• ホーム
  • 芸能
  • 女性から共感を得る、食レポ連続ドラマの新人女優の成長

女性から共感を得る、食レポ連続ドラマの新人女優の成長

 毎話4分の短い時間内に、うまいものを食べると泣いてしまう(!?)ヒロインの涙の成長記録と、泣けるほどおいしい料理情報をギュギュッと網羅するという、数あるグルメドラマのなかでも、異色の食レポ連続ドラマ『泣きめし今日子』(TOKYO MX1)。スタートから約1ヶ月が経過したところで、エポックメイキングなドラマのおさらいをしておこう。

 まずは、本作のヒロイン・猫田今日子の人となり。高知から上京して間もなく、某雑誌編集部で食レポの仕事をつかんだものの、迷路のような地下鉄に慣れず、新人のクセに毎朝遅刻するわ、下調べが足りず原稿はボツになるわ、取材に行っても写真を撮り忘れるわ、店主のコメントは取り損ねるわ……と自他ともに認めるポンコツ記者。今のところ、ちょっと、否、かなり残念なキャラクターである。こんなに仕事ができないのに、今日子が食レポを任されたのにはワケがある。その秘密は、物語が進むに連れて徐々に明らかになっていく。

 そんな同ドラマの見どころのひとつは、毎回登場する有名レストランや店舗の絶品メニュー。これまでに、ヘルシーなベジスープと大豆ミートの担々麺「豆乳野菜健康担々麺」、サプリメントのようにヘルシーなスムージー「豆乳×アボカドとまと」、和を取り入れた旬の食材の「豆乳カルボナーラ」、“幻の逸品”と呼ばれる「純白雑炊」が登場。この先のメニューと今日子の食レポも楽しみなところ。

 劇中では、ミスを連発してもへこたれず、社内では涙をグッとこらえてがんばる今日子。そんな健気なヒロインの姿は、新年度を迎え、まだ新しい環境に慣れず、戸惑う人たちの共感を集めること必至。ふとひとり言を口にしたり、公園でひとり、自分と向き合う時間を過ごすことで、なんとか自力で孤独を癒そうとする彼女に、かつての自分自身を重ねたり、親元を離れたわが子に思いを馳せる、今日子の親世代も少なくないのではないだろうか。食レポを通して、ヒロインの成長がしっかりと描かれるところが、本作の最大の見どころだ。

 観る者の心を打つ、ヒロインの素朴な魅力は、今日子役の女優・安達花穂によるところが大きい。現役大学生の安達は、昨年末、本作の脚本・演出を手がけるデビッド・宮原氏主宰の劇団前方公演墳に所属したばかりの新人女優。プロとして初めての本格的な芝居、人生初のドラマ撮影と、安達にとっても初めてづくしの本作。クランクイン当初は、緊張のあまり、眉間によった皺が張りついていた彼女だが、監督や共演の劇団員たちに支えられて、次第に柔らかい笑顔を見せるようになっていった。

 安達の、ある意味ドキュメンタリーにも近い、女優としてのリアルな変化が、ダイレクトにヒロインの成長へとつながっている。そんな安達とヒロインのリンクは、観るひとそれぞれの人生ともどこか重なるところがあり、素直な感動を呼ぶのかもしれない。女性の共感度No.1という打ち出しのドラマだが、ヒロインは、この春から社会に出たばかりの女性にとってはまさに今の自分自身のある一面の姿として映り、すでにバリバリ働いている女性にとっては、かつて自分が通ってきた道を必死に生きようともがく、その健気な姿に思わず心打たれることだろう。だれにも、それぞれの人生のなかで大きな変化が訪れる時期がある。そのときに心は大きく揺れ動き、ひとは大きく成長を遂げる。そんな若き日の姿が繊細に描かれているから、このドラマが誰もの心のひだに触れ、感情を揺さぶるのだろう。

 今後は父との確執や、今日子が秘める天性の才能についても徐々に明かされ、物語は大きく動いていく。今日子を目の敵にしていびり倒す、編集部のエース・愛美との関係もますます目が離せない。週末にドラマを見て、今日子と一緒に泣いてスッキリした後には、番組で紹介されたおいしいものを食べて、笑顔を取り戻す。そしてまた、今日子のように真摯な姿勢で、新しい1週間と向き合うことができれば、大型連休明けの五月病などどこ吹く風、となること間違いなし!?



オリコントピックス