション」なのだが、今年1月14日に運営開始されると、あっという間に登録者数が50万人に達し、一時新規受付を停止。その後、サーバーを増設して新規受付を開始したが、それも半日でパンク状態に。また、ゲームに限らず、商品や地名、さらには駅名まで擬人化されるなど、空前の擬人化ブームなのだ。

■“擬人化”の手法を使えばキャラ設定が容易、ユーザーにも分かりやすい

 書店では日本刀に関する書籍がバカ売れし、美術館で『刀剣乱舞』に登場する日本刀のイベントを開催すれば、今まで美術館に足を運ぶことがなかったはずの美少年に“萌えた”20〜30代の女性たちで行列ができる……『刀剣乱舞』は刀に対する印象まで変えてしまった。

 同ゲームを運営するDMMは、2013年に『艦隊これくしょん』(艦これ)という、大和や赤城、長門といった軍艦を美少女に擬人化するゲームを発表し、これも大ブームとなった。この2つのゲームに共通する“擬人化”というキーワードに焦点をあて、ここまでブームを巻き起こした要因を探ってみよう。

 そもそも“擬人化”とは、「人間以外の物を、人間に例えて表現する比喩の方法」のことだが、なぜ、ゲーム業界や二次元メディアで“擬人化”が人気なのか? ゲームやアニメの原作を請け負う業界関係者に話を聞いた。

「業界で一番大変なのが、魅力のあるキャラの設定です。キャラ次第で作品がヒットするかしないかが決まるからです。でも、これは簡単そうで非常に難しい。しかし、この擬人化の手法を使えば、作り手側にとってもキャラ設定が簡単になり、ユーザー側にとってもわかりやすいものになるのです」

 たとえば、先の『とうらぶ』の「虎徹」。この日本刀は、“非常に贋作が多いが、新撰組の近藤勇が愛用していた”という背景があり、それを擬人化すると、“美少年だが、どこか偽物のコンプレックスを抱いているナイーブな人物”というキャラ設定が簡単にでき、かつユーザー側からもわかりやすい。『艦これ』においても、“イギリス海軍の影響が強い軍艦”という軍艦自体の背景があれば、これを美少女にするときには、“帰国子女”という設定にでき、ハーフの美少女に仕立てられるのだ。

■一方で何でも“擬人化”すれば売れるものではないとの指摘も

 つまり“擬人化”は、制作者側にとっては非常に便利で、自由度が高い手法なのだ。ユーザー側にしても、最初に「キャラ設定」ありきだから、理解しやすい。このウインウインの関係からか、ここにきて様々な擬人化作品が登場してきている。日本刀、軍艦以外にも、「国」「都道府県」「電車」「駅」「政党」「ファーストフード」「調味料」「きのこ」などなど、なんでもアリの感があり、最近では「ウルトラ怪獣擬人化計画」(例/ゼットンが美少女になる)が、ゲーム誌とファミリーマートのコラボで進んでいたりする。もはやアニメやゲーム以外の業界でも、この擬人化は“金になるコンテンツ”となっているようだ。では、次に“来る”擬人化は何なのか?

 「それがわかったら苦労しません(笑)。みんなが、次にブームを起こす擬人化を虎視眈々と狙っているのが現状ですから。ただ、あまり擬人化がハマらないものもある。ちょっと前にも『名城』を擬人化したゲームがありましたが、それほどブームになりませんでした」(前出・ゲーム&アニメ原作者)

 どうやら、何でも擬人化すれば売れるものでもないらしい。日本刀にしろ軍艦にしろ、もともと本来の固定ファンはいるが、一般受けするには難しいマニアックなジャンルを、一番遠い存在であるような、美少年や美少女の“萌えキャラ”にしたら、なぜか大ヒットしたというところが面白いわけだ。今なら、この“擬人化”をテーマにアイディアを駆使すれば、予想外の超ビッグヒットを創出できるチャンスがあるかもしれない。

(五目舎)



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