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EXILEグループの“新陳代謝”は成功するのか?

 卒業という表現には、ひとつの“終わり”を予感させる響きがある。先に発表されたEXILEの創設メンバーである松本利夫、MAKIDAI、USAの卒業に対しても、様々な反応が生まれた。だが、これはけっして“区切り”ではない。EXILE TRIBEという屈指のパフォーマンス集団を通して、メンバーの異動が意味する重要なポイントについて改めて考えてみた。

年内でEXILEのパフォーマー卒業を発表した(左から)USA、松本利夫、MAKIDAI (C)ORICON NewS inc.

年内でEXILEのパフォーマー卒業を発表した(左から)USA、松本利夫、MAKIDAI (C)ORICON NewS inc.

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◆オリジナルメンバーの卒業は、“チーム崩壊”にもつながりかねない

 EXILEの松本利夫、MAKIDAI、USAが年内でのパフォーマー卒業を発表した。EXILEのメンバーとしては残るが、ステージでのパフォーマンスに関して来年以降は行わないという。昨年末のHIROに続いて、しかも前身であるJ Soul Brothers(初代)の結成当初からのオリジナルメンバー3人の離脱ということで、少なからずショックを受けているファンもいることだろう。

 とはいえ、J Soul Brothersの結成が1999年、EXILEに改名してからもうすぐ15年目に突入しようとしているのだから、年齢からくる体力的な要素も考慮すると、致し方ない決断という気もする。加えて、新世代のEXILE TRIBEメンバーにおけるパフォーマーの育成という点でも、その成果は着実にデータとなって積み重なっている。先に発表された2015年オリコン上半期ランキングの結果からも明らかなように、三代目J Soul Brothersが『PLANET SEVEN』でアルバム部門の1位を獲得、シングルもTOP30内に3曲と大躍進を遂げた。加えて、女性のエンタテインメントグループとして手塩にかけてきたE-girls、EXILE TRIBEの“ネクスト”に位置するGENERATIONSも、それぞれがアルバムを上位にランクインさせるなど、2001年のEXILE創生を明確には記憶していない世代のメンバー、そして彼らのファンによってEXILEという“ブランド”が愛され、広がり、守られていくであろう下地は、確実に形成されつつある。

 それでも、男性グループならではの“タテ社会”の規律に則って歩を進めてきたEXILE TRIBEにとって、グループの“範”でもあったHIROに続いて、同様に全幅の信頼を寄せていた“礎”の3人を失うことはスポーツの世界に例えるなら、戦い方を知るプレイヤーやチームの輪をまとめ上げてきた人物がいなくなることに等しく、一気の“チーム崩壊”にもつながりかねない。ましてや、上記の三代目JSBやE-girls、GENERATIONSをはじめ、その裾野が限りなく大きくなったEXILE TRIBEであるのだから、これからの“舵取り”や、これを発端とした“卒業”の連鎖などに対する漠然とした心配が押し寄せてきても不思議ではない。

◆グループ内で切磋琢磨は、“進化”を促すうえで格好の環境

 そこでポイントとなるのが、卒業はするがEXILEの一員ではある、とする松本たち(もちろんHIROも)の立ち位置だろう。パフォーマンスという“表舞台”からは身を退くもののグループの一員としてバックアップしていくとする、このポジショニングこそが今回の“変革”における肝ともいうべきものではないだろうか。再びスポーツに当てはめてみよう。優秀な選手が第一線を退いた後も監督やコーチとしてチームに残るケースは少なくない。ましてや、チームの精神的支柱であったプレイヤーやファンからの信望も厚い選手となると、その存在はさらに光り輝く。今回卒業を発表したメンバーも自分のノウハウを後進に伝え、チームの結束をより強固なものとして行くための努力を惜しまないはずだ。ここに、上述したように新たな“戦力”の台頭も加わるのだから、チーム力の向上は自ずと明確なものとなってくるだろう。

 世の中が変化を見せるように、そのなかでパフォーマンスを演じる者たちも常に“進化”を求められる。2008年(平成20年)に、中学校の保健体育授業においてダンス(ならびに武道)が必修化されて以降、日本におけるダンス人口は拡大の一途をたどっている。EXILEのダンスを手本にする者もいれば、魅了されてダンスのインストラクターを志す者もいるだろう。その中心に位置するEXILE TRIBEの存在は、決して小さなものではない。しかもグループの個性は多様化しており、活動の振り幅も数年前とは比べものにならないほど多岐にわたっている。その点で、同じ20代〜30代のライバルがファミリーの中で切磋琢磨している彼らにとって、まず内部で勝ち上がっていかなければいけないという大きなハードルが存在するのは、“進化”を促すうえで格好の環境と言える。登坂広臣や白濱亜嵐、岩田剛典のように演技の世界でも頭角を現している者がいれば、関口メンディーのようにバラエティ番組などを通して愛されている者もいる。一方で、今市隆二は歌を極めたいとその実力に磨きをかけることに余念がなく、世界は天性のダンスのセンスがまさに“世界”レベルで注目されてもいる。その才能豊かな彼らが新たなEXILE TRIBEの形成に大きな役割を果たしていくとすれば、これほど頼もしいことはない。EXILE TRIBEの勢いは止まらない。さらなる“飛躍”へ向けて彼らの“拡大”は続く。

(文:田井裕規)

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