ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

松たか子、8年ぶり『HERO』出演の胸中明かす「時間と距離をおいたからこそできた」

 『HERO』ファン待望の、あの雨宮舞子が城西支部に帰ってきた。8年ぶりのシリーズ復帰となる松たか子にとって、この映画はどんな体験になったのだろう。これまでほとんどメディアに登場してこなかった松が、飾らない言葉で、率直に『HERO』再出演までの経緯を明かしてくれた。

『HERO』に向き合う木村拓哉の姿勢も語ってくれた松たか子

『HERO』に向き合う木村拓哉の姿勢も語ってくれた松たか子

写真ページを見る

◆「ちょっと違うなぁ」と思われたらどうしようって

――久しぶりの『HERO』ですね。
【松】 「ちょっと違うな、というところがあったら、言ってください」。(鈴木雅之)監督と木村(拓哉)さんにそう言いました。時間が経っているので、(雨宮が人として)変わっていて当然のところと、変わらないところと、その両方をどれだけおもしろがれるか。そこが不安なところでもありました。でも、いざ始まってみると、木村さんをはじめとする、いまの城西支部の雰囲気を新鮮に思いながら、楽しくやることができました。始まる前は、「雨宮、変わっちゃった。(何か)違うなあ」と思われたら、どうしよう……と思っていたんですけど。

――変わったところって、どんなところですか。
【松】 久利生検事との距離感ができたことで(雨宮は現在、大阪地検難波支部で検事をしている)、あらためて「あ、久利生さんってこうだった」と、観察できるような立ち位置にいられました。いざ捜査が始まると、一緒になって(捜査に)夢中になってしまうんですけど。でも、ちょっと距離をおいたところから城西支部を見られるというのは、新鮮な目線でしたね。それは時間をおいたからこそできた設定だと思います。

――では、変わらないところは?
【松】 どこまでリアリティを求めるか? というときに「こんなの、ないよね/これは実際に、ある」、そういうレベルではない何かが、『HERO』にはあるんです。ともすれば「ふざけるな」というくらいギリギリのところを往く雰囲気があって。実際に「ありえる」というところだけでは勝負していないところが『HERO』らしさだと思います。自由な発想で、どれだけチャレンジできるか。そこは『HERO』ならでは。とにかく、そこに集まった人たちが、何かワイワイやっている。事件にはすごく真剣なメンバーがいる。それが、私にとっての『HERO』です。今回の城西支部はほんとうに楽しんで事件を追っている、と私には見えましたね。

◆私にとって、木村さんはやっぱり緊張する相手のひとり

――いまの雨宮に久利生はどう映っていたと思いますか。
【松】 劇中で言葉にもしていますけど、「久利生さんは久利生さんだ」という想いと、でも、久利生さんも、やっぱりがんばってそこに居る人なのだということ。人間臭さですね。久利生さんも決して完璧な人間ではなくて、いち人間、いち検事なんだなという感覚で眺めていました。それは時間が経って、しかも、距離があるおかげで、そう思えるのかもしれないなと。最初から、特別な人がHEROってわけじゃない、というのがこの『HERO』に漂っている空気ですけど。今回は、ほんとに久利生さんも、いち人間なんだなと。だからこそ、ひとつの事件の前に、みんなが一列で並べるのが『HERO』の良さだということを、より強く感じることができました。

――木村さんとの久しぶりの共演はいかがでしたか。
【松】 木村さんはとても細やかに、相手のことを見て感じてくださる方なんです。言葉で何か言われるわけじゃないんですけど、(一緒にいて)私なんかは「お前、ちゃんとやってるのか」と言われているように感じます(笑)。久しぶりに、その感覚を楽しみました。木村さんならではの細やかさは、(以前よりも)さらに進んでいると思いますね。久利生と雨宮のちょっとしたやりとりに、木村さんのアイディアが入ることで、あ、なるほどね、とこっちもフットワークが軽くなれるところがあって。細かいところから、全体に広がるものがある。『HERO』に対する木村さんの想いを感じます。私にとって、木村さんはやっぱり、緊張する相手のひとり。私が最初に(民放の)連ドラ(『ロングバケーション』)に出たときにご一緒した方なので。いつも(どの作品でも)ちゃんとしなきゃとは思っているんですけど、やっぱり「がんばらなきゃ」と思いますね。本気でぶつかって、何かが起こればいいなと思う人が木村さんです。

――緊張されるんですね。松さんと木村さんは「あうん」だと思っていました。
【松】 ああ、久しぶりだなとか、あ、この感じだね、と何となく木村さんと息があって、こっちの方向だね、と一致するときはとても嬉しい。それは木村さんに限らず、どなたとやるときもそうですけど。でも、懐かしいなというところで、楽しい、楽しいって、ふたりだけで盛り上がっても、つまらないから。プラス何か、新しいものがそこにないと次にいけないから。今回も、その結果、何かが生まれていればいいなと思っています。
(文:相田冬二)

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索