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V3の劇場版『ラブライブ!』 ヒットの最大要因は“特典戦略”

 6月13日より公開中の劇場版『ラブライブ!The School Idol Movie』が公開3週目の土日2日間(27日・28日)に動員18万4000人、興収6716万1780人を記録し、公開当初の上映館数は121館にも関わらず、3週連続で1位に。累計興収は12億円にも迫る勢いとなっている。2010年、雑誌の企画からスタートし、音楽ユニット、TVアニメ、ゲームといったメディアミックス展開で巨大コンテンツへと拡大した『ラブライブ!』。そのヒットを振り返りながら、劇場版が爆発的ヒットとなった理由をひも解いていく。

■現実のアイドルにもリンクする“育てる”感情が熱狂的ファンを獲得

 2010年、雑誌『電撃G’s magazine』(KADOKAWA)、ランティス、サンライズによるユーザー参加型の“スクールアイドルプロジェクト”として始まった『ラブライブ!』。少女たちが廃校の危機が迫った学校を救うべく、アイドルを目指して奮闘するという内容で、開始当初は『電撃G’s magazine』誌面でのショートストーリー掲載、CD発売などをメインに展開していった。そこで誕生した声優による音楽ユニット「μ’s」の人気が少しずつ高まるなか、2013年にアニメ化されると、アニメファンはもちろん、女性など幅広い新規ファンを獲得。さらにスマートフォン向けの”音ゲー”『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』など、アイドルアニメという特性を活かし広範囲にタッチポイントを設けたことで、ファン層を拡大させていった。

 『ラブライブ!』の特徴のひとつが、コンテンツ自体に“ラブライバー”と呼ばれる熱狂的なファンがついていることだ。当初より雑誌を「コミュニケーションの場」として活用し、ユーザー参加型としたことや、キャラクターの成長物語と、新人声優も多かったμ’sの成長がうまくリンクしたことで、現実のアイドル同様、“自分たちの手で育ててきた”“成長を見守りたい”という感情を呼び起こし、多くの“濃い”ファンを獲得した。そしてこのラブライバーは非常にアクティブな印象を受ける。例えば、作中に登場する“聖地”、神田明神にば“巡礼”するファンが殺到したことから、コラボグッズも発売。また、ライブイベントは年々規模を大きくし、今年1月31日、2月1日に行われたさいたまスーパーアリーナ公演は最大のスタジアムモードでの開催となった。

■劇場版特典は邦画のスタンダードとなるのか?

 今回の劇場版がヒットしたのも、やはりこうした熱狂的なファンが“動いた”ことが最大の要因と言えるだろう。公開前の動きとしては、2月7日に数量限定で販売開始した前売券第1弾に全10種類のクリアファイルが特典として付いたことで、発売日には徹夜組が出るほどの盛況ぶり。1枚購入につき1種類のクリアファイルが付いてくる仕組みだったが、全種類をコンプリートするファンも目立った。さらに4月には全9種類のクリアポスター、5月には全3種類の新曲CDが付いた特典付前売券を発売。第1弾、第2弾は早い段階で完売している。

 また、公開後も入場者プレゼントを充実させ、ファンの興味を誘っている。6月13日からの公開1週目にはμ’sからのメッセージ入りスペシャルカード、2週目には3種類からランダム配布となる描き下ろし複製ミニ色紙(2年生)、3週目も3種類からランダム配布となる別の描き下ろし複製ミニ色紙(1年生)を数量限定で来場者プレゼント。7月4日からは全3種類からランダム配布となるまた別の描き下ろし複製ミニ色紙(3年生)をプレゼントすることが発表されている。こうした前売券、入場者プレゼントに加えて、作品自体の評価も高かったことから、何度も足を運ぶリピーターが多く、それが3週目も好調に推移している理由と言えそうだ。6月30日にはプロジェクト開始から6周年を迎え、新世代アイドルプロジェクト『ラブライブ!サンシャイン!!』も始動しており、今後も人気が継続していくことが予想される。

 女性アイドルグループやブランドムックなどを発端として加速した特典戦略は映画業界にも飛び火しており、『ラブライブ!』に限らず、特にアニメ映画においては特典付前売券や週替わりの入場者プレゼントは定番となりつつある。加熱する劇場版特典は、今後、邦画のスタンダードとなっていくのだろうか。今後も動向に注目していきたい。



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