• ホーム
  • 音楽
  • なぜお前が泣く? 号泣ロックバンド・BLUE ENCOUNTとは

なぜお前が泣く? 号泣ロックバンド・BLUE ENCOUNTとは

 昨年9月にデビューした4人組ロックバンドのBLUE ENCOUNTが、アルバム『≒(ニアリーイコール)』を発売した。「BLUE ENCOUNTはくっさいバンドです。人が恥ずかしがるような言葉を、平気で口にするバンドです!」とボーカル・田邊駿一のアツくてまっすぐな言葉に、心を振るわせ号泣するファンが続出している。話しているほうの田邊までもが、感極まって涙腺崩壊するほど、汗と涙の“共感型バンド”に迫る。

◆Twitterには「泣いた!」と感動の声が続々投稿

 昨年9月に「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビューを果たしたBLUE ENCOUNT(通称ブルエン)。2004年に田邊駿一(Vo&G)、江口雄也(G)、高村佳秀(Dr)によって地元の熊本で結成され、2009年に辻村勇太(B)が加入し現体制となった。ソリッドなギターサウンドと、感情のままに歌うエモーショナルなボーカル、まっすぐな言葉で綴られた歌詞が人気の彼ら。最大の特徴は、ライブで発せられる田邊のアツいMCだ。涙を流しながら思いの丈をぶつける田邊、その言葉に触れ号泣するファン。彼らのライブでは、汗と涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、手を挙げて声を張り上げる大勢のファンの姿が見られる。

 今年6月にZepp Diver Cityで行われたライブでは、こんなMCが感動を呼んだ。「俺らのことを1%でもイイと思ってくれたら、あとの99%は俺らが頑張って埋めるから、ついてきて良かったと言ってもらえるバンドになるから。あなたの居場所になるから」。そんなライブの終了後にはTwitterで、「ブルエン最高すぎ!ライブで初めて泣いた」「意味わからんぐらい泣いたよ」「田邊さんのMCに感動した」など、たくさんの感動の声が投稿され、「ブルエン」という言葉が、Twitterホットワードランキング1位になったことも。

 彼らのライブが泣くほどウケているのには、どんな理由があるのか? まず、ブルエンのファンは10代の中高生が中心だということ。まだ自分自身という存在が不確かで、漠然とした未来への不安を抱える10代の若者にとって、自分が自分らしくいられる居場所を見つけることは至難の業。田邊の言葉は、そんな若者の背中を押し、安心感を与えてくれる。また、田邊のようなアツさを持った大人が周りにいないことも挙げられる。とかく「今の若者は……」といった口調で、冷めているとか将来を諦めているとか言われがちだが、それは大人の見方であって、若者は本人たちなりに苦しみもがき悩み、そんななかで希望となるアツい言葉を求めている。アツい男として知られる松岡修造が、多くの支持を得ているのもその一例。実際今年の「新入社員の理想の上司」の男性部門では、松岡修造が1位になった。武田鉄矢が演じた金八先生の言葉が、いまだ色あせることなく支持を得続けていることも同様だ。自分たちのために涙を流しながらまっすぐ言葉を伝えてくれる大人を若者は求めているのだ。

◆メジャーデビューを渇望し、ファンと共に歩んだ苦節10年の想いが感動を呼ぶ

 ブルエンがデビューするまでの10年は、決して順風満帆ではなかった。実は2011年頃には、辻村が脱退の意志を見せ、このときバンドは存続の危機にさらされた。そんなとき彼らを救ったのがファンの存在だ。2ndミニアルバム『HALO EFFECT』の収録曲「HALO」が、たくさんのファンに支持されて、YouTubeで120万回再生(現在は195万回)を記録し、話題を集めたことが契機になった。以降ライブハウスシーンで頭角を顕すようになり、2012年には250人規模だったが、2015年には2000人規模のライブを行うまでになった。

 「今の状況が嘘みたいです。こんなにお客さんって増えるんだなって。今、本当に心が感じまくっています」と1stアルバム『≒』初回盤に付属のDVDに収録されている映像の中で、感動を隠せない様子で田邊がコメントしている。ファンに対する想いは、「この曲で、あなたを守り抜くから。大丈夫だから」「俺らに歌う場所をくれてありがとう」など、ライブのMCにも表れている。また、インディーズ時代の名曲「THANKS」の歌詞には「あなたに出会えて本当によかった。心からありがとう」というストレートなフレーズがあり、ライブで“ありがとう、ありがとう”と目を潤ませながら歌う姿が有名だ。

 高校生の頃からの目標だったメジャーデビューと、それを支え続けてくれたファンに対する想い。それらを10年変わらず抱き続け、夢見続けてきたことが「HALO」という名曲を生んだ。「HALO」の歌詞には<涙の分だけ変われるよ>というフレーズがある。ファンは、田邊の額に流れる汗と頬を伝う涙から、高校生が部活で全国大会を目指すような泥くさくもピュアな想いや芯の強さを感じ、言葉をリアルに受け止めて共感しているのだろう。

 音楽性も評価が高い。『≒』では、ソリッドなロックナンバーを中心に、ダンスビート、パンク、レゲエやラップを採り入れた楽曲もあれば、スケールの大きなミディアムバラードも聴かせている。思わず走り出したくなるような胸躍るビートはTHE BLUE HEARTSをほうふつとさせ、いろんな気持ちでぐちゃぐちゃになった心を一刀両断するような爽快なギターサウンドは、オアシス以降の様々なギターバンドからの影響がうかがえる。自分の心を包み隠さず正直に映し出した日本語と英語が絶妙に入り交じった歌詞と、技術的なことを凌駕して気持ちがストレートにぶつかってくるエモーショナルな歌い方は、ELLEGARDENをはじめとした2000年代の日本のバンドシーンからの影響だろうか。多彩な音楽性を持ちながら、根底に流れるのは常に「ファンの隣に居続ける」というたった1つの想い。田邊が涙を流すたび、彼らはより強くたくましくなり、ファンはその姿に自分自身を重ね、共に夢を追いかけ続けて行くのだ。

(文:榑林史章)



関連写真

  • BLUE ENCOUNT(左から)辻村勇太、高村佳秀、田邊駿一、江口雄也
  • アルバム『≒(ニアリーイコール)』【初回生産限定盤】
  • アルバム『≒(ニアリーイコール)』【通常盤】
タグ

オリコントピックス