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前田敦子と大島優子、女優としての資質の違いとは

 AKB48でエースの座を争いつつ、共にグループを牽引してグループを国民的アイドルに押し上げた前田敦子大島優子。卒業後は共に女優中心に活動している2人だが、出演作が相次ぎライバル関係が続く2人の資質の違いも明確になってきた。女優として活躍する前田と大島、それぞれの女優としての資質の違いとはいったいどんなところなのだろうか。

◆AKB48のエースだったが、メジャー作品にこだわらない前田

 前田が松田翔太とW主演した映画『イニシエーション・ラブ』は、公開初週に興行収入2位(邦画1位)を記録してヒット中。80年代のおっとりした女性を演じる前田にも、「とてつもなく可愛い」との声に加え「役柄を演じきっている」「アイドルだと見くびっていた」など演技に高い評価が寄せられている。

 だが、前田の女優ぶりは以前から、映画関係者に称賛されていた。『Seventh Code』の舞台挨拶で、黒沢清監督が「たったひとりで生きている強さがにじみ出ている。こんな人は少ない」と評しているし、ミニシアター系で公開された主演作『もらとりあむタマ子』は、『キネマ旬報』の2013年度日本映画で9位、日本映画プロフェッショナル大賞で主演女優賞(『苦役列車』に続き2年連続)を受賞。この作品では、アイドルのイメージとかけ離れたぐうたらなニートを演じた。

 前田はもともと国民的アイドルのエースでありつつも、明るく清々しい“王道アイドル像”とは一線を画していた。周囲に溶け込まないマイペース感や飄々(ひょうひょう)とした“変わり者”っぽさを漂わせながら。それが女優として良い味になっている。『イニシエーション・ラブ』でも、可愛いがしたたかさも感じさせ、かと言ってブリッコや小悪魔といった類型でない独自の人物造形ができていた。どこか“何を考えているのかわからない”雰囲気があるのは彼女ならでは。それがこの作品の売りのラスト5分のどんでん返しに効いた。

 7月からはドラマ『ど根性ガエル』(日本テレビ系)でヒロイン役を務めるが、女優・前田敦子の本質は、変わり者の個性をより活かせる映画向きに思える。単館系の渋い作品も似合う。AKB48のエースだったからといってメジャー作品にこだわらない姿勢は正解だ。長期的に目指すべきポジションは宮崎あおい蒼井優、男性なら山田孝之といったところか。

◆女優としても大衆受けしやすい素地を持つ大島

 一方、大島は“AKB48の太陽”と呼ばれていたネアカタイプ。元気で華やかなイメージはまさにアイドルそのものだった。だが、4月期の連ドラ初主演作『ヤメゴク』(TBS系)では笑顔を封印。左目を髪で覆い黒ずくめの服で、ヤクザを憎む警察官を演じた。男たちを相手に殴る、蹴る、跳ぶ、長棒を振り回す派手なアクションもスタントなしで挑み、「すごい迫力」と評判に。視聴率は伸びなかったが、無表情のなかで激情をたぎらせる役で新境地を開いた。

 AKB48加入前に子役をしていた大島の演技は安定感がある。映画『紙の月』では『日本アカデミー賞』の優秀助演女優賞などを受賞。8月には主演作『ロマンス』が公開。ただ、大島は前田と逆に、本質はTVドラマ向きに思える。『ヤメゴク』も前期の『銭の戦争』(フジテレビ系)などでも、役柄の輪郭をはっきりさせて印象を残した。ストーリーのなかで担うものが明確になり感情移入しやすい。そして、前田は好きか嫌いか分かれがちなのに対し、大島は幅広く愛される好感度がある。テレビに出るごとに良さが広まるタイプで、女優としても大衆受けしやすい素地を持つ。目指すとしたら、同じアイドルグループ出身の篠原涼子永作博美、男性なら小栗旬といったところか。

 48グループでは先日、松井玲奈SKE48)が「女優の道に進みたい」と卒業を発表。渡辺麻友は『戦う!書店ガール』(フジテレビ系)でプライムタイムの連ドラに初主演し、他にも将来の目標に女優を掲げるメンバーは多い。元エースの前田と大島はそんな後輩たちの指針を担い、今後は元AKB48の枠を越えた代表作を手にできるかもカギだ。同時に“女優”という大括りでなく、それぞれの路線で活躍の場を切り開ければ、後輩たちにもファンにも大きな意義をもたらすことだろう。

(文:斉藤貴志)



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