※ふぇのたすのメンバー、澤“sweets”ミキヒコこと澤瑞樹彦氏(享年24歳)は、このインタビュー後、急性心不全のため、5月3日、逝去されました。
謹んで故人のご冥福をお祈りいたします。
ミニアルバム『PS2015』でユニバーサルミュージックからメジャーデビューした「ふぇのたす」は、みこ(Vo)、ヤマモトショウ(G、Syn)、澤“sweets”ミキヒコ(Digital Per)の3人組。タルトタタン、寺嶋由芙などへの楽曲提供も行うヤマモトが手がける80’sテイストのエレクトロ系ナンバー、そして、みこのキュートなボーカル、澤のデジタルパーカッションを軸にしたポップユニットだ。
デビュー作のキャッチコピーは「みんなでたのしく活動したら、メジャーデビューできました!」。実際、このユニットは「メンバー、スタッフ、お客さんを含めて、どれだけ楽しめるか、おもしろいことを共有できるか」(ヤマモト)というコンセプトで活動してきたという。
「僕と澤は以前、一緒にロックバンドをやっていたんですが、突然、ボーカルがいなくなってしまったんですね。みこはみこでシンガー・ソングライターとして活動していたのですが、上手くいっていなかったらしくて。だから12年に3人で活動を始めた当初は、“とにかくみんなが楽しめる音楽をやろう”という意識が強かったですね。80’sの音楽はもちろん好きだし、サウンドにも反映されていますが、それよりもみこが歌いたいと思う曲、周りの人たちが“一緒にやりたい”と思える曲というものを探った結果が、いまのふぇのたすのスタイルにつながっていると思います」(ヤマモト)
アルバムのリード曲「今夜がおわらない」は、ふぇのたすのキラーチューンとなるエレクトロポップサウンドを押し出した1曲。「今夜がおわらない」と同じく収録曲「ふふふ」の映像プロデュースは、「以前から大ファンで、ぜひいっしょにやりたかった」(みこ)というアートディレクター千原徹也氏が手がけている。
さらにはふぇのたすの世界観をもとに制作され、映画祭「MOOSIC LAB 2014」の準グランプリを受賞した映画『おんなのこきらい』(監督:加藤綾佳、主演:森川葵)が2月14日に全国公開されているが、ふぇのたすが音楽を手がけ、出演もしている同映画の主題歌「女の子入門」も同アルバムに収録されている。他ジャンルとのコラボレーションを積極的に行い、サブカル、ファッションのシーンからも徐々に注目を集めているが、ヤマモトは「もっとも大事なのは歌詞とメロディー」と言い切る。
■もっとも大事なのは歌詞とメロディー
「ふぇのたすは独自のスタイルを持っています。その土台をさらにしっかりさせることで、アイドルのイベントからロックフェスまで、どこに出ても確固たる存在感を示せるグループになれるのではないかと思います。そのために大事なのは、やはりメロディーと歌詞のクオリティ。アレンジ重視で曲を作るのは、ポップスとしてはあまり良いことではないと思っているんですよ。僕らは80’sをモチーフにしていますが、真ん中にあるのは、あくまでも楽曲なんです」(ヤマモト)
スタイリッシュなビジュアルからは想像しづらい、生々しい肉体性に満ちたライブ・パフォーマンスもふぇのたすの大きな魅力だ。それを象徴しているのが、あえて生演奏される澤のデジタル・パッドと、その瞬間の感情に身を任せるような“みこ”のボーカルだ。
「プログラミングできる電子ドラムを敢えて生で叩く理由は、見た目のおもしろさと出せる音が多様だから。曲のアレンジによってはキックの音を手で叩くこともありますが(笑)、生演奏ならではの臨場感はあると思います」(澤)
「ボーカルのニュアンスも日によってかなり違うと思います。ライブのたびに“今日、いちばん素敵に歌えるようにしたい”と意識しているし、それがライブに通ってもらうきっかけにもなっているのかな、と。時には気分が高まり過ぎて客席にダイブすることもあるんですが(笑)、決められたことだけをやるのが好きではないんですよね。ステージに嘘があるのはイヤだし、すべてをさらけ出すことに挑戦したいんです」(みこ)
「ファンと約束しているのは、武道館ライブ。目標というより、“そのレベルまでは、当たり前のように行きます”ということですね」(ヤマモト)という健全な上昇志向も併せ持っている3人。優れた楽曲、ファッション、カルチャーに対するセンス、自由な遊び心に満ちたパフォーマンスなどの多面性を持った、きわめて現代的なグループと言えるだろう。
(ORIGINAL CONFIDENCE 15年3月23日号掲載)
謹んで故人のご冥福をお祈りいたします。
ミニアルバム『PS2015』でユニバーサルミュージックからメジャーデビューした「ふぇのたす」は、みこ(Vo)、ヤマモトショウ(G、Syn)、澤“sweets”ミキヒコ(Digital Per)の3人組。タルトタタン、寺嶋由芙などへの楽曲提供も行うヤマモトが手がける80’sテイストのエレクトロ系ナンバー、そして、みこのキュートなボーカル、澤のデジタルパーカッションを軸にしたポップユニットだ。
デビュー作のキャッチコピーは「みんなでたのしく活動したら、メジャーデビューできました!」。実際、このユニットは「メンバー、スタッフ、お客さんを含めて、どれだけ楽しめるか、おもしろいことを共有できるか」(ヤマモト)というコンセプトで活動してきたという。
「僕と澤は以前、一緒にロックバンドをやっていたんですが、突然、ボーカルがいなくなってしまったんですね。みこはみこでシンガー・ソングライターとして活動していたのですが、上手くいっていなかったらしくて。だから12年に3人で活動を始めた当初は、“とにかくみんなが楽しめる音楽をやろう”という意識が強かったですね。80’sの音楽はもちろん好きだし、サウンドにも反映されていますが、それよりもみこが歌いたいと思う曲、周りの人たちが“一緒にやりたい”と思える曲というものを探った結果が、いまのふぇのたすのスタイルにつながっていると思います」(ヤマモト)
アルバムのリード曲「今夜がおわらない」は、ふぇのたすのキラーチューンとなるエレクトロポップサウンドを押し出した1曲。「今夜がおわらない」と同じく収録曲「ふふふ」の映像プロデュースは、「以前から大ファンで、ぜひいっしょにやりたかった」(みこ)というアートディレクター千原徹也氏が手がけている。
さらにはふぇのたすの世界観をもとに制作され、映画祭「MOOSIC LAB 2014」の準グランプリを受賞した映画『おんなのこきらい』(監督:加藤綾佳、主演:森川葵)が2月14日に全国公開されているが、ふぇのたすが音楽を手がけ、出演もしている同映画の主題歌「女の子入門」も同アルバムに収録されている。他ジャンルとのコラボレーションを積極的に行い、サブカル、ファッションのシーンからも徐々に注目を集めているが、ヤマモトは「もっとも大事なのは歌詞とメロディー」と言い切る。
■もっとも大事なのは歌詞とメロディー
「ふぇのたすは独自のスタイルを持っています。その土台をさらにしっかりさせることで、アイドルのイベントからロックフェスまで、どこに出ても確固たる存在感を示せるグループになれるのではないかと思います。そのために大事なのは、やはりメロディーと歌詞のクオリティ。アレンジ重視で曲を作るのは、ポップスとしてはあまり良いことではないと思っているんですよ。僕らは80’sをモチーフにしていますが、真ん中にあるのは、あくまでも楽曲なんです」(ヤマモト)
スタイリッシュなビジュアルからは想像しづらい、生々しい肉体性に満ちたライブ・パフォーマンスもふぇのたすの大きな魅力だ。それを象徴しているのが、あえて生演奏される澤のデジタル・パッドと、その瞬間の感情に身を任せるような“みこ”のボーカルだ。
「プログラミングできる電子ドラムを敢えて生で叩く理由は、見た目のおもしろさと出せる音が多様だから。曲のアレンジによってはキックの音を手で叩くこともありますが(笑)、生演奏ならではの臨場感はあると思います」(澤)
「ボーカルのニュアンスも日によってかなり違うと思います。ライブのたびに“今日、いちばん素敵に歌えるようにしたい”と意識しているし、それがライブに通ってもらうきっかけにもなっているのかな、と。時には気分が高まり過ぎて客席にダイブすることもあるんですが(笑)、決められたことだけをやるのが好きではないんですよね。ステージに嘘があるのはイヤだし、すべてをさらけ出すことに挑戦したいんです」(みこ)
「ファンと約束しているのは、武道館ライブ。目標というより、“そのレベルまでは、当たり前のように行きます”ということですね」(ヤマモト)という健全な上昇志向も併せ持っている3人。優れた楽曲、ファッション、カルチャーに対するセンス、自由な遊び心に満ちたパフォーマンスなどの多面性を持った、きわめて現代的なグループと言えるだろう。
(ORIGINAL CONFIDENCE 15年3月23日号掲載)
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2015/05/09