安田顕、まだ役者を志している状態

 前期のドラマ『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)でのゲイのパティシエ役でも強烈な印象を残していた俳優・安田顕。TEAM NACSの下ネタ、脱ぎ好きの飲んだくれとしても知られるが、クセのある役を個性的に演じる俳優としての評価はピカイチ。そんな安田が北野武監督の最新作『龍三と七人の子分たち』では、平均年齢73歳の大御所俳優のなかで、絵に描いたような“悪いヤツ”を怪演。北野監督から絶賛された。同作の緊張感漂うイベント裏で、真面目モードで緊張気味の安田を直撃した。

 近年は一人で何十役も演じ分けたり、ギターの調べにのせてひとり芝居を打ったかと思えば、大学生役にゲイ役にと、難役を嬉々として引き受けている印象の安田。『龍三と七人の子分たち』も含め、あえてハードな仕事を選んでいるのだろうか。

「いえ、僕は仕事を選んだことは一度もありません。たしかに『大変な役どころですね』と言ってくださる方もいらっしゃいますが『大変じゃない役って、何なんでしょうね?』って聞きたくなっちゃいますね(笑)。自分が好きだと思えることを仕事にさせていただいているので、とても幸せだと思っています」

 すでに幅広いシーンで十分なキャリアを積み重ねてきており、俳優としての評価も高い。TEAM NACSとしてだけでなく、ひとりの俳優としての人気の面でも申し分ない。そんな安田が、自身のなかでは、まだ“役者を志している”というスタンスで仕事をしているという。

「この作品(『龍三と七人の子分たち』)のメインキャストのみなさんを前に、お仕事をさせていただいているわけですから、役者を志している状態だと思っています。役者を志して、これからもやっていきたいと思います」

 “これからも”ということは、この先どういう状態になったときに役者になったと自覚することができるのだろう。

「うまく伝えられませんけど、振り幅をずっと持っていたいと思います。北海道の方言に『はんかくさい』(ばかげた、あほらしい、という意味)という言葉がありますが、北海道のバラエティ番組で育ててもらった、そういう『はんかくさい』一面は持ち続けつつ、こういう作品に出させていただいたときに、それを忘れさせることができたなら、そのとき自分は役者になれるのかなって。応援してくださるファンのみなさんは、いろいろな面を全部応援してくださるので、作品を観たときにその役としてしか自分が映らなくなればいいなあと思います。まぁ、そういうことだけでもないんですけどね(苦笑)」

 これまで演じてきているどの作品のどの役柄からも、安田の顔は見えない。今回の『龍三と七人の子分たち』で演じた“悪いヤツ”も同様だ。常に強烈なインパクトを残しながらも、唯一無二の個性をにじませている。

「自分のなかにないものって(役にはにじみ)出てこないと思うんですよね。今回に限らず(演じた役について)、例えば『いい人で良かったです』と言われたら“自分のなかにも、いい人の優しさがあるのかな。それが役としての役目をちゃんと果たせているんだな。どうもありがとう”と思いますし、逆に『すごくイヤなヤツですね』と言われれば“あぁ、自分のなかにイヤな部分があるから、役目を果たせたのかな。ありがとうございます”って思うんです。今回演じた西という人間も、自分のなかにあるものでしかないと思っています。僕は悪いことをしてお金を稼いだことはないですけど……悪い人間なんだと思います(笑)」



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